自分磨き

「男女間の賃金格差」は差別?役割分担?

男女間の賃金格差

今となっては、なんてナイーブというか、無知だったんだろう、って思うんですが、私は本当に、かなり大人になるまで、日本は男女差別がある国だということに気がついていませんでした。


「女性だから収入はあまり多くないと思う」と言った男性をバカにしていたけど

私は高校までは女子校に通っており、同年代の男性との関わりがほとんどない状態で生活していたため、期待される役割や社会的地位・経済的な状況が男女によって大きな差がある、とうっすら気がついたのは大学に入ってからでした。


大学時代、タイに一人旅しており、旅先でひとりの日本人男性(20代後半)に出会いました。どういった会話をしていたのかは忘れたのですが、「(その男性の女性の友人に対して)まあ、女性だから収入はあまり多くないと思うけど」といった旨のことを言ったのです。


「この男性はすごく狭い世界に生きているんだな、今は女性も男性と同じ仕事につけるし、収入も同じくらいなのに。古い考えだな」と思っていたのですが、今考えてみると、現実が見えていないのは私の方だったのでした。


男女が同じ仕事に就けるのだから、何の問題もない、と思っていた

働く男女

大学卒業後、大学院に進学しました。(あのときもっと勉強していれば、という後悔で、今でも一年に一回くらい号泣します。が、この話は本題とずれるので、また別の機会にお話したいと思います。)


モラトリアム期間をできるだけ長く伸ばしたいと考えていた地に足がまったくついていない私でしたが、なぜか友人はみな堅実・保守とも言える性格の女性ばかりで、銀行員や証券会社、薬剤師、看護師、国家公務員、弁護士など、次々に世間的に「カタイ」と言われる仕事をゲットしていきました。


学生でお金がなかった私は、「あー働いている人ってお金があっていいなあ」と眩しく見つめていたものです。そのくせ、就職して自由な時間がなくなることは人一倍恐れていました。


友人たちと集まると、仕事の愚痴大会になりました。学生の私は、就業経験がなかったので、「へー。そうなんやー」と相槌を打つばかり。大学の同級生(男性)も、女友達と似たような仕事に就いていたので、男女の賃金の差について、ここでもあまり意識していませんでした。


結婚・出産を機に、女性がキャリアダウンする現実

育児

それから数年、私は就職を経て、フリーランスになりました。やっぱり、時間の自由がない生活は私には合っていなかったのです。


友人たちはと言うと、なぜか、収入が激減していました。


結婚して証券会社を辞めた子、同じ会社の同僚と結婚して仕事を辞め転勤についていった子、育休を二回とり時短勤務をしている子、薬剤師を辞めて専業主婦になった子……。多くの友人が、結婚や出産を機に、キャリアダウンしていたのです。


実の姉もそうです。銀行員をしていたのですが、結婚を機に退職し、専業主婦になりました。


彼女たちには夫の収入がありますから、キャリアダウンしたからといって生活レベルが下がったというわけではありません。ただ、スタート地点では夫と同程度の収入を得ていたはずなのに、いつのまにか夫婦間の経済格差がかなり大きくなっていたのです。


「夫婦間の経済格差という表現はおかしい。婚姻期間中に稼いだお金は法的には夫婦の共有財産なのだから格差はない」と思われる方もいるでしょう。たしかにその通りです。ですが、離婚することになった場合、婚姻期間中に築いた財産は折半されることになったとしても、その後の稼ぎに大きな差が出てきてしまう、というのは現実として避けられません。


男女間の経済格差は、140カ国中114位

世界地図

大学時代、タイで「女性だから稼げない」というセリフを聞いたとき、「そんなばかな。先進国であるはずの日本で、そんな差が出るわけないやん」と思っていましたが、実際には、男女間の収入格差は確実にある、と今の私は残念ながら知っています。


男友達がバリバリ働いて出世していくのと反比例して、女友達はキャリアダウンしている、というのを肌感覚で感じていましたし、以前の職場で事務員を募集するさいに、「女性だけの募集にする。補助の仕事だし、賃金があまり高くないから男性はNG」と上司が言っているのを耳にする、などの経験から、「女性は誰か大黒柱(親か夫)がいるはずだから給料は安くてOK」と考えている雇用主も多いと思い知ったのです。


統計からも日本の男女間経済格差は顕著で、世界経済フォーラムが毎年公表しているグローバルジェンダーギャップレポート2017(※1)では、経済格差は140カ国中114位と先進国では最低レベルを記録しています。


この格差には、様々な要因が考えられます。ちょっと思いつくだけでも、「日本は、結婚・出産で一時離職してしまったら再就職が難しい」「子供を抱えて働くのが難しい(男性の育児参加率の問題・保育園に入れないなどの問題)」「就学率の格差(ただし、これについては男女の格差は年々縮まっている)」「性別分業役割の問題(女性は事務職やケアワークなど補助的な仕事に就く傾向)」などなど問題は山積みです。


男女の経済格差は、「役割分担」か「差別」か

家族

さて、結婚や出産によって女性がキャリアダウンしがちだという現実について、「まあそれは、役割分担だからそれでいいのでは?」と思う人も多いでしょう。


うちの姉は、銀行の激務に嫌気がさしており、「結婚して仕事辞めたい」と熱望していたタイプなので、結婚を機会に自分の収入がゼロになったことに対してまったく疑問を感じておらず、現状に満足しているように見えます。こういうタイプは、全く問題ないでしょう。


けれど、「子供を育てるために泣く泣く仕事を辞めた友人」「仕事を辞めて専業主婦になったけれど、夫が不倫をして離婚、その後新しくキャリアを築くのに苦労した友人」もいます。


「役割分担」だというならば、どちらの役割がいいのか、自分の意思で選ぶことが出来て然るべきだと思うのです。稼ぎたい人は男女関わらず稼ぐことができ、家庭内の仕事をしたい人はそうできる、というのが公平な役割分担ではないでしょうか?


現状、どちらの役割を選ぶのかを男女は自由に選べているようには思えません。そのため、日本に男女差別はまだまだある、と感じているのです。女性が稼ぎにくい構造になっている、という差別だけではありません。同時に、「家庭内の仕事をし、外で収入を得ていない男性」に対する差別もあります。


知人で専業主夫をしている男性がいるのですが、(彼がイケメンなことも影響しているのか、)仲間内で「ヒモ」呼ばわれされることが多いと言います。冗談交じりだとはいえ、嘲笑も含まれているであろうことは想像に難くありません。


男女差別がある国をどう生きるか

さて、長々と現状を憂いていましたが、文句を言っていてもはじまりません。


不平等がある。そんなことは統計を出すまでもなく、多くの人が肌で感じていることでしょう。問題は、(ちょっと大げさですが)不平等な世界をどう生きるか、です。


私は、ちょっとずつでも、差別・格差がなくなるような世界を作っていきたいと思います。できることは限られていますが、第一歩は、「日本に男女差別なんてないよ」というフリをやめること、だと思います。


そのために、私は今こうして原稿を書いています。「男女差別」って笑っちゃうような前時代的なワードのように感じます。「格差」より強いワードというか、書くのにちょっと勇気がいりました。でも、ありますよね? もうないことにはしたくないな、と思っています。



※1 The Global Gender Gap Report 2017



▼バックナンバーはこちら

・「料理してないの?旦那さんかわいそう」。本当にかわいそうなのは誰?

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・妊活・お金・介護・美容…40歳までに知っておきたいことリスト
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  • 今来 今(フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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