自分磨き

「料理してないの?旦那さんかわいそう」。本当にかわいそうなのは誰?

夫婦の食事

今私は、二子玉川の蔦屋書店に併設されているスターバックスにいます。ジェンダーに関する連載をすることになり、「どういった切り口にしようかな」と考え始めて、早2時間。壮大なテーマすぎて、どこから手をつけていっていいか迷っていたとき、となりの席の女性3人(推定60歳前後)の会話が耳に入ってきました。


女性A「まあ、女の子だから、家事手伝ってくれるから助かってるけど」

女性C「うちの子は、結婚するまでずっと実家だったから、ほんと家のこと何もできなくて」

女性A「でも、向こうのおうちではしてるんでしょ?」

女性C「それが、全然してないみたい。食事はいつも外食みたいだし」

女性A・B「えー!!うそぉ!!」


女性AとBが同時に大げさに驚いたのを見て、「よし、じゃあ、今回はここを切り口に書いていこう」と閃きました。


上記を読んで、不自然な会話だな、と思いましたか?


たいていの人は、よくある世間話だと思われたことでしょう。ですが、よく考えたら、「女の子だから家事を手伝ってくれる」「女性なのに結婚後、家事をしないことは驚くべきこと」だと思い込んでいるのは不思議な話です。


この会話に違和感がないのは、こういった「女性(男性)はこうあるべき」「女性は家庭的な役割を担うべき」といったいわゆるジェンダー役割を「普通」「当たり前」と感じている人が多い証拠でしょう。


「新婚なのに料理してないの?旦那さんかわいそう」と言われて泣いた友人の話

女性涙

3人の女性の会話を聞いて、すぐに昨年うちに泊まりに来た友人Aのことを思い出しました。


友人Aは証券会社に勤めている会社員で、昨年薬局で店長をしている男性と結婚したばかり。仲良し夫婦ですが、お互い仕事が忙しいため、たいてい晩御飯は各々で食べています。


友人Aはそういった形に満足していたのですが、職場の先輩(年配の女性)に、料理はどうしているのかという質問に、正直に答えたところ、「え、新婚なのに料理してないの?旦那さん、それじゃ結婚した意味ないね。かわいそう」と言われたというのです。


友人Aは私にそのエピソードを話ながら、泣いていました。友人がどういった気持ちで涙していたのか、真意は分かりませんが、推測するに、ハードワークを日々こなしているのに、料理をしていないだけで妻失格かのように言われたことに対して悔しさを感じたのだと思います。


私は、本当にかわいそうだなと思いました。


友人Aが、ではありません。そういったコメントをしてしまう女性が、です。友人Aの会社は残業も多く、ハードな職場です。そういった職場で長年働き続けている女性が、「共働きをしているのに女性が料理(や家事)をするべき」と思い込んで、そうしてあげられていない夫はかわいそうだと思い込んでいるというのは、なぜでしょうか?


それは、彼女自身が、そうしてきたからでしょう。夫と同じくらい働いているのに家事もして、それが当たり前のことで、女性ならそうするべき、と思い込んでいるからこそ、そうできない女性や、そうしないことを選んだ女性を見ると、自分の生き方が否定されたかのように感じてしまうのだと思います。


もし、「共働きで家事も分担している」という夫婦の形を認めてしまったら、「なんで自分だけが、仕事も家事もしてきたのか」という疑問が生まれてしまうでしょう。これまでの苦労を考えたら、「そんなのありえない」「私のやり方の方が正しい」と主張したくなるのも無理はありません。


「女性は結婚したら食事を作るべき」という固定観念に囚われて、様々な夫婦の形があることに目を向けられていない視野の狭さを、私はかわいそうだと思いました。それこそが、自分自身を苦しめることもあるだろうと感じたからです。


自分の中にある「女性だからこうしなくちゃ」「男性はこうあるべき」に敏感でいたい

男女

上記のように、「女性(男性)だからこうするべき」「女性(男性)とはこういうもの」という偏見に囚われている人は少なくありません。と、いいますか、囚われていない人はいないでしょう。


かくいう私もそうです。先日、友人Bが電撃結婚することが決まりました。友人Bの婚約者(日本人)はアメリカに住んでいます。婚約した翌週、友人Bが私に電話をしてきて、こう言いました。「結婚するのに渡航費とかビザの申請にかかる費用とか、全部私が個人で出すみたい。なんか、これがアメリカの考え方? モヤモヤする」と。


私はそれを聞いて、「それぐらい出してくれたらいいのになあ」と言ってしまいました。「折半する」のではなく、「彼が出してくれたらいいのに」と言ったのです。


友人Bの婚約者は友人Bの2歳上だとはいえ、収入は友人Bと同じぐらいだと思われます。それなのに、私は「男性がそれぐらい出せば」と思っていた。「男性の方が多く支払うのが普通」という偏見を持っていたわけです。


このように、私自身もジェンダー役割から完全に自由な人間ではありません。ですが、より自覚的ではありたい、と感じています。自覚することで、無意識の性別に基づく偏見を、取り払っていきたいとも思っています。


男女間の支払い問題に関しては、日本は男女間の経済格差が先進国ではズバ抜けて大きく、正社員でも女性は男性の7割程度の収入しか得られていないという現状があります。そのため、「男性の方が多く支払うのが普通」という固定観念を根本的に無くすためには、まずは経済格差を是正する必要がある、と感じています。


私が生きているうちに是正されることはあるのでしょうか? 難しいでしょう。でも、「男性だから払ってね。それが当然」と思考停止していては、事態が改善されることはない、というのも確かだと思います。

男女

「女だから」「男だから」と感じてしまうたびに、「そいうもの」だと流さずに、なぜ自分はそう思っているのか、誰かに言われたのか、社会の構造が関係しているのか、歴史的にはどうなのか、どこに不平等があるのか、などについて考えることが、無意識の偏見を無くすための小さな一歩なのだと思います。


長くなってしまいましたが、私が言いたかったのは、「ひとりひとりが性別に基づく無意識の偏見に自覚的になっていくことで、自分も他人も傷つける可能性が低くなると思うし、自分の可能性を制限することもなくなると思う。自分の中の偏見に敏感でいましょう!」ということです。自戒を込めて。



▼著者:今来さんの他連載はこちら

・妊活・お金・介護・美容…40歳までに知っておきたいことリスト
・【連載】なんで子供が欲しいの?
・「仕事早すぎ!」と驚かれる私の仕事術を公開。遅くなる理由を捨てる

  • 今来 今(フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

女子力アップ

編集部ピックアップ

女子カレとは?

今週のお悩みQ&A

広告掲載について

Facebook

Twitter

ページTOPへ