自分磨き

どうして姿勢が悪いのか?~「やる気がない証拠」とは限らない

姿勢が悪い子供

例えば、学校の宿題をする時に、子どもが机にもたれるようにして座っている姿を見たら、どう思われますか?

集会等で先生の話を聞く時に、子どもが片足に重心をかけてだらりと手を伸ばし、斜めに立つ様子を見たら、どう思われますか?


「だらしない」「やる気がないのかな?」という印象を持ってしまいがちですが、それは本当に、子どもたちがだらしなくやる気がないからなのでしょうか?


普段から、わりとゆるやかな空気をまとっていた息子・そうた。きびきび、テキパキとは無縁な感じの彼ではありますが、別にやる気がないわけではなく、ただただ自分のペースで物事に取り組んでいるだけのこと。そんなそうたが小学校に入学してからの、彼の「姿勢」に関わるエピソードをご紹介します。


【CASE19】姿勢が悪いのは、やる気がないからか

姿勢が悪い子供

幼稚園の頃には、家庭でも幼稚園でもあまり気にならなかったそうたの姿勢。それが私の目につくようになったのは、彼が小学校に入ってからでした。


集団の規模が大きくなり、みんなが同じ行動をする場面が増えたからかもしれません。机が整然と並べられ、そこにみんなが落ち着いて座っていたからかもしれません。大勢の子どもたちがまっすぐに整列する機会が多くなったからかもしれません。


とにかく、目につくようになったわけです。

目についたら、治したくなる。学校で先生に注意されないように、という考えがありました。子どもの姿勢が悪いとしつけのできていない親のように思われるのでは? という思いもありました。このまま姿勢が治らないと、背骨が曲がってしまうのでは? といった不安もありました。


そして、彼の姿勢矯正の日々が始まりました。


まっすぐって、どんな状態?

「まっすぐに」

「姿勢を正して」


今思えば、無謀な指示だなぁと、自分に対して笑いがこみあげてきてしまいます。

そもそも、「まっすぐ」ってどういう状態なのでしょうか?

「正しい姿勢」って、どういう姿勢なのでしょうか。


実は、どういう状態がまっすぐなのかわからないという子がけっこう多いのです。そうたもそうでした。


普段当たり前に使っているこうした表現が、実はたいへん主観的なものであるということを、私はその時初めて認識したのです。


身体を使って教えよう

では、具体的にはどうしたらいいのでしょうか。


何かを伝える際にもっともパワフルな方法は、体験させることです。

実際に身体をまっすぐな状態にして立たせてあげてみる。これがまっすぐな状態なんだよという体験を繰り返し積ませてあげる。身体で覚えるということです。


また、大人がまっすぐな姿勢で立っている様子を見せてあげることも大切です。視覚から入ったイメージと、自分自身の身体で覚えたまっすぐな感覚とを結びつけることは、自分のボディイメージをより具体的なものにすることにとても有効なのです。


これがしっかりと定着すると「まっすぐに立って」という指示で、文字通りまっすぐに立てるようになるわけです。


前庭覚を鍛えるワークを

しかし、こうした体験の積み重ねだけですぐに変化が見られない、というお子さんの場合には、感覚統合(感覚刺激の脳内での交通整理)の視点でもその原因を見てあげる必要があるかもしれません。前庭覚(平衡感覚)という感覚が鍛えられていないということもあり得るのです。前庭覚とは、重力に対して身体の軸を維持・調整する感覚。

この場合には、前庭覚を鍛える運動を取り入れることで、かなり改善されていくと言われています。


たとえば、トランポリン。頭頂部と耳、肩、ズボンの脇の線が一直線になるようにジャンプをすることで、重力に対して軸をまっすぐにして立っている感覚を脳に入れます。

トランポリン

大人が介助をするならば、バランスボールを使ってもいいでしょう。バランスボールに腰かけて、頭頂部と、耳、肩が一直線になるように座り、お尻で弾むのです。

バランスボール

身体をまっすぐな状態にしてマットの上で転がったり、立って数回回転するというのもいいでしょう。

マット&回転

斜めになる感覚を知るということも、まっすぐを感覚的に理解する助けとなるのです。


視力の問題という場合も

また、視力に問題がある場合もあります。そうたの場合は、ひどい乱視で立体視ができないということも、授業中先生に対して身体を斜めにして座った状態になってしまうことの原因のひとつでした。使いやすい方の目を使うために斜めを向いてしまってたのです。眼科へ行き、眼鏡を作る。座っている時の姿勢は、それでだいぶ改善されました。


「姿勢=心の在り方」と紐づけ過ぎないこと

「姿勢」という言葉には、「からだの構え方・かっこう」という意味と「心構え・態度」という意味の両方があります。ゆえに、立ち方や座り方がまっすぐであればやる気があり、斜めになっていたり何かに寄りかかっていたりするとやる気がない、という風にとらえる傾向がそもそも私たちにあるのだということ。


もちろん、やる気が姿勢に表れているという場合もあるでしょう。しかし、すべてを心の在り方のせいと捉え、しつけで解決しようとしてしまうことは、時に、子どもたちの真実の状態を理解し彼らを助けることの妨げになってしまうのです。


しつけではどうにもできないこともあります。

そんな時には、子どもの状態を多角的に見てちょっと工夫する。そんな風にしてお互いが楽に解決できることも、実はたくさんあるのです。


参考

「保育者が知っておきたい発達が気になる子の感覚統合」著:木村順・協力:小黒早苗 Gakken



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「まなまりんManaMarine」とは?

発達療育イベントを各地で開催。感覚統合と愛着形成を目的としたメソッドを、運動と遊びを通してお伝えしていきます!

Mana Marineの運動療育で育てていくのは、この、脳の交通整理に必要な5つの感覚(視覚・聴覚・触覚・固有覚・前庭覚)。同時に、ボウルビィの愛着理論を元に、愛着の形成に必要な要素も取り入れ、独自のメソッドで親子の関わりを支え、脳の発達のみならず心の成長もサポートします。

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  • いしづかみほ(学習・療育のじゃ塾塾長/日本子ども虐待防止学会会員/イラストレーター)

    「子どもたちが本来持っている才能を存分に発揮できるよう双方向で作る授業」と「彼らのありのままを理解する教育カウンセリング」を軸とした療育を実践しています。

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