自分磨き

相手の言動や行動で傷つく自分をやめるには ~実は、多くの人がもつ【愛着障害】とは⑤

南氷洋のペンギン

これまで、愛着障害コラムのトップ画として掲載されてきた『南氷洋のペンギン』。今回で完結です。というわけで、全5話を振り返ってみましょう。

多くの人がもつ【愛着障害】とは

みんなが次々と海に飛び込みます。

はい、ではここで質問!


Q:いきなり海に飛び込み始めたペンギンたちを見て、離れ行く氷に乗ったペンギンは何を思ったでしょうか


心に浮かんだままに、思いついたままに、お答えください。何か紙にメモしていただいてもいいです。答え、浮かびましたか?


さて、このお話の続きはどうなるかというと……。

多くの人がもつ【愛着障害】とは

自分の想像と比べてみていかがでしたか?

最後のひとコマを読んでみて、どんな言葉や思いが自分自身の中に湧いて出てきたでしょう。

実はこれ、【愛着障害】の度合いや自分がはまりやすい思考のパターンを知るためのワークとして使えるようになっています。


相手の言動に対して「解釈」を入れていると自覚する

私たちは日常的に、見るもの聞くものに対して「解釈」を入れています。しかも、相当無自覚に。


このペンギンの場合はどうでしょう?


みんなの暮らす陸から、ひとり、小さな氷に乗って離れてゆくペンギン。みんなに見送られ、自分も特に名残りを惜しむようなそぶりも見せません。どんどん氷は離れていく。無邪気に見送る仲間たち。「止めないんだ……」とつぶやいてはいるけれど、表面上平気な顔をしているので、このペンギンの真意は仲間たちにはわからないし、伝わらない。


が!ここで、ペンギンにとって思いもよらぬことが起きます。

みんなが唐突に海に飛び込み始めたのです。


あなたの中には、どんな感情が湧いてきたでしょうか。

実際に『南氷洋のペンギン』を使ったワークで出てきた答えをご紹介しますね。


パターン①:ポジティブ解釈設定

「え?私のところに来てくれるの?私、ひとりぼっちじゃなかったんだ!」

「え?来るの?水、冷たくない?無理しなくていいよ。でも、なんかみんなが来てくれるってうれしい」


そもそもこれは、「みんなの行動は、自分の行動に対する反応である」という思考が大前提の答えです。これを巷ではポジティブシンキング、と呼ぶのでしょうか。


「みんな、こっちに泳いできてくれてありがとう!」という答えもありました。


おい!!!!


と、つい、つっこみたくなります。これも最初のふたつと同様の思考が元となっていること、おわかりいただけますでしょうか。


確かに、私たちの日常は反応につぐ反応の繰り返しです。これを仏教では「因縁性(いんねんせい)」とか「縁起性(えんぎせい)」と言います。きっかけである「因(いん)」と、条件である「縁(えん)」が絶妙に絡み合い、事象は起こるので、この世に変化しないものはひとつもなく、その変化のほとんどは、私たち個人が知ることのできる範囲をはるかに超えています。これを、「諸行無常(しょぎょうむじょう)」と言います。そもそも、自分の意識ですら自覚できているのは3%なのですから(前回記事参考)、わかっているようでいてわかっていないことの方が、絶対的に多いわけです。


それなのに、この世界の出来事の多くを、自分の行動や言動への反応である関連付けてしまうことによって、結果、詰め将棋のように相手の出方やそれに対する自分の応答ばかりを考えてしまうということは、よくあること。


こうした思考にはまってしまうと、相手が自分をどう思っているか、相手からどんな反応が返ってきたかで、自分の行動の評価をしたり自己価値を計ったりすることが当たり前のようになってしまいがちです。


わ~……疲れる。

日々、詰め将棋を解くようにして他人と関わり続けるなんて限界ある。


そんなに疲れなくていいです。「みんなの行動が自分の行動や言動に対する反応である」という思考、やめていいと思いませんか?

多くの人がもつ【愛着障害】とは

パターン②:被害妄想にはまる

「え?みんな、私のことを放っておいて、どこへ行くの?」


パターン①と同じなのは、この場合も「みんなの行動は、自分の行動に対する反応である」という思考が始まりであるということ。それに加えて、「みんなは自分にとって不快な行動をとる」という大前提があります。

「離れる」ということを選択したのは自分だったのに。そして、自分は「さみしい」とか「本当は離れたくない」といった表現をみんなに伝わるようにはしなかったのに。そしてそして、みんなの行動がこれからどんなものになるかも見届けていないのに。


何も起こっていないうちからひとり、「みんなに傷つけられた」物語を作り出してしまうという。これ、愛着障害の特徴のひとつです。


「他人はそんなに優しくない」

「世の中はとても厳しいものだ」

「信じたりしたら騙される」


いつまでもこの自作自演の、妄想の世界での自己攻撃をし続ける必要なんてないですよね。「痛む世界観」を作り続けること、やめていいと思いませんか?

多くの人がもつ【愛着障害】とは

パターン③:勝手な類推を極力避ける慎重型

「こっちに来てくれるのかな?それとも、遊びに行くのかな?わかんないなぁ……」


相手の行動の動機を類推している、という点ではパターン①②と共通の部分もあります。が、それを手前勝手に決めつけないところが、この場合のポイント。


「自分の氷が陸からどんどん離れていく=みんなと別れる」

という出来事と、

「みんなが次々と海に飛び込む」

という出来事を関連付けるから、いろんな感情が湧いて出てくるんですよ、ってこと。


この関連付けることを止めれば、自分自身の中であれやこれやと考え込んでしまう必要もなくなるし、ドキドキやもやもやが起きることはなくなるわけです。


だって実際、ペンギンたちは、ただ単に自分都合で海に飛び込んで、楽しく泳ぎ回る時間を過ごし、また陸へと戻って行ったわけですから。


生じた自分の感情は、相手のせいで生まれたのではなく、元々は出来事と出来事の間に関連性を持たせた自分が生じさせたものなんですもの。これが理解できるようになると、「自分が抱いているこの感情は、相手のせい、環境のせい」といった外界依存の思考パターンから抜け出すことができるのです。


苦しみの始まりは自分の「解釈」から

視点を変えてみましょう。


泳ぎ始めたペンギンたちは、いったいどんな感じだったのでしょうか。


ペンギンたちは彼とのお別れが済み、そこで彼とのことはいったん完結しました。旅立つ彼を心から応援し、見送った。そうして、みんな自分たちの日常に戻ったのです。どぼーんと海に飛び込み、ひとしきり泳ぎを楽しみ、陸へ戻る。


ただただ、彼らが自分の日常を生きている中で起きた「海への飛び込み」。


であるにも関わらず、そのみんなの行動を「自分の行動に対する反応である」という「意味付け」「関連付け」「類推」「解釈」をしてしまうことで、自分の心の中にいろんな感情が湧いて出てきてしまうきっかけを作り出してしまうわけです。しかし、この「意味付け」や「解釈」は、あなた自身が「面倒くさいパーソナリティを持つ人間」だからしてしまうわけではありません。自分が成長する過程の様々なタイミングでおきた愛着の傷つきが原因なのです。愛着障害の苦しさは、養育者との間に抱えた痛みの原型を、現在のパートナーとの関係や、職場・学校といった人間関係の中に入り込ませてしまうことが原因です。生きていくために封じ込めるしかなかったその過去の痛みが、パートナーや友人・仲間・同僚たちと親密な関係を構築しようとする時に再度浮上してくるのです。


あなたの答えはどんなものでしたでしょうか?


もしも、「関連付け」や「解釈」にはまってしまっているようならば、すぐに、それを止めるという決断をしましょう。

多くの人がもつ【愛着障害】とは

プラマイゼロにするためにがんばるのではなく

受け容れ難い事実や自分の感情に直面した時。


納得のいく解釈をどうにかこじつけ、受け容れようとがんばる。

その感情を一瞬で打ち消し、大丈夫な感じに振る舞う。


そんなふうにしなくていいのです。


がんばっていないわけじゃない。

いや、むしろ人一倍がんばっていますよね。


納得のいく解釈をこじつけたり、自分の感情を封印したりと、日々奮闘しているあなた。これ、自分をプラスマイナスゼロの状態にするために、延々とエネルギーを使い続けているようなものです。

もともと持っているエネルギーの一部なりほとんどなり全部なりを、こうしたことのために使ってしまっているとしたならば、もっとスキルアップしたい!とか、クリエイティブな仕事をやろう!とか、パートナーとの絆を深めよう!とか、そういったエネルギーはどこからもってくればいいのでしょう?


すっごい、疲れません?

枯渇感、ハンパなくないですか?


プラマイゼロにするためにほとんどのエネルギーを費やしてしまい、本来注ぐべきところへ注ぐエネルギーが足りなくなり、それを無理やり捻出するから疲れてしまうのです。


人は、がんばったらがんばった分だけ、しあわせになっていい。


そうなるためには、自分をプラスマイナスゼロの状態にしておくために使ってきたエネルギーを、正しい方向に向けること。

受け容れ難い出来事に出会った時にするのは、脳内変換や感情の封印ではなく、自分らしく楽にいられる状態を保つための努力の方です。

多くの人がもつ【愛着障害】とは

自分らしくあろうとすることが、ワーク

自分らしく楽にあろうとした時に湧いてくる、不安感や無力感、怒りやみじめさや過去の記憶こそが、癒すべきポイント!


それを、しっかりと味わう。


「私、私らしくあろうとすると不安になるんだな」

「人からどう思われるかが気になってドキドキしちゃうんだな」

「自分らしくいられていない自分に対して苛立っているんだな」


そうした感情を味わい切ったら、手に握っていた風船が手の平を開いたらふわっと手から放れていくように、手放すイメージをすればいいのです。


知らず知らずのうちに、過去を現在に持ち込んであれやこれやと対処法を考えだしてしまう私たち。今現在のその出来事の真実の姿は、決して過去の出来事と同じであるはずはない。過去を当てはめてしまうことよりも、現在の真実の姿をありのままに見ることを選ぶことを、誰もがこの瞬間からできます。


不安のない状態で、心から安心して、ありのままの自分を受け入れてもらいたい。ありのままの相手を受け入れたい。理解し合いたい。我が子に、家族に、友人に、世界に、その愛をどこまでも拡げ、平和な気持ちで毎日を生きていきたい。

そう欲求する愛のシステムは、私たちの中に確実にあるのです。

  • いしづかみほ(学習・療育のじゃ塾塾長/日本子ども虐待防止学会会員/イラストレーター)

    「子どもたちが本来持っている才能を存分に発揮できるよう双方向で作る授業」と「彼らのありのままを理解する教育カウンセリング」を軸とした療育を実践しています。

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