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非正規で働く独身女性の7割は年収250万以下。他人事じゃない貧困

女性を幸せにする本

「非正規で働く独身女性の7割は年収250万円以下」「年代が上がるほど年収は下がり45~54歳では、非正規で働く女性の3人に1人が年収150万円以下」と聞いてどういった印象を受けますか?


私自身最初にこの数字を見たときには、「年収が低いのは、夫が大黒柱になっているからでは?」と思いました。ですが、この数字は主婦のパートなどではなく、れっきとした独身女性の年収だと、『シングル女性の貧困――非正規職女性の仕事・暮らしと社会的支援 』では解説されています。


雇用の安定を得られない非正規職で、低賃金で働き続けることは、親の介護や体調不良などのちょっとしたきっかけで、簡単に貧困に陥ってしまう危険性をはらんでいます。


「こういったギリギリの生活を余儀なくされている35歳~44歳の非正規独身女性は、2000年代の初めに比べて2016年時点で約3倍と大幅に増加している」とも本書では指摘されています。


今回は、本書をテキストに、非正規で働く独身女性の現状と活用できるサポートをご紹介していきます。


非正規で働く独身女性の現状とは? ①低収入・雇用継続に不安

2015年に行われた総務省統計局の労働力調査によると「独身女性の32.1%、人数にして79万人」は非正規で働いているといいます。


まずは、非正規で働く独身女性の現状について概観しておきましょう。


横浜市男女共同参画推進協会が行った「非正規職シングル女性の社会的支援に向けたニーズ調査」では、「6割が正社員とした働きたいが働ける会社がなかったため不本意ながら非正規になった」「週30時間以上働いているにもかかわらず7割が年収250万以下」「低収入と雇用継続に不安を感じている」「ジェンダー規範による差別を感じている」といった実情が明らかにされています。


非正規で働く独身女性の現状とは? ②日本的雇用の問題点・ジェンダー規範による差別

男女差別

女性が「正社員として働きたいが働き口がなく、低収入の非正規職しか見つからなかった」と不本意ながら低収入非正規職に甘んじることになってしまう背景には、「日本的雇用慣行の構造的問題」があると本書では指摘されています。


日本における雇用は、終身雇用・年功賃金という特質を持っている。つまり、最終学校を卒業すると同時に採用され、定年まで働き、その間、給料は年齢とともに右肩上がりに昇給するというものである。それは、結婚、子どもの誕生、子供の進学など家族構成員の成長・変化を見込んだ「家族賃金」という設定になる。そしてこの「家族賃金」は、男性を対象とした賃金である。したがって、女性の賃金は家計補助的賃金として低賃金に設定されたといえる。

この「家族賃金」という設定こそが、「男性稼ぎ主」モデルを基盤とした賃金体系といえよう。したがって「男性稼ぎ主」を持たない女性は、低賃金で家計を支えなければならないため、母子世帯の相対的貧困率は約57%、高齢単身女性のそれは約52%となる。(P.84-85)


社会保証制度においても「男性稼ぎ主」モデルを基本として考えられているため、低収入の主婦には年金や社会保険料で優遇措置がとられていますが、独身女性にはそういった優遇措置は適用されず、少ない収入の中から年金や保険料を支払わなければならないという構造になっているのです。


近年では男性でも非正規で働かざるを得ない人は増えてきており、雇用や収入が安定しないと家庭を持ちにくいといった問題も指摘されています。男女とも不安定な雇用や低賃金に関する不安は同じですが、女性の非正規労働者はそれに加えて、「女性ならではのプレッシャー・差別」を感じている人も少なくないと本書では指摘されています。


たとえば、「女性だから」「非正規だから」という理由で、介護を期待されたり、「40代の女性」というだけで「家計の足しにするくらいの給与でいい」と思われたり「介護や結婚・出産でどうせすぐやめるのだから」と就職が難しくなる、といったことを肌で感じている女性も多いというのです。


非正規で働く独身女性が現時点で活用可能なサポートとは?

働く女性

非正規で働く独身女性は、日本的雇用慣行の構造的問題から貧困に陥りやすいことをこれまで述べてきました。


では、実際に生活が困窮した場合には、どのような機関を頼ればいいのでしょうか。「シングルマザーをサポートする」「介護中の女性をサポートする」といった機関は存在しますが、「非正規で働く独身女性」のサポートをメインにした支援機関は現状では見当たりません。


ただし、非正規で働く独身女性でも利用・相談できる機関は存在します。


・40歳未満の就労支援→ジョブカフェ・ヤングジョブスポット・ハローワークの各種若者支援窓口


・40歳未満で、病気などの事情から就労が難しい場合→若者サポートステーション


・40歳以上の就労支援→各都道府県・市長村のシニアの就労支援窓口


・女性のための就労相談・講座→各都道府県・政令市・特別区などが設置する男女共同参画センター


・病気等の理由で就労が難しい場合→生活困窮者自立相談支援窓口


・借金整理の相談→法テラス


・現在働いていて、社会保険未加入・残業代不払い・セクハラなどの問題がある場合→労働局や労働基準監督署内などに設置された総合労働相談コーナー


・税金が払えない→市区町村の納税担当の窓口(分納・免除などの相談に対応可)


「自己責任だから今の状況は仕方ない」と公的サービスを頼ることを躊躇する必要はありません。誰かに相談したことで、思わぬ解決策がでてくることもあります。助けが必要な場合は、気軽に各種相談窓口に問い合わせしてみましょう。


「貧しい非正規独身女性」はすべての女性が当事者になりうる

お金のない女性

今回は、非正規で働く独身女性の現状について解説してきました。結婚していても離婚したり死別する可能性はありますし、正社員で働いていても、なんらかのきっかけで退職し、非正規になることもあり得ます。


非正規で働く独身女性の貧困は、すべての女性が当事者になりうる課題なのです。


ジェンダー規範に基づいた現代の税金や社会保障制度、雇用のありかたが続く限り、独身女性が適切な社会保障を享受し、自活していくことは難しいでしょう。


女性が貧困にさらされることなく自立するためには、旧来の「男性稼ぎ主」モデルを前提としない、現代の実情に沿った税金や社会保障制度・雇用に関する法律の整備が望まれます。



今回ご紹介した本

『シングル女性の貧困――非正規職女性の仕事・暮らしと社会的支援』

著・編:小杉礼子, 鈴木晶子, 野依智子, 横浜市男女共同参画推進協会

出版社:明石書店



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  • 今来 今(フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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