自分磨き

「あっち」や「こっち」では動けない!固まるわが子を動かす方法

指示語ではわからない子供たち

指示語とは、「これ、それ、あれ」「ここ、そこ、あそこ」といった、いわゆる「こそあどことば」のことです。

日常生活において当たり前に使っている指示語ですが、発達症の子どもたちにとっては非常にあいまいで理解が難しい表現。

「それ取って」と言われた「それ」がわからなくて「どれ?」と質問することとなったり、「あそこに置いてきて」といった「あそこ」が不確定すぎて「どこ?」となったり。伝えたいのに伝わらないという親子間のイライラを生みがちなこのすれ違い、どう解決したらいいのでしょう。


今回は、指示語で伝えた様々なことが、なかなか伝わらなかった息子そうたのエピソードです。


CASE17 それはいったいどこなのですか?

指示語ではわからない子供たち

「指示語はほんと、わからない。わからないんです」

と、本人は言いたかったことでしょう。言葉だけではもちろん伝わらないのですが、指で指し示していたとしても、その指の延長線上に対象物があるなどということは、レーザーポインタでも使って教えてもらわない限り、まったく理解のできないことのようでした。


「ふつうならこれで伝わるはず」を手放す

我が家の場合はまず、視力の検査をきちんとしました。聴力についても。視力や聴力が原因でないとしたならば、次は「この伝え方では伝わらないんだ」という気づきがすべての始まりとなります。

伝わらないという出来事が起こった時に、どうしても子どもの側に問題があると無自覚に思い込んでしまっている私たちがいます。

「ふつう、これで伝わるでしょう?」の「ふつう」が本当に「ふつう」なのか、たとえそれがどう考えても自分の「ふつう」だったとしても、その伝え方ではわからないという我が子がいるのです。その我が子に照準を完全に合わせ、「ふつう」の伝え方を手放してみましょう。

「指をさしていること=その先を見ることを促している」という理解がなかったりします。指さす範囲の広さも、個人個人とらえ方はまちまちです。彼らにとっては、指さされたその先にある情報が多すぎるということも原因のひとつです


伝達スキルを上げる

となると、私たち大人の側が、どうしたら伝わるのかを工夫することが必要となってきます。

具体的には、指示語を無くし、自分から見てどちら側にあるのか、近くに何があるのかを細かく、そしてゆっくりと伝えます。どこにどう存在しているのかを説明できる技術をこちらが身につけることができれば、指示語が苦手な子どもたちとのコミュニケーションは格段に楽になるでしょう。


特性を変えるのではなくスキルを身につけさせる

眼科の先生がよくされていらっしゃるのですが、「この指の先を見て」と指示をする時、自分の指を、相手に爪の側を見せて一本指を立て、その先をトントンとボールペンなどでたたいて注目を促します。子どもたちの特性をよく理解した、本当に親切な対応だなと、感動したことを覚えています。

指の先を見ることから訓練し、次に指の延長線上、まっすぐに一本の直線が伸びていて、その先を見るように訓練すること。指のさし示す先を見るよう促しているんだよということが理解できるまで、根気よくその技術を体得する手助けをしていくのです。

彼らの「困難」と呼ばれる状態を解決する方法は、適応能力を上げることでも、持っている特性を変えることでもなく、あくまでもスキルを身につけることだということなのです


違った枠組みで見る工夫

猫がいることを伝えたけれど、伝わらなかった。

  ↓ ↓

その時彼は、違う景色を見て楽しんでいた、と理解してみる。


落ちてしまったハンカチがどこにあるのか、本人は見つけられない。

  ↓ ↓

そばまでいって手渡してあげればいい。近くに来てほしかったんだな、自分がまだまだ面倒見てあげたいって思っているんだな、と理解してみる。


先生の指示語が理解できない。

  ↓ ↓

先生にもわかる言葉で話す努力をしてほしいんだな、と理解してみる。


面白いポスターを一緒に見て笑いたかった。

  ↓ ↓

彼にとってそれは別に、必要な情報ではなかった、と理解してみる。


ちょっと極端のように感じても、こんな風にして「世界の見方を転換させられるようになるレッスンを受けている」と思って、彼らの見ている景色の方に自分の視点を添わせてみることを、のんびりと根気よくやってみてください

自分の目線では今まで見えてこなかったものが見えるようになるチャンスを、彼らはいつも、くれています。




バックナンバー

#16:「絶対今日はこの服で!」そのこだわり、許せますか?


♯15:子どもたちが言いたいこと、どこまで理解できますか?


♯14:子供の貧乏ゆすり、しつけで何とかできるもの?


♯13:何度も何度も同じ本ばかり読むけれど、これって意味あるの?


♯12:発達症の子に、キレてもいいですか? ~子どもにイラっとしてしまったら


のじゃ塾とは?

幼児から大人まで通える療育塾。

発達症、発達症のボーダー、学校や家庭での問題行動全般、不登校、拒食症、統合失調、ダウン症など、子どもたちに同じケースはひとつとしてありません。 自宅の一室で、「語らい」や「遊び」「学び」の中から発見される子どもたちの心の声を聴きながら、ひとりひとりに、オーダーメイドな授業、教育カウンセリングを実践しています。また、のじゃ塾の療育メソッドをもとに、感覚統合を促進させる運動療育チーム「まなまりんManaMarine」を発足。



  • いしづかみほ(学習・療育のじゃ塾塾長/日本子ども虐待防止学会会員/イラストレーター)

    「子どもたちが本来持っている才能を存分に発揮できるよう双方向で作る授業」と「彼らのありのままを理解する教育カウンセリング」を軸とした療育を実践しています。

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