自分磨き

子どもたちが言いたいこと、どこまで理解できますか?

子どもたちが言いたいこと

「ことば」というツールでまだまだ思うように自分の気持ちを伝えられない赤ちゃんや幼児たち。けれど、彼らは彼らなりに、独特のユニークな方法で私たち大人と意思疎通を図ろうとしています。


「赤ちゃんだから、まだこちらの話している内容が理解できていない」

「泣いている理由は、眠い、おなかがすいた、おむつを替えてほしい、暑い、寒い、くらいかな」

「これって巷でよく言う『イヤイヤ期』だから、何をやっても仕方ない」

そう思ってはいませんか?

はたして本当にそうでしょうか?


もうすぐ1歳になるぱりのんは、のじゃ塾運動療育部門で感覚統合ワークを担当しているまな先生のお子さんです。表情だけでなく、身体機能も言語の理解もだいぶ成長したぱりのんの、生後10ヶ月の頃のエピソードです。


CASE15 子どもたちのユニーク言語

子どもたちが言いたいこと

ほっこり……。


私たち大人が思う以上に、子どもたちの表現はバリエーションに富んでいます。

「言語表現」というツールが未発達な分、様々な方法でコミュニケーションを取ろうとするその創意工夫と意欲は称賛に値するものと言えるでしょう。


まずはじっくり観察から

運動療育まなまりんのワークショップに来ていた1歳の男の子とママ。私が話しかけると、その男の子は時々ゆっくりと瞬きをします。

「バランスボール、楽しかった?」と聞いてみると、ゆっくりと瞬き。

「ママと遊べてよかったね」にもゆっくりと瞬き。


「時々こうやってゆっくりと瞬きをするんですけど、どういうことなんでしょう?」と、ママから質問をされました。

「『うん』ってお返事の時に、こうしてるのかな?」と、本人に瞬きをして見せると、彼はまたゆっくりと瞬きをして、すごくうれしそうに微笑んでくれました。

「こんなに小さいうちから、こんなにも私たちの会話を理解しているんですね!」と、ママは心から驚かれたようでした。

彼の愛らしいコミュニケーション方法に、私もしあわせな気持ちになりました。


「 なぜ、そうしているのか」 に目を向ける

一方で、ちょっとショッキングな出来事を目にすることも。真夏の電車内、暑さに辟易しているのは大人も子どもも一緒のはずなのですが、ぐずる赤ちゃんに「うるさい」「静かにして」とのたまうママが。


赤ちゃんや子どもたちに対して当たり前のようにこうした言葉を浴びせてしまう方もいますが、同じ状況に置かれていたとして、大人同士でも同じような対応をするでしょうか?大人にしないことを、どうして子どもたちにはしていいと、思ってしまうのでしょうか。


私たち大人が他者に対して「自分の思っていることを伝えたい」「理解して欲しい」と思うのと同じように、子どもたちもそう思っています。我が子の行動を「それはダメ」「これはいい」とジャッジする前に「なぜ、我が子はこの行動をしているのだろう」というところに思いを寄せてみましょう。


泣いているのには、ぐずるのには、それ相応の理由がある、ということです。


子どもの発信は受け止めず、大人の側が「自分なり」の一方通行な発信ばかりをしていると、「うちの親、何を伝えようとしても受け取ってくれない人だっけ」という理解を、子どもたちはするようになります。コミュニケーションをあきらめている赤ちゃんを見かけるたびに、彼らのこれからが少しでも救いのあるものでありますようにと、願わずにはいられません。


ママたちも、理解してもらいたい人たち

そしてもうひとつ、同時に願うことは、このママたちの気持ちが平和で安らかなものとなりますようにということです。


「暑い中、子どもを抱っこしているのはたしかに大変だよね」「子どもの泣き声が周りの人たちの迷惑にならないかが気になるのも、わかる」と、ママの気持ちに寄り添うことができたなら……私たち周囲の者も、注意の目ではない理解のまなざしを、彼女たちに注ぐことができるようになるのだと思います。


暑い電車内、子どもも大人も気持ちは一緒。「 暑いよね~、ぐずりたくもなるよね 」と我が子の気持ちを汲むことで、ママはその時の辛さをひとりではなくふたりで分かち合うことができる。同様に、車内にいる私たちも、ママの気持ちもぐずる赤ちゃんの気持ちも汲むことができるということ。その分だけ、お互いの気持ちが楽になったりするものです。


言葉以外の表現方法に目を向ける

さて、赤ちゃんのコミュニケーションの最たるものが「 泣くこと 」だと言われていますが、本当にそうなのでしょうか。


赤ちゃんが泣くのは、最終手段です。それまでに微妙な表情をして見せたり、顔をこわばらせたり、眉根をひそめたり、身体をのけぞったりして「 不快ですよ~ 」と、私たちに伝えようと試みています。


「 言葉 」が存在するが故に、言葉がないと細かい部分の理解が難しいと、私たちはつい思ってしまいます。言葉がコミュニケーションの大部分を担っていることは確かです。しかし、大人同士の会話でも、相手の表情やしぐさ、会話の間といったものから私たちが得ている情報は、言葉以上に真実を語っていることも多いもの。


つまり、こちら側の観察次第では言葉以外からも相当量の情報が得られるということ。


その子特有のコミュニケーションの方法を、観察、推理することを、楽しんでみてください。私たちの対応が彼らの欲求に対して正解だったのか不正解だったのかも、子どもたちはその絶妙な表情で知らせてくれています。

子どもたちと心が通じ合ったその時の喜びはまた、格別なものです。


「 あなたのことが知りたい 」がコミュニケーションの始まり

そして、仮にわかってあげられないことがあったとしても大丈夫。

「この子は私に何を伝えたいんだろう?」という思いやエネルギーは、ちゃんと赤ちゃんにも届いています。興味を向けることそのものが、「 コミュニケーションをしよう! 」という相手の意欲を引き出す鍵だということ。


子育ては別に、正解を積み重ねることが目的ではありません。仮に違っていたとしても「 私、あなたのことを知りたいの 」が、すべての始まりなのだと思うのです。



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#11:質問魔のわが子、ほんとに疲れる…どこまでも答えなきゃダメ?


♯10:みんなを待たせることは迷惑か~本当に優先すべきは何でしょう?


のじゃ塾とは?

幼児から大人まで通える療育塾。

発達症、発達症のボーダー、学校や家庭での問題行動全般、不登校、拒食症、統合失調、ダウン症など、子どもたちに同じケースはひとつとしてありません。 自宅の一室で、「語らい」や「遊び」「学び」の中から発見される子どもたちの心の声を聴きながら、ひとりひとりに、オーダーメイドな授業、教育カウンセリングを実践しています。また、のじゃ塾の療育メソッドをもとに、感覚統合を促進させる運動療育チーム「まなまりんManaMarine」を発足。



  • いしづかみほ(学習・療育のじゃ塾塾長/日本子ども虐待防止学会会員/イラストレーター)

    「子どもたちが本来持っている才能を存分に発揮できるよう双方向で作る授業」と「彼らのありのままを理解する教育カウンセリング」を軸とした療育を実践しています。

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