
プライベートの幸せと仕事の充実、この「二兎を追う」のは贅沢?
- 更新日:2019/10/10
- 公開日:2019/10/10
二兎追うものは一兎も得ず
これは有名なことわざですよね。
意味は「欲を出して2つのことを同時に行うと、結局両方とも失敗してしまう」というものです。
「確かにそうだよね!」という経験をした人も多いと思います。だからなのか、キャリアコンサルティングにおいて、こんな相談をされることもあります。
「結婚をして子供がいます。プライベートは幸せです。でも、実は今の仕事にはやりがいを感じていません」
「プライベートが充実しているのに、さらに仕事の充実まで求めるのは贅沢ですか?」
もっとやりがいのある仕事がしたい!でも、「プライベートの幸せ」と「仕事の充実」の二兎を追ってしまうと、どちらもうまくいかなくなるんじゃないか…こんな不安や葛藤を感じてのご相談です。
二兎追うものは一兎も得ず。このことわざはキャリアにおいても当てはまるのでしょうか?
人生の7つの役割

キャリアに関する理論家であるスーパー(Super,D.E.)によると、人は人生において次のような共通的な役割を7つ経験します。
(1)子供
(2)学生
(3)余暇人
(4)市民
(5)労働者
(6)家庭人
(7)その他
それぞれの役割についてみていきましょう。
(1)子供
これは、自分の親から見た子供の役割です。子供の頃だけでなく、大人になって親孝行したり、親の面倒をみたり、介護をする。これらも「子供」の役割になります。
(2)学生
これは、何かを学ぶという役割です。保育園、幼稚園、小・中・高校、専門学校、短大、大学などで学ぶことは「学生」の役割になります。
さらに、社会人になってからの資格を取るための勉強や、趣味で好きなことについて学ぶことも「学生」の役割になります。
(3)余暇人
これは、余暇を楽しむという役割です。趣味や旅行を楽しんだり、友達とおしゃべりをしたり、買い物をしたり、食事を楽しんだり……、こんな楽しむ時間を過ごす役割です。
(4)市民
これは、住んでいる地域から求められる役割です。地域で開催されるイベントやお祭りに参加したり、回覧板を回したり……こんな役割です。
(5)労働者
これは、働いてお金を稼ぐという役割です。
(6)家庭人
これは、家庭を持つことで求められる役割です。結婚すると配偶者の役割が、子供が生まれれば親の役割が求められます。
(7)その他
これは、上記以外で、人生で求められる役割のことです。人はこれらの役割を複数、同時に果たしながら、それを年齢によって変化させていきます。
例えば、
生まれてから学校に入るまでは、「子供」「余暇人」の役割を果たしています。
学校に入ってから卒業するまでは「子供」「余暇人」に「学生」の役割が加わります。
就職すると「労働者」の役割が大きくなります。すると、「子供」「学生」の役割は大きく減り、「余暇人」の役割も減少します。
また社会人になって資格の勉強などをはじめれば「学生」の役割が増え、「余暇人」の役割が減ることもあるでしょう。
結婚したり、子供ができれば「家庭人」の役割が増えます。そうすると、独身時代よりも「余暇人」の役割を減らさないといけなくなるかもしれません。
また、子育てのために「労働者」の役割を減らすという選択をすることもあります。さらに、「市民」の役割を周りから期待されるかもしれません。
子供が成人すると、「家庭人」の役割が減って、「余暇人」の役割が増えます。また。親の介護が必要になれば、「子供」の役割が増えることになります。
「二兎追うものは一兎も得ず」は思い込み

二兎追うものは一兎も得ず。このことわざのように「仕事」か「プライベート」のどちらかの充実しか選択できない!こんなことを思っている人は意外と多いんです。
でも、これは完全な「思い込み」です。自分のキャリアについて考えるときは、「仕事」と「プライベート」を分けて考えるのではなく、「どちらも合わせて自分の人生」と考えるのが正解です。
人生には7つの役割があります。もちろんのこの役割をいつ、どのように、どれぐらいの比重で担っていくかは、人それぞれです。
そして、それは「何を大切にしたいのか」という自分の価値観によって選択していくことになります。
もし、「プライベートも仕事も両方とも大切で充実させたい!」というのがあなたの価値観であるなら、それを実現させた方が人生は豊かになりますよね。
だから、「プライベートの幸せ」と「仕事の充実」の二兎を追っていいんです!
さらにスーパー(Super,D.E.)は、役割は多いほど、人生は豊かになると言っています。つまり、二兎どころか三兎も四兎も追ってみましょう。
何が幸せなのかは、人それぞれです。どんな人生を送りたいのか、自分は何を大切にしたいのか、どんなときが充実感を感じられるのか。
まずはこんな自分の価値観や興味、欲求を整理してみましょう。
そして、それらと仕事の関係はどうあるべきなのか。こんな視点で仕事について考えると、自分のキャリアについて新たな発見があるかもしれませんよ。
参考文献:「新版 キャリアの心理学」 渡辺三枝子 編著 ナカニシヤ出版
▼著者:浦田 大暁さんの人気コラム▼
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浦田大暁
(キャリアコンサルタント/中小企業診断士)
1977年生まれ、静岡県出身。「このまま今の仕事を続けていていいのかな?でも本当にやりたいことがわからない…」 こんな悩みで苦しんでいる30代を支援する、やりたい仕事探し専門のキャリアコンサルタント。
公式HPヤリガイ!
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