自分磨き

子供の貧乏ゆすり、しつけで何とかできるもの?

子供の貧乏ゆすり

貧乏ゆすり、というそもそもの名前もいけないのかもしれませんが、とにかく、「貧乏ゆすり」を目の前でされると気が散るしイライラする。けれど、これしきのことでイラつく自分もなんだか小さい気がして、「本人の癖だから仕方ない」と必死に自分に言い聞かせ、がまんをする。

子どもから大人まで、悩ましいこの貧乏ゆすり。不安が強くなったりすると出るとか、血流が悪いと出やすいとか、巷では様々に論じられていますが……。


今回は、そんな貧乏ゆすりを、感覚統合の視点から見たお話です。


CASE14 子供の貧乏ゆすり、しつけで何とかできるもの?

子供の貧乏ゆすり

「そんなに貧乏ゆすりしたらうちが貧乏になっちゃう気がするから、ほんと、やめて!!! 」

何の根拠もありませんが、つい、息子にそう言ってしまった私(笑)


言った瞬間はおさまる貧乏ゆすりですが、しばらくするとまたカタカタカタカタ……。これは一体、どうしたことか。遺伝? 何か不安があるの? なにをどうしたらこれがおさまるのかがわからなくて、とりあえずしつけだな、という安直な結論を出した私は、息子が貧乏ゆすりを始めるたびに「やめて」「落ち着いて」「家ではいいけど、外では気をつけよう」と、声をかけていました。


「覚醒のための刺激である」という理解

じっと座っている時に限って、子どもたちの貧乏ゆすりが気になる、ということはありませんか?


この貧乏ゆすりは、感覚統合という、脳に入った刺激情報の交通整理機能の視点からすると、「覚醒を維持しておくための刺激の補給である」と見てあげることができます。

わかりやすく言いかえると、「放っておくとぼ~っとしたり眠ったりしてしまうので、起きている状態を維持するために、身体をゆすったりして刺激を自分で作り出し、脳を起きている状態にさせている」ということです。(*1)


例えば「多動」と呼ばれる子どもたち。

授業中に落ち着いて座っていることができず、立ち上がって歩き回ったり、貧乏ゆすりをしたり、身体を前後左右にゆらゆら揺らして椅子をガタガタいわせてしまったり。

彼らは覚醒を維持するために、自分自身で刺激を「取りに行っている」のです。(*2)

「静かにして落ち着いて座っていなさい」と指導するのは、極端に言えば「ぼ~っとしていていいですよ」「寝ていていいですよ」言っているようなものです。


必要としている感覚刺激を与える

こうした子どもたちには、必要としている感覚刺激を与えてあげればよいのです。

そうすることにより覚醒状態が保たれ、自分自身で刺激を作り出す行動を取らなくてもよくなる。


また、同じ程度の刺激を与え続けるよりも、オンとオフをはっきりとさせた方が、より強い刺激として脳は認識をします。授業中であれば、座った状態で先生の話を見たり聞いたりするよりも、手での作業を増やしたり、先生のお手伝いなどで立ったり座ったりする機会を増やしたりすることで覚醒状態が保たれます。病院の待合室や電車の中など、全身を動かすことが難しい場面では、シールを貼る絵本や指先を使うおもちゃなどで手指を動かす工夫をするといいでしょう。(*3)


「覚醒状態の維持」が難しい子たちには、感覚刺激を普段からしっかりと入れることが有効です。

・そっと抱っこするだけでなくて、時々ぎゅうっと抱きしめる

・布団をかけて横になっている足の上から、少し強めに足を圧迫してみる など

どのくらいの強さが心地よいのか、本人とコミュニケーションを取りながらやってみるとよいでしょう。


家族は理解していても……

さて、この貧乏ゆすり。電車の中や病院の待合室など、他人がたくさんいて静かにしていて欲しい時にされてしまうという経験をされた方も、少なくないのではないでしょうか。


先日、保護者面談に来られたはにやくんのママからの相談はまさにこの話題について。病院の待合室で、いつものように貧乏ゆすりが始まってしまったはにやくん。ママはあれこれと手を尽くしていたのですが、お隣に座っていたおじさんから「こんなに落ち着きがなかったら、我が家ではげんこつだよ」と、注意を受けてしまったそうです。


家庭内だけで理解していればなんとかなる、というわけにはいかない。どうしても、外で他人が関わる状況になった時に、親は何を選択していくかということが問われます。


他者から注意を受けた時、それは、チャンス

はにやくんのママのように、他の人から注意を受けてしまった時、それは、ママ自身の心を調え、互いの理解を深めるチャンス。


他人から注意を受けると、過剰に謝る被害者になってしまったり、逆に、自分の正当性を主張して相手を糾弾する加害者になってしまったりと、ちょっとアンバランスになりがちな私たち。「必要な分だけ謝る」ということができるようになると、とても楽になります。


そのためのポイントはふたつ。


ひとつは、「他者からの注意は、あなたの人格否定ではない」ということ。

我が子の行動ひとつで、あなたの子育てのすべてがダメだとか、しつけのできない親だとかいった評価を受けるわけではありません。そもそも、子育ては評価されるとかいう質のものではありませんし。

注意を受けたとしても、その行動や態度の修正が必要とされているだけです。


そしてもうひとつは、「自分の心を観じてみる」ということ。

子どもたちが、大人のイライラを誘発する行動を取った時、「もし我が子のこの行動が私のためだとしたら、私の心の何を吐き出させてくれているんだろう?」と、自分に問いかけてみる。

「貧乏ゆすりに対してだけじゃなく、待ち時間が長いことにも、ここのところ忙しいことにも、時間がなくてやりたいことができなかったことにも……」といった具合に、自分のイライラの思いつく限りの原因を自覚してみる。

そうすると意外に、子どもに対してのイライラ以外に蓄積されていたイライラまで、この出来事に上乗せしているということに気づくかも。感情は、封じ込めずにしっかりと「ある」ことを自覚し、味わい切ることが大切です。


このふたつができるようになってくると、「申し訳なかったな」と感じた分だけ謝れるようになります。人格否定と受け取ってしまった分の「申し訳ない」であったり、別のことに対する隠し持っていたイライラの分の「うしろめたさ」であったりといった諸々の余分な成分がこの「謝る」という行為から無くなると、相手とのやり取りもスムーズにすすみ、コミュニケーションが生まれ、より楽に理解し合える。


子どもの与えてくれるこうした機会は、自分自身のコミュニケーションのパターンを修正し転換するチャンス。そんな風にとらえてみてください。だって、貧乏ゆすり、そんなに悪いことではないでしょう?



(*1)、(*2)、(*3)…感覚統合療法入門講習会資料/日本感覚統合学会2017.06開催


バックナンバー

♯13:何度も何度も同じ本ばかり読むけれど、これって意味あるの?


♯12:発達症の子に、キレてもいいですか? ~子どもにイラっとしてしまったら


#11:質問魔のわが子、ほんとに疲れる…どこまでも答えなきゃダメ?


♯10:みんなを待たせることは迷惑か~本当に優先すべきは何でしょう?


♯9:わかっていてもしてしまう、子どもの宿題への口出し手出し


のじゃ塾とは?

幼児から大人まで通える療育塾。

発達症、発達症のボーダー、学校や家庭での問題行動全般、不登校、拒食症、統合失調、ダウン症など、子どもたちに同じケースはひとつとしてありません。 自宅の一室で、「語らい」や「遊び」「学び」の中から発見される子どもたちの心の声を聴きながら、ひとりひとりに、オーダーメイドな授業、教育カウンセリングを実践しています。また、のじゃ塾の療育メソッドをもとに、感覚統合を促進させる運動療育チーム「まなまりんManaMarine」を発足。



  • のざきみほ(学習・療育のじゃ塾塾長/日本子ども虐待防止学会会員/イラストレーター)

    「子どもたちが本来持っている才能を存分に発揮できるよう双方向で作る授業」と「彼らのありのままを理解する教育カウンセリング」を軸とした療育を実践しています。

女子力アップ

編集部ピックアップ

女子カレとは?

今週のお悩みQ&A

広告掲載について

Facebook

Twitter

ページTOPへ