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内縁と事実婚〜内縁や事実婚を破棄されたら?重婚的内縁って何?【弁護士に聞いてみた】

弁護士に聞いてみた

前回は、「内縁」 ・「事実婚」 についての説明と、「法律婚」 と違う点や同じ点についてお話しました。

今回は、内縁や事実婚のカップルが、その関係を破棄された場合に何を求められるのか、重婚的内縁とは何かについて解説します。


内縁・事実婚を破棄された場合、慰謝料を請求できるの?

慰謝料の請求

内縁・事実婚の夫婦にも、法律婚の夫婦と同様に、同居義務、協力義務、扶助義務、貞操義務が課されますから(民法752条) 、内縁関係を破棄した場合には、慰謝料が発生する場合があります。


最高裁判所も、「内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異なるものではなく」 、「内縁を不当に破棄された者は、相手方に対し婚姻予約の不履行を理由として損害賠償を求めることができるとともに、不法行為を理由として損害賠償を求めることもできる」 として、慰謝料請求を認めています(最高裁昭和33年4月11日判決) 。


つまり、正当な理由もないのに内縁関係を一方的に破棄された場合には、破棄された側は破棄した側に対して、慰謝料を請求できるのです。


裁判例を見てみると、不貞(浮気) 、遺棄(他方がもう一方と子どもを残して家出し長期間帰らない場合など) 、虐待、侮辱、強度のヒステリー、異常な性欲などの事情を、内縁解消の正当な理由として挙げているものがありますので、このような事情もないのに内縁関係を一方的に破棄された場合には、慰謝料請求が認められる可能性があります。


また、例えば、浮気が原因で内縁関係が解消されたような場合には、浮気された側としては、浮気した側だけではなく、浮気相手に対しても慰謝料を請求することもできます。


内縁・事実婚を解消する際に財産分与を受けられるの?

財産分与

内縁・事実婚であっても、長年一緒に生活して協力しながら財産を築いている場合も多くあります。このような場合に、内縁が解消されたからといって、一方が何ももらえないというのはアンフェアですよね。


そこで、法律婚の夫婦が離婚する際に財産分与が行われるのと同じように、内縁・事実婚の関係にある男女であっても、男女間の財産関係の清算や、経済的に自立困難な他方に対する生活扶助という意味で、財産分与を行って、二人で築いた財産を公平に分配することができます。


裁判例も、「財産分与は、婚姻の解消を契機としてなされるものではあっても、現に存した夫婦共同生活を最終的に規整するものともいうべく、かつこれによって直接第三者の権利に影響を及ぼすものではないから、内縁についても、これを認めるのが相当である」 と判断しています(広島高裁昭和38年6月19日決定) 。


財産分与の場合には、慰謝料請求の場合と異なり、どちらかが内縁関係を不当に破棄したかどうかは関係ありません。もっとも、財産分与制度は、共同して築いてきた財産の清算や、経済的に困窮する他方への援助というのが目的ですから、財産分与が認められるためには、法律婚の夫婦と同じような共同生活がある程度続いていることが必要になります。


内縁・事実婚の関係にある間の生活費って請求できるの?

生活費の請求

法律婚の場合には、夫婦で共同生活を営むわけですから、当然生活費などがかかりますよね。この夫婦の共同生活を維持する費用として、婚姻費用と呼ばれるものがあります。婚姻費用には、生活費、医療費、娯楽費、交際費、将来に備えるための費用(健康保険料などの各種保険料、預貯金など) などが挙げられますが、この婚姻費用については、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して」 分担しなければならないと法律で定められています(民法760条) 。

内縁や事実婚の場合にも、婚姻費用を分担して支払って欲しいという婚姻費用分担請求権という権利が認められています。

例えば、最高裁は、女性が内縁の夫の稼業の手伝いと家事に追われて病気になり、実家で療養していたところ、内縁の夫から別れるとの連絡を受けた事案で、内縁関係にある男女にも、婚姻費用分担請求権が認められると判断しています(最高裁昭和33年4月11日判決) 。

つまり、内縁・事実婚の関係にある男女は、その関係が解消するまでの間、一方が他方に対して婚姻費用を分担するよう請求することができるのです。この判決でも、別居中に内縁の妻が立て替えた医療費等の支払を、内縁の夫に命じています。


重婚的内縁って何?

重婚的内縁内縁・事実婚の中には、重婚的内縁と呼ばれる関係があります。この重婚的内縁とは、内縁当事者の一方又は双方に法律上の配偶者がいる関係をいいます。


つまり、法律上結婚しているのに、別の女性ないし男性と内縁・事実婚の関係を作っているような場合です。

この重婚的内縁の場合も、法律上保護されるのでしょうか?


①原則として、法律上保護されない

重婚的内縁の場合、法律上の配偶者がいるわけですから、通常の内縁・事実婚とは異なり、原則として、法律婚に準じて保護されるというわけにはいきません。法律上の配偶者がいるのに、そちらを放置して他の女性ないし男性と暮らすこと自体がいけないのであって、重婚的内縁の関係にある男女を、法律上保護しないというわけです。


②例外的に、重婚的内縁が保護される場合がある

もっとも、裁判例には、重婚的内縁であっても、法律婚が形だけのものになっていて事実上離婚状態になっており、内縁・事実婚の関係が長年続いているような場合には、重婚的内縁も法律上保護されるとするものもあります(東京地裁昭和43年12月10日判決) 。このような場合には、法律婚の実態がなければ、内縁・事実婚の関係を保護しても一夫一婦制に反しないと考えられるからです。


この場合、重婚的内縁を正当な理由もないのに破棄したときは、破棄された側は、破棄した側に対して慰謝料を請求できますし、財産分与や婚姻費用の分担を請求できる場合があります(東京地裁昭和62年3月25日判決、東京地裁平成4年10月27日判決等) 。


内縁のカップル

最近は、日本でも内縁・事実婚を選択するカップルも増えているようです。有名人でも、後藤久美子さん、萬田久子さん、椎名林檎さんなどがそうですよね。

ただ、内縁・事実婚関係が法律上も保護されるかどうかは、まさにケースバイケースですし、破棄した場合に責任を負わされる場合もありますから、そのような関係にある方は、将来のことも含めてよく話し合っておきたいですね。



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  • 田中雅大(弁護士/第二東京弁護士会所属)

    1975年生まれ。埼玉県出身。証券会社に勤務した後、2010年に弁護士登録。中小企業の法務や不動産案件を中心に扱いつつ離婚や不倫などに関する数々の男女トラブルを解決。趣味はサーフィン、草野球。

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