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婚約破棄〜許される場合があるの? 慰謝料は取れるの?【弁護士に聞いてみた】

弁護士に聞いてみた

「結納も済ませているけど、彼とはうまくいきそうにないから別れたい……。」

こんなとき、婚約を破棄しても許される場合があるのでしょうか?


逆に、「婚約指輪をプレゼントされて両親の挨拶も済んだのに、彼から『別れよう』と言われてしまった……。」そんなとき、婚約破棄を理由に慰謝料を請求できるのでしょうか?

今回は、婚約破棄の「正当な理由」、婚約破棄と慰謝料などについて解説します。


「婚約」 って自由に破棄できないの?

婚約は自由に破棄できる?

「婚約」 とは、将来結婚しようという当事者間の約束のことをいいます。


ただし、どちらかが結婚したいという意思を失ったり、まだ結婚したくないという気持ちになったりした場合でも、結婚を法的に強制することはできません。結婚とは、お互いの信頼と愛情に基づく夫婦生活が前提にあるからです。

つまり、婚約は、当事者の合意または一方の解消の意思表示によって、いつでも自由に破棄(解消)すること自体はできるのです。


もっとも、婚約していると、結納の取り交わし、結婚式場の準備、披露宴への招待状の発送、新居の準備、場合によっては寿退職など、当事者は近い将来の結婚に向けて準備して期待しているのが普通でしょう。それなのに、一方的に婚約を破棄されてしまうと、相手は精神的に辛く苦しい思いを味わうことになりますよね。

また、結婚への準備のために費やした相当な費用も無駄になってしまいます。

そこで、婚約が法的な効果として、「正当な理由」 のない婚約破棄の場合、破棄された当事者は、破棄した相手に対して、損害賠償を請求することができるのです。


婚約破棄の「正当な理由」 とは?

婚約破棄の正当な理由

では、婚約破棄の「正当な理由」は、どのような場合に認められて、どのような場合に認められないのでしょうか?

一般的な考えとして、裁判所は、「婚約解消を理由として損害賠償義務が生じるのは、婚約解消の動機や方法などが公序良俗に反し、著しく不当な場合に限られる」と述べています(東京地裁平成5年3月31日判決)。


「正当な理由」と認められる場合

認められる正当な理由

① 相手の浮気、暴力

婚約の相手が、他の異性と浮気していたり、DV等暴力を振るったりした場合には、相手に婚約破棄を告げても、「正当な理由」があるとして、適法に婚約を解消することができます。


② 結婚に向けての余りに非常識・不誠実な行為

例えば、結婚式を10日後に控えているのに、相手が無断で行方をくらませて、挙式を不可能にしたような場合などが挙げられます(大阪地裁昭和41年1月18日判決)。


③ 精神的疾患・身体的欠陥など

例えば、男性が虚弱体質で性欲もなく、女性と正常な性行為ができない身体的欠陥があった場合などが挙げられます(高松高裁昭和46年9月22日判決)。


「正当な理由」 と認められない場合

認められない場合

① 性格の不一致、相性の悪さ

性格や相性などは、交際している中でお互いに分かっていることですから、婚約する前に分かっていた性格や相性などを、婚約した後に持ち出すのは、自分勝手でフェアじゃないでしょうということですね。


② 相手の借金、貯蓄の少なさ

ケースバイケースですが、婚約後に、男性にローンや奨学金などの借入金が発覚したり、男性の貯蓄が少ないことが判明しても、それだけでは婚約破棄の正当な理由とはならないとした裁判例があります(東京地裁平成25年11月6日判決)。


③ 特定の宗教の信仰

女性が特定の宗教を熱心に信仰していて、それについていけない男性が婚約を破棄した事例で、婚約破棄に正当な理由がないとした裁判例があります(京都地裁昭和45年1月28日判決)。


婚約破棄の場合に慰謝料って取れるの?

婚約破棄の慰謝料

以上のように、婚約破棄に「正当な理由」 がない場合には、破棄された側は、破棄した相手に対して、財産的損害や精神的損害の賠償を請求することができます。


この場合の財産的損害とは、例えば、結婚式場の申込金・キャンセル料、披露宴招待状の発送費用、新婚旅行の申込金・キャンセル料、新居用マンションの敷金・手数料・解約金などが挙げられます。


精神的損害の賠償、つまり、慰謝料については、必ずしも相場があるわけではありません。ただ、いろいろな裁判例を見てみると、それぞれの事情やその当時の経済状況によってまちまちですが、だいたい30万円前後から300万円前後のケースが多いように思われます。


婚約破棄の場合に結納品って返ってくるの?

結納品

判例によれば、結納とは、「婚約の成立を確証し、あわせて、婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家間の情誼を厚くする目的で授受される一種の贈与である」とされています(最高裁昭和39年9月4日判決)。

そうすると、結納品は、贈与、つまりプレゼントなのだから、返さなくてもよいように思えます。


ただ、結納品は、結婚という最終目的を達成するために送られるものですから、結婚しないことが確定した場合には、結納品をもらった理由がなくなってしまいます。

そこで、婚約が破棄されて結婚しないことが確定した場合には、結納品をあげた方は、受け取った相手に対して、結納品を返還するよう請求することができます。


以上のように、婚約は、自由に破棄することができますが、婚約破棄に正当な理由がない場合には、破棄された当事者は、破棄した相手に対して、損害賠償や慰謝料を請求することができます。また、渡した結納品の返還も請求することができます。


もっとも、婚約破棄に「正当な理由」が認められるかどうか、損害賠償の範囲にどのような費用が含まれるかについては、事案によって様々ですから、いざそのような事態に遭遇した場合には、周囲の家族や友人に相談したうえで、信頼できる弁護士に相談してみることをオススメします。



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  • 田中雅大(弁護士/第二東京弁護士会所属)

    1975年生まれ。埼玉県出身。証券会社に勤務した後、2010年に弁護士登録。中小企業の法務や不動産案件を中心に扱いつつ離婚や不倫などに関する数々の男女トラブルを解決。趣味はサーフィン、草野球。

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