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婚約の成否〜どうすると「婚約」になるの?【弁護士に聞いてみた】

弁護士に聞いてみた

男女が仲良くお付き合いしていると、「ずっと一緒にいようね」「いつか結婚しようね」と約束したり、約束していなくてもお互いに結婚を意識した行動をとったりすることがありますよね。でも、それだけで「婚約」が成立することになるのでしょうか?

今回は、「婚約」 とはどのような場合に成立するのか解説します。


そもそも「婚約」 って何?

婚約って何?

「婚約」とは、将来結婚しようという当事者間の約束のことをいいます。

古い判例によれば、「男女が、誠心誠意をもって、将来夫婦となるべきことを確定的に合意すること」(大審院昭和6年2月20日判決)とされていますし、比較的最近の裁判例でも、「当事者双方の将来夫婦になろうという合意」(神戸地裁平成14年10月22日判決)とか、「将来夫婦になろうという男女間の真摯な合意」(東京地裁平成25年11月6日判決)などとされています。

このように、「婚約」 とは、あくまで将来結婚しようという約束ですから、単に性的な関係があるとか同棲しているとかだけでは、直ちに婚約が成立していることにはなりません。

「婚約が成立しているかどうか」は、「結婚しようという真摯な約束をしていたといえるかどうか」を、いろいろな事情を踏まえて具体的に検討していくことになります。ラブラブな時期の「いつか結婚しよう!」という勢いだけの会話で「婚約」 が成立するわけではなく、「真剣に結婚を約束する」ことが必要なのです。


こんな場合でも「婚約」 が成立しているといえるの?

婚約の成立

例えば、長年付き合っていて将来結婚しようと約束していたのに、彼から、「婚約指輪を渡していないし結納もしていないから婚約なんてしていない」とか、「プロポーズしていないから婚約なんてしていない」とか、「親にも職場にも内緒にしてきたから婚約なんてしていない」とか言われてしまった場合でも、「婚約」 が成立しているといえるのでしょうか?


①婚約指輪のプレゼント、結納は「婚約」 の条件ではない

婚約は、将来結婚しようという当事者間の真摯な約束ですから、口約束でもそのような約束があれば、婚約指輪のプレゼントがなくても、結納をしていなくても、婚約は成立します。

社会的な慣行としては、婚約指輪の交換や結納といった儀式を行うことも多いですが、判例は、「婚約」 の成立要件として、こうした儀式を不要としています(大審院大正8年6月11日判決)。

これらは、婚約の意思を外形的に示すものとして、婚約の成立を証明する1つの事実にすぎないのです。


②彼からのプロポーズも「婚約」 の条件ではない

彼がプロポーズしてくれないことからすれば、彼には結婚する意思がないようにも思えますが、将来結婚しようという真摯な約束があれば、プロポーズがなくても「婚約」 は成立します。

結局は、将来結婚しようという約束を証明できるかどうかにかかってきますが、彼がプロポーズをしてくれなくても、性的な関係を継続していたか、同棲などの共同生活の事実があったか、婚約指輪を受け取ったか、式場の下見に行ったか、両親に挨拶したか、結納を行ったかなどのいろいろな外形的な事情を考慮して、将来結婚しようという約束があったと認められれば、「婚約」 が成立していることになります。


指輪

③親にも職場にも内緒にしていても、「婚約」 が成立している場合がある

2人の関係を親にも職場にも内緒にしている以上、婚約の意思を客観的に示す事実がなく、「婚約」 の成立が認められないことになりそうです。

しかし、判例の中には、このような場合であっても、将来結婚することを約束して、長年にわたって性的な関係を続けていたり、同棲を続けていたり、妊娠や出産といった出来事があったりした場合には、「婚約」 の成立を認めている事例があります(最高裁昭和38年9月5日判決、東京地裁平成6年1月28日判決等)。


④結局は、ケースバイケースで証明できるかどうか……

以上のように、将来結婚しようという真摯な約束があれば、「婚約」 は成立します。


ただ、彼と「婚約」 したかどうかで揉めていて、「将来結婚しようと約束したじゃない!」、「お前とずっと一緒にいたいと言ってくれたじゃない!」、「両親に挨拶に行ったときに結婚の話が出たよね!」などと言っても、このような会話の内容は現実的に証明が難しく、言った言わないの水掛け論になってしまうのがオチでしょう。


話し合いでまとまらないときは、最終的には裁判で「婚約」 が成立していることを証明しなければなりませんが、どのような場合に「婚約」 が成立したといえるかについては、法律上明確な基準があるわけではありません。まさに「ケースバイケース」で、いかに客観的・外形的な事実から婚約の意思を証明できるかにかかってきます。


婚約者として法律的に何か請求できないの?

婚約破棄の請求

仮に、裁判でいろいろな事実を証明できて「婚約」 の成立が認められた場合に、一方的に別れを切り出した彼に対して、法律的に何か請求できるのでしょうか?


①慰謝料を請求できる場合がある

一方的に婚約を破棄した彼に対しては、精神的に苦しい思いを味わったとして、慰謝料を請求することができる場合があります。

もっとも、婚約の破棄に「正当な理由」がある場合には、慰謝料請求が認められないこともあります。

詳しくは、次回に解説します。


②結婚しろと法的に強制することはできない

裁判で「婚約」の成立が認められたとしても、婚約に基づいて無理やり結婚させることはできません。

結婚は、結婚するという合意と婚姻届の提出で認められるものですが、当事者同士が自由な意思で結婚すると合意したことが前提です。相手が結婚を望んでいないのに結婚を強制しても、精神的に結ばれた幸せな結婚生活を送ることは無理ですよね。


結婚の約束

このように、「婚約」 は、将来結婚しようという当事者間の真摯な約束があれば成立します。

婚約指輪のプレゼントがなくても、結納をしていなくても、彼からプロポーズをしてもらわなくても、将来結婚しようと真剣に約束していれば、「婚約」 は成立するのです。


もっとも、彼と婚約したかどうか揉めてしまったり、一方的にフラれてしまったりしたようなときに、彼に対して婚約破棄を理由に慰謝料を請求するような場合は、いろいろな客観的・外形的事実から、「婚約」 が成立したことを証明しなければなりません。


事案によっては、弁護士に相談しても判断が分かれるケースもあるでしょうが、多数の解決実績がある弁護士に相談するのが良いと思います。



  • 田中雅大(弁護士/第二東京弁護士会所属)

    1975年生まれ。埼玉県出身。証券会社に勤務した後、2010年に弁護士登録。中小企業の法務や不動産案件を中心に扱いつつ離婚や不倫などに関する数々の男女トラブルを解決。趣味はサーフィン、草野球。

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