自分磨き

独身男性が養子縁組支援団体を立ち上げたワケ【特別養子縁組②】

なんで子供が欲しいの?

前回は、特別養子縁組の海外と日本の現状について、一般社団法人ベビーライフ代表、篠塚さんに解説していただきました。

今回は、篠塚さんがベビーライフを始めたきっかけや、実際に養子縁組をした家族は幸せになっているのか、についておうかがいしました。


ベビーライフとは

赤ちゃんを産んでも育てられない事情のある方への相談事業、および特別養子縁組の支援を行っている一般社団法人。民間団体である強みを活かし、養子を受け入れた後のケアにも力を入れている。


特別養子縁組とは

実父母の養育が困難な6歳未満の子どもを、養父母が引き取り、法的に親子関係になる制度のこと。その際、実父母との法的な親子関係は解消される。


携帯会社勤務の独身男性が、養子に着目したワケ

養子に着目したワケ

―ところで、篠塚さんはナゼ養子縁組の支援団体を設立されたのでしょうか?


きっかけは26歳のとき、JUNOという映画を見たことです。まさに人生の転機でした。


当時は携帯電話の通信会社に勤めており、電話回線の故障対応などをしていましたが、ある病気にかかり、大掛かりな手術をすることになったんです。病気療養中に映画をたくさん見ていたのですが、その中の一本がJUNOでした。


JUNOでは、十代の女の子の出産と養子縁組が描かれています。それまで養子縁組についての知識はほぼありませんでしたから、「こういう世界もあるんだな」と衝撃を受けました。調べてみると、海外にくらべ、日本ではあまり養子縁組が行われていないと知りました。そこで、福祉という面で社会貢献ができるだろう、と思い2009年、ベビーライフを立ち上げました。


立ち上げるにあたって、東京都に申請を出すのですが、当時まだ結婚もしていませんでしたので「結婚もしていない男性がなぜ養子縁組を?」と不思議がられましたね。


もともとオーストラリアの大学で、発達生理学などを学んでいたこともあり、子どもの発達には興味があったんです。子どもの発達には環境が大きく関係していることを知っていましたから、健全な発達が難しい環境に置かれている子どもが少なからずいるということを知り、子どもがみんな幸せに育つ環境にしたいという想いが、沸いてきたんです。


立ち上げ時は大変なこともありましたが、「子どもたちのために」という信念があったので、なんとか進めていくことができ、もうすぐ10周年を迎えます。一人ひとりの子どもが幸せに家庭で暮らせること、それが私の願いです。


「血のつながり」がなくても幸せになれる?

血のつながりがなくても幸せ?

―「幸せに」という話が出ましたが、養子を迎えたご家族は、実際に幸せになっているのでしょうか?


私は幸せというのは、作っていけるものではないか、と思うんです。


「養子を授かりました。はい、今から幸せです」ということではなくて、そこからどう幸せになっていくかは、当事者にかかっています。


状況は難しいかもしれません。でもそこから幸せになるまで、ステップを踏んで、一歩一歩進んでいく必要があると思います。楽しいこと、辛いこと、嬉しいことを家族としてシェアしていく、その時間の積み重ねこそが大切なんです。


血のつながりがなくても幸せ?

―いきなり家族になるというより、作っていく、ということでしょうか?


そうですね。「養子で赤ちゃんを授かって幸せ」というのは、大人の側の意見であって、赤ちゃん自身はまだ何も感じていないですよね。


子どもは、他人と関わり、いろんな経験をしながら、大人になっていきます。子どもごとに、その子の幸せの形は違うでしょう。それぞれ、どの幸せが一番いいとは言えませんよね。

子どもの個性や、家庭に合わせて、それぞれが幸せに感じられるようにステップを踏んでいけばいいんじゃないかな、と思います。


周りからどう見られているかは関係なく、本人たちが幸せであればいいですよね。自己満足と言われてもいい。自分たちが幸せで、他人の幸せを侵害しなければいい。その幸せを逆に、他の人にも波及効果じゃないですけど、分けてあげるくらいの気持ちになれればいいですね。


「養子だからかわいそう」に打ち勝つ方法

養子だからかわいそう?

―そうは言っても、周りの目が気になることはあると思います。


それは気になって当然ですよね。

養子に対しても「血のつながらない親に育てられるのはかわいそう」と考える方がいるのは事実です。いくら自分たち家族が幸せでも、そういった哀れみの目で見られるのはつらいですよね。

ですが、他人を変えることは難しいので、他人が変わることを期待する必要はないと思うんです。


自分が幸せを感じながら生き、「血のつながらない幸せ家族がいる」ということを体現していくことで、時間はかかるとは思いますが、文化も変わってくると思います。


「養子だからかわいそう」

「ステップファミリーだからかわいそう」

「同性カップルの親だからかわいそう」


こういった考えを持つ人は一定数存在します。どれもあまり数が多くない家族の形なので「よく知らない」→「普通じゃないから、不幸なのでは」と考えてしまうのだと思います。


自分たちが幸せであるという事実を積み重ねていくことで「あ、そういう幸せの形ってあるんだ」と他人も感じられるチャンスをつくっていくことが、社会全体を変えていくことになるのではないでしょうか。


次回は、子どもを養子に出す親の葛藤や、子育てのヒントについておうかがいします。



▼ベビーライフHP



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「子どもを育てられない親」はいます。【特別養子縁組③】

《バックナンバー》なんで子供が欲しいの?

・#8:同性カップルに育てられた子供はかわいそう?【同性カップルと里親③】


・#9:「必ずしも女が好きなわけじゃない」女性が女性と暮らすワケ【同性カップルの子育て①】


・#10:同性カップルと異性カップルの違いとは?【同性カップルの子育て②】


・#11:LGBTやステップファミリーでも「普通に子育てできる」ために必要なこと【同性カップルの子育て③】


・#12:「血のつながりのない子ども」はかわいそう?【特別養子縁組①】



  • 今来 今(フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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