
同性カップルに育てられた子供はかわいそう?【同性カップルと里親③】#8
- 更新日:2019/05/15
- 公開日:2017/07/29

LGBTと子供の関わり方、および里親制度の現状と課題について、一般社団法人レインボーフォスターケア代表理事の藤めぐみさんにお話しをおうかがいしました。
インタビュー第三弾をお届けします。
同性カップルが里親認定されたというニュースをうけ、「同性カップルに育てられた子供がかわいそうだ」という批判も受けたという藤さん。しかし、その批判は子供たちの現状を知らないからだ、と語ります。
藤めぐみさん
一般社団法人レインボーフォスターケア代表理事。法務博士(専門職)。1974年豪州・シドニー生まれ。大阪府育ち。 大阪大学文学部卒業、関西大学法科大学院修了。衆議院議員公設秘書、自治体職員などを経験。2013年、LGBTと社会的養護の問題について考える団体「レインボーフォスターケア」を設立。
一般社団法人レインボーフォスターケアとは?
「LGBT×社会的養護」をキーワードに、LGBTが里親として子供を養育できることを目指し、調査や講演活動を行っている。
同性カップルの子育て:2つのパターン

―同性カップルの家族にはどういった形があるのでしょうか?
同性カップルと一概に言っても様々な形があります。
「新しく子供を持つ」同性カップルのケースで考えた場合、大きく分けて二つパターンがあると考えています。
一つ目は先ほどからお話ししている里親制度。社会的養護(保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援)による子供の養育という方法です。
もう一つは、精子提供などを受け、子供を出産するという形です。
私としては、里親になり社会的養護に関わる、という形に関心を持ってほしい、というのが本音です。というのは、ひとつには私は自分で子供を産むことや血のつながりに重きをおいていない、という面があるからかもしれません。血のつながりがある子供が欲しいと考え、精子提供を受けているレズビアンやバイセクシュアルの友人もいますし、その気持ちを否定するつもりはありません。

私自身は、養育できる親がいない子供と、その子供たちの現状を知ってしまったので、できるならば社会的養護に貢献していきたい、子供が育つための家庭を増やしたい、という想いがあります。
里親という形にこだわる必要はなく、子ども食堂(経済的な事情などにより、家庭で十分な食事がとれなくなった子供に、無料もしくは安価な食事や居場所を提供する活動)に関わったり、児童養護施設のボランティアをしたり…そういった子供とのかかわり方の選択肢の一つとして里親があると思うんです。
私のところにも、「どうしても子供が欲しいんです!」と相談にくる同性カップルの方がときどきいらっしゃいます。
気持ちは分かりますが、里親の問題については、精子提供などの話と同列に語れるものではなく、まずは、家庭で養育困難となった、厳しい状況に立たされている子供たちがいるという現状を知っていただきたいと思います。
子供とのかかわり方を考えるきっかけに

―今後はどういった活動をされていきますか?
里親制度について正しい知識を広め、同性カップルを含めさまざまな方々が社会的養護に関心を持ち、里親になれるような環境を作る活動をしていきたいと思います。そのためには、法律の整備や、自治体の方やソーシャルワーカーの方などの偏見を無くしていく必要があります。
偏見を無くしていくためには、LGBT家庭の「顔が見えていく」ということが大切だと考えています。異常なことや恐いことではなく、「隣にいるんだよ」ということが広まれば社会も変わってくるのではないでしょうか。
同性カップルが里親認定されたという報道があったときに、「同性カップルに育てられるなんて、子供がかわいそう」という意見を目にしました。
でも、すでに同性カップルで子育てをしている家庭が身近にある私からすると、彼らの子育ては異性カップルの子育てと何も変わりないし、何をかわいそうと言っているのだろう、という印象なんです。
児童養護施設には、「親からトイレに何度も閉じ込められた経験をしたので、怖くてトイレに行けない」とか、そのような虐待を経験して心に傷を負っている子供たちもいます。そういった子供たちを「安心できる家庭に迎え入れ、寄り添っていく」のが里親制度なんですね。
「同性カップルが里親認定された」というニュースについて、他人事だと考えず、子供との関わり方を考えるきっかけにしていただければと思います。
―ありがとうございました。

これまで「子供を育てる」ということは、「自分の血のつながりがある子供を育てる」ことしか想定していなかったのですが、お話しをおうかがいしたことで、「血のつながらない家族」や「養育に問題を抱えている家庭を支援する形での子育て」という家族・子育てのありかたについて考えるきっかけをいただきました。
今後、この連載では養子や同性カップルの子育てなどについて、より掘り下げて考えていきたいと思います。
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・#4:「トイレで出産した17才未婚の母」は不幸だと思いますか?前編
・#5:「トイレで出産した17才未婚の母」は不幸だと思いますか?後編
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