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「トイレで出産した17才未婚の母」は不幸だと思いますか?後編 【連載】なんで子供が欲しいの?#5

なんで子供が欲しいの?

連載第五回目では、前回に引き続き、17才で出産した櫻井茉莉菜さん一家のインタビューをお届けします。高校在学中に母となった茉莉菜さん、また茉莉菜さんの母親である理惠さんの子育て観はどういったものなのでしょうか。


今回お話しを伺ったご家族

櫻井理惠さん(43)カウンセラー。31才で離婚後、女手一つで二人の子供を育てる

櫻井大珠さん(22)理惠さんの息子

櫻井茉莉菜さん(19)理惠さんの娘。17才で愛美ちゃんを出産

櫻井愛美さん(2)茉莉菜さんの娘


父親がいなくても子供は育つ

父親がいなくても子供は育つ

お話しを伺っていく中で感銘を受けたのは、理惠さんの冷静でフラットな感覚です。

娘が10代で子供を出産するとなると、多くの母親は半狂乱になって娘を責めたりしそうなものですが、その場に居合わせた息子の大珠さん曰く、理惠さんは一度も茉莉菜さんを責めなかったといいます。


「私自身が離婚を経験していて、子育てについて後悔があったんですよね。今だったらもっと違う子育てができたにのって。だから愛美が生まれて、今から子育てをやり直せる、っていう感覚もあったと思います。でもだからといって私が育てるわけではありませんけど。愛美の母親はあくまで茉莉菜なので、あまり口出しせず、必要なときに助けられるように、見守ろうと思ってます」


理惠さんは、ご自身が女手一つで子育てをされてきたということもあって、「母親一人でもちゃんと子供は育つ」という実感があったようで、娘が結婚せずに子育てをすることについても人一倍理解がありました。


出産後、茉莉菜さんは一か月で学校に戻り、バレー部にも復帰します。学校には出産のことは秘密にしておいたそうです。


子育ては楽しい

子育ては楽しい

茉莉菜さんは高校を卒業後、育児に専念する傍ら、理惠さんの助手として仕事を手伝っています。

私が十代のころは自分のことで精いっぱいでしたし、やりたいことがたくさんありました。

「子育てに自分の時間をすべて使うような生活は苦ではないのか」と茉莉菜さんに聞いてみると、「高校のときは、学校と育児と部活で充実していて楽しかったし、卒業してからは愛美とたくさんいれるようになったから、大変とか辛いとかはあまり思わないですね。子育てって楽しいと思います」とのこと。


理惠さんは子育ての楽しさに同意しながらも、デメリットとしてママ友の存在を挙げました。


「ママ友ってそのまま子供の付き合いに響いたりもするから、性格が合わなくても無理して付き合ったりすることもあるんです。それはやっぱりつらいですね。でもそれも子供が小さいうちのことだけなので、ちょっとの間我慢すればいいんですけどね」


こういったデメリットはあるものの、子育てはそんなデメリットを凌駕する喜びがあると理惠さんは語ります。


「愛美が生まれる一か月前に母が亡くなったんです。自分の絶対的な味方である母を亡くして、家族の大切さを改めて実感しました。私の今の家族は子供たちです。もちろん家族のことを邪魔だなって思う時もありますよ(笑)。でも、家族がいるから安らげるし楽しい、私にとっては家族は生きがいですから」


ただ生きがいだからといって子供と自分を同一視することはない、と理惠さんは言います。子供を自分のもの、と考えるのではなく、一人の意志がある人間として育てることが大切だというのです。

子供も一人の人間

「子供って生まれたときから意志がある一人の人間なんですね。だから子供だからといって自分の思うままに操るのではなく、意見を尊重することが大切だと思ってるんです」


茉莉菜さんにも子育てのメリットを聞いてみると、ひざに愛美ちゃんをのせて、ほっぺをぷにぷにしながら「う~ん、なんだろ~」としばらく悩んでいました。「なんですかね~」とほんわかトーンで考え続ける茉莉菜さん。


答えを聞くまでもなく、愛美ちゃんを抱っこしている茉莉菜さんは紛れもなく幸せそうに見えました。茉莉菜さんにとって愛美ちゃんがとても大切な存在であることが伝わってきて、彼女はそこにいるだけで幸せを感じられる存在を手に入れることができたのだと感じました。


あるべき家族の形は自分で決める

自分で決める

茉莉菜さんが出産した当日、兄の大珠さんから茉莉菜さんに宛てて送られてきたラインを見せてもらいました。そこには茉莉菜さんと愛美ちゃんへの感謝の言葉がつづられていました。

「これから毎日がもっと楽しくなると思うよ。生まれてきてくれてありがとう」

突然の出産に不安だらけだったであろう茉莉菜さんへの気遣いと、生命の誕生に対するまっすぐな喜びが感じられました。


世の中には、片親の子供は不幸だ、というイメージがあります。

白状すると、私もどこかでそう思っていたふしがありました。


けれど、目の前にいる家族はどこからどう見ても幸せそうで、愛に満ちていました。子供を持たない夫婦がいるように、結婚しない家族、血がつながっていない家族、いろいろな形があります。


お互いを思いやり、愛している人とともに生活することを、どんな形であれ否定されるべきではないのだと感じました。櫻井一家のほのぼのとした幸せオーラを目の前にし、「こうあるべき」という堅苦しい檻から私自身も少し解放されたような、清々しい気持ちになりました。



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同性カップルも子育てできる?【同性カップルと里親①】

《バックナンバー》なんで子供が欲しいの?

・#1:「子供が欲しい」と積極的に思えない私はおかしい?


・#2:2人の子持ちが語る、子供を育てるメリット・デメリットとは?


・#3:「あんなふうになりたくない」29歳バレリーナが子供を望む4つの理由


・#4:「トイレで出産した17才未婚の母」は不幸だと思いますか?前編



  • 今来 今(フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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