
「お腹に赤ちゃんがいる」ことに実感が持てなくても変じゃない!マイペース育児のススメ【#61】
- 更新日:2020/02/03
- 公開日:2020/02/03
妊娠がわかったからといって、急にママになることに実感が持てないのは当然です。「自分が本当にママになれるのか」と不安な人に、マイペース育児のメリットをご紹介します。
「私なんかがママになれるの?」

希望した妊娠であっても、いざ「お腹に赤ちゃんがいる」ことがわかると、うれしさの反面、不安を感じることもあるものです。私も妊娠したときには「これまで数十年、さんざん自分中心に生きてきたのに、急に子ども中心になれるのかな?」と心配になりました。人間の赤ちゃんはもちろん、動物も、植物さえもろくに育てたことがなく、友だちや親戚の子はかわいいと思っても、「どうやって子どもの相手をしたらいいのかわからない」というのが正直な感覚でした。
子どもはぜひ欲しいと思っていたものの、産院で「今、お腹の中で赤ちゃんが生きているよ」と言われても、自分がママになることも、子どもが産まれてくることにも実感がわいてきません。この「実感がわかない」ということで、余計に「こんな自分がママになれるんだろうか」という不安が強まったような気がします。
妊娠の負担がストレスに

しかも、妊娠中は四六時中、つわりで気分が悪かったり、全身がだるかったり、腰痛や背中痛に悩まされたりします。「うれしい」「幸せ」という気持ちより、「つらい」「しんどい」「不安」という感覚が強くて、育児雑誌などで「ハッピーなマタニティライフを」という言葉を見ると違和感すら覚えました。
健全な精神は健全な体に宿るといいますが、単純な私は、体調が悪いと気持ちまでてきめんにマイナス思考に陥るタイプ。「妊娠したくて妊活したけど、実は自分はママには向いていなかったのかもしれない、自分なんか妊娠するべき人間ではなかったのかもしれない」とまで思うことがありました。
胎教なんてやる気にならない

そんな調子なので、胎教が赤ちゃんにいいと言われても、話しかける気も、音楽を聞かせる気もあまり起こりませんでした。「お腹の赤ちゃんに名前をつけよう」とうれしそうな夫のほうが、よっぽど母親に向いているのではないかと思ったくらいです。健診で成長していく赤ちゃんのエコーを見ても、高齢出産といわれる年齢にさしかかっていたこともあり、「無事に産まれてくれるだろうか」という心配が強くて、うれしい、かわいいという気持ちはなかなかわいてきません。
そうこうしているうちに、逆子になったり、切迫早産と診断されて安静を言い渡されたりといろいろ問題も出てきて、長男のときは、結局ほとんど胎教らしいことはしませんでした。
産まれた我が子をかわいいと思えない!?

そして、陣痛や出産の大変さに驚いて、ショック状態の中で産まれた長男を、はじめてお腹の上に乗せられたときのこと。世のママたちが「なんてかわいいの……!」と感動で涙するシーンが我が身にも訪れるのかと思いきや、「え、誰?」というのが我が子との初対面の素直な感情でした。もともと人見知りなので、我が子にまで人見知りをしたようで、「どうも、はじめまして」という一歩引いた感覚で我が子を見ていたのです。
その後も、か弱い我が子を守ることに日々必死すぎて、手放しで「かわいい」と浮かれるような感覚にはなかなかなりませんでした。
子どもの病気が絆を深めるきっかけに

私たちは、1日、また1日と、一緒に寝る夜を通して親子としての絆を育てていきました。長男も私に似て人見知りな性格なので、母親に対してもどこか引いたところがあったのかもしれません。母子の絆が完全なものになったと思うのは、長男が1歳で肺炎を起こしてしまったとき。何日も熱が下がらず、本当に心配で、1日中、長男の隣に横になって体を撫でていました。この経験を通して、私は「この子は何よりも大切な存在」と感じ、長男も「この人は何があってもそばにいてくれる」と心から信頼できたのだと思います。
これ以降、私と長男は切っても切れない、深い感情で結ばれています。
自分のペースでママになればいい

今になって思うのは、ママになるのは自分のペースで構わないということ。定型通りの「妊娠した瞬間から我が子がかわいくてしかたがないママ」ではなかったとしても、不安になる必要はまったくありません。恋人や友人、職場などのすべての人間関係と同じで、子どもとの関係だって、最初から理想通りとはいかないこともあるのです。妊娠中に「お腹に赤ちゃんがいる」という実感がわかないからといって、それがそのまま子どもへの愛情不足ということにはつながりません。子どもを大切に思うからこそ、心配のほうが勝って、単純に喜べないことがあったとしても当然ではないでしょうか。
2人目以降を育ててきて、自分がすぐに理想通りのママになれなくても、不安になることはなくなりました。育児をする上で、余計な不安はないに越したことはありません。そのほうが、目の前の子どもに向き合い、焦らずラクな気持ちで日々の育児に取り組めます。
子どもと一緒にゆっくり成長しよう
子どもの成長は早いですが、そうはいっても日々の生活を通して、だんだんと大きくなります。ママだって、妊娠した瞬間から急にママになれなくたって大丈夫。お子さんと一緒に、1日ずつ、ゆっくり成長してければいいのです。
「母親はこうでなければならない」という固定観念に捉われて、余計な不安を抱く必要はありません。お子さんとの毎日の中で、きっと自分らしい「ママ」になれると思いますよ。
▼知っておきたかった妊娠・出産・育児のはなし|バックナンバー
・【#56】保育園と幼稚園、どっちがいい?保育料無償化の実態も含めて考えてみた(前編)・【#57】保育園と幼稚園、どっちがいい?保育料無償化の実態も含めて考えてみた(後編)
・【#58】大好きなママに叱られたら悲しい!育児中にイライラしたら思い出してほしいこと
・【#59】育児の最強リフレッシュ法!子どもと一緒に「全部サボっちゃおう!」
・【#60】「育児で一番大変なのは1歳まで」って本当?
▼鈴本りえさんの他の連載はコチラ
・『3人産んだ今だから言えること』我が家の少子化対策#1・【女たちのネット詐欺事件簿 #1】ネットオークションの落とし穴
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鈴本りえ
(ライター/エディター)
旅・グルメ・動物・育児・住宅・ビジネスなど幅広いジャンルで執筆するライター/エディター。趣味はぐうたらしながら本を読むこと。元旅人。運動音痴。現在は地方在住、3児の母。
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