
なぜ体験する前から、出産や育児は「つらい・大変」と思い込んでしまうの?
- 更新日:2019/10/02
- 公開日:2019/10/02
子供がほしいと思っている女性にとって、妊娠できたことは、嬉しいことに違いありません。ですが、ほとんどの女性は、嬉しいだけではなく、不安を同時に感じていることでしょう。
「生まれてきた子供を愛することができるだろうか。虐待してしまうんじゃないか」
「教育に必要なお金が足りないんじゃないか」
「子供が生まれたら、仕事をあきらめないといけなくなるんじゃないか」
「障害のある子が生まれてきたら、どうしていいかわからない」
「夫は育児をどれくらいしてくれるだろうか」
などなど、初めての出産には様々な不安がつきまといます。
産婦人科専門医の瀬川裕史先生は、日々診察をするなかで、「現代のお母さんは、頭であれこれ考えすぎてしまって、必要以上に不安を抱え込んでしまっている方が多い」と感じているといいます。
今回は、瀬川先生の著書『出産と育児を10倍楽しむ方法』を参考に、「なぜ最近の女性は妊娠・出産に強い不安を感じがちなのか」や「不安な気持ちに振り回されず出産や育児を楽しむためのヒント」をご紹介していきます。
なぜ実際に体験する前から、出産や育児は「つらい」「大変」と思い込んでしまうのか

瀬川先生は、出産・育児に関しては、文字通り「案ずるよりも産むがやすし」だと言い切っています。
現代は、昔に比べて医療技術も発達していて、出産で命を落とす女性も少なくなっていますし、新生児の死亡率も低下しています。出産の安全性は明らかに高まっているのです。それなのに、昔に比べて安心感が増すどころか、むしろ不安な妊婦さんが増えている。これはどういったことでしょうか?
出産や育児が「つらい」「大変」と思い込んでしまう理由1:不安を煽る情報があふれている
瀬川先生は、「情報がありすぎるせいで不安になっているのではないか、というよりむしろ、不安にさせられているのではないか」と指摘しています。
たとえば「ひとり子育てするためには◯万円かかる」という情報、よく耳にしますよね。なぜこういった情報が流布されているのでしょうか? 瀬川先生は、「このような金額は、たとえば教育ローンなどの金融商品を売り出したい企業などが、お金がかかるということや子育てには塾や習い事が必要だということを過剰に宣伝しているという側面もあるのでは」と指摘しています。
普段何気なく目にする情報のなかには、「妊婦さんの不安をあおって、お金を引き出そうとしているものも多い」ことに留意しておく必要があるでしょう。
出産や育児が「つらい」「大変」と思い込んでしまう理由2:「理想の母親像」が強すぎる
もうひとつの理由に、「理想の母親像が強すぎる」ことが挙げられます。
日本は、社会からも自分自身からも、「母親」という存在への期待値が過剰に大きくなる傾向があります。「母親なんだからこう行動するべきだ」「母親なんだったらこう考えるはずだ」という理想像や規範に押しつぶされそうになって、苦しめられている人も多いのではないかと思います。(略)以前、妊娠中に「おなかの子供に寄生されているような感じがして、自分の体の中に違う生き物がいると思うと気持ち悪くて仕方がない。私はどこかおかしいのでしょうか」とおっしゃる妊婦さんがいました。それも、ごく普通の感覚だと思います。(略)自分が「理想的な母親像からちょっと外れているように感じたとしても、何の問題もないのです。(P,55-56)
自分の子供を、いつもかわいいと思えるとか、すべてを愛せるとかいうのは、理想の母親像かもしれませんが、実際の母親はひとりの人間です。子供を産んだからといって聖人君子のようになれるわけはないのですから、理想から逸れることで、自分を責める必要はまったくない、と言えるでしょう。
不安な初めての出産・育児を楽しむ3つのコツ

次に、不安になりがちな初めての出産・育児を楽しむコツをご紹介していきます。(P.93-P.119)
1「まあいっか!」を合言葉にする
妊娠中にストレスは大敵。「お腹の赤ちゃんのために!」と栄養管理にストイックになりすぎてイライラするのは本末転倒です。
2妊娠・出産・子育ては家族全員のイベントとして臨む
妊娠・出産・子育てを家族全員が自分ごととして捉えるために、妊娠がわかったら、夫婦揃って産婦人科に行き、初期から父親としての自覚を持ってもらうことが大切です。
3調べすぎない!
調べるよりも、まずは主治医に相談しましょう。ネット上の情報は正しくないものも多々あります。
情報にふりまわされすぎはNG。不安になったら、まずは信頼できる主治医に相談しよう
初めての出産・育児には様々な不安がつきまといます。これまで経験したことのないことで、かつ、不安を煽る情報があふれている世の中ですから、ある程度不安を感じることは仕方がないことだとも言えるでしょう。
ですが、不安から調べすぎて、偽科学などの偽りの情報にふりまわされたり、過度なストレスを抱えてしまったりするのは、赤ちゃんにとってもよくありません。不安になって調べすぎてしまう、という方は、「調べすぎはよくない」と認識し、信頼できる主治医に一度相談してみましょう。
『出産と育児を10倍楽しむ方法』では、出産や育児を楽しむための様々な情報が紹介されています。「不安を軽減してくれて、出産や育児が楽しみになるような本が読みたい」という方におすすめの一冊です。
今回ご紹介した本
『出産と育児を10倍楽しむ方法』
著者:瀬川裕史
出版社:幻冬舎
【バックナンバー】女性を幸せにする本
・双子・三つ子の妊娠生活で気をつけるべき6つのこと・「胎教にはモーツアルトがいい」は根拠なし?妊娠中の過ごし方のヒント
・安全に赤ちゃんを産むために「間違いだらけの産活」を知ろう!
・スマホ・お酒・ダメ恋愛・買い物…プチ依存を脱するための方法とは?
・忙しい女性が「最短の勉強時間で効果を上げる」ためのテクニック5選

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