出産

子どもを産むと失いがちなものって?「大人」とは何なのか、出産後の今、思うこと【#42】

  • 更新日:2019/09/19

出産前と出産後。このふたつは、心身ともに思っていた以上にまったく異なる、別次元です。まさに第2の人生。よくもわるくも、人格や趣味嗜好といった根本的なところにまで影響を及ぼします。


では、子どもを産むと最も“失いがちなもの”って何でしょう? 最近、私が得た「気づき」からお話したいと思います。


「子どものいない女性って……」

趣味を楽しむ女性

電車に乗っていたある夜のこと。私の近くに、恩師のお誕生会帰りの、50代後半と思われる女性2人、男性1人の友人同士がいました。1人の女性が「実はギターを習ってみようと思っているの。次の先生のお祝いには、私が先生の好きなあの曲をギターで披露したいわ」ということを話していました。クイーンをテーマにした大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソディ』を見て、「ブライアン・メイのように弾いてみたい」という若い頃の憧れを思い出したと話していました。


仲間たちは「お、それはいいね!」「素敵だね」と盛り上がっていたのですが、衝撃だったのは、その女性が先に電車を降りたあとのこと。男性がぽつりと、こう言ったのです。「やっぱりさ、子どもを産んでいない女性っていうのは、いくつになっても少女のようだね」。


「なりふり構わない」側の私

子供と遊ぶ母親

男性は続けます。「子どもを育てていると、自分のことには構わなくなるじゃない?なりふり構わないっていうかさ」。


おいおい、それは出産した女性へのディスりですか?と、そばで聞きながら思わず体を硬くした私。話を振られた女性も、薄くうなずきながら、「もうその話はやめましょう」というオーラを出していました。確かに、ブライアン・メイに憧れる女性は、かわいらしく見えたし、服装やヘアスタイルにも気を使っていることが見て取れました。それに比べると私は……と、2カ月以上美容院に行っていない髪や、走って子どもを追いかけることしか考えていないパンツスタイルの自分が、ちょっと情けなくなったのです。


独身時代と比べると、圧倒的に「なりふり構わない」自分がいます。今、純粋な趣味や憧れで何かを始めようという気がない理由は、時間的な制約からだけではないかもしれない。そしてそのとき、出産するまで実母から言われていた言葉を思い出しました。


「女性は出産してこそ一人前」?

親子

令和のこの時代に、これを言う人はほぼいないと思いますが、母世代の女性はたまに言いますよね。実母も「子どもを産んでいない女性は、自分の思い通りにならないものがあるということを知らない。自分のことだけを考えている」というようなことを言っていて、それは30歳を過ぎた私に、「このまま独身で出産せずに、半人前のまま終わるのか」という、何かモヤモヤした呪いのように響いたのでした。


でも、3人出産した今、はっきりと思うのです。「別に出産したからといって、大人にはなっていない」ということを。確かに、自分以外のものを第一に考えるようにはなったけれど、相変わらずすぐ弱音を吐くヘタレだし、迷いながら生きているではないか、と。


育児では経験を積むけれど、それ以外の人間関係などのシチュエーションでは、まったくもって当然のことながら、自分より子どものいない友人のほうが「大人だなぁ」と思うことは多々あります。


子どもを産むと失いがちなもの

女性憧れ

では、出産する前の自分と、出産したあとの自分とで、違っていることは何か。それは少女のような「可憐さ」ではないかな、と思ったのです。


自分中心に生きるのは、犯罪や周りに迷惑がかかるわけでなければ、悪いことではありません。一度きりの自分の人生なのだから、他人にどう思われるかを気遣うより、自分が楽しいと思うことを優先するべきでしょう。その姿勢は、自分を心地よくするために「今度は~をしてみたい」という夢や憧れ、あるいはおしゃれを楽しみたいという意欲につながります。


大人の男性に対する「少年のよう」は、昔から純粋さに対する誉め言葉だったのに対し、女性から女性に対する「いくつになっても少女のよう」という言葉には、ひと昔前なら「子どもも産まないで」という悪意も含まれていたかもしれません。でも、現代では誉め言葉です。他人から何と言われようが、いくつになっても夢見る少女でいたほうが、人生は楽しいのではないでしょうか。


子どもも、自分も大切にする

母子

では、子どもを持たないほうがいいのかというと、もちろんそう言いたいのではありません。育児は、ついついなりふり構わなくなってしまうほど大変で、全身全霊のエネルギーを必要とするもの。それでも私の人生にとってはとても大切で、子どものことを考えるあまり、自分自身のことがおろそかになっても、それはそれで構わないとさえ思います。


ただ、「可憐さ」って、心の持ち方次第なのではないでしょうか。欲張りかもしれないけれど、可能であれば、子どもを大切にしつつ、いくつになっても少女のような気持ちで純粋に自分の人生を楽しみたい。今が無理なら、子どもが成長して、今より手がかからなくなってからでも。そういう想いを、頭の片隅に残しておきたいな、と思うのです。



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  • 鈴本りえ (ライター/エディター)

    旅・グルメ・動物・育児・住宅・ビジネスなど幅広いジャンルで執筆するライター/エディター。趣味はぐうたらしながら本を読むこと。元旅人。運動音痴。現在は地方在住、3児の母。

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