DV

「逃げられない」と感じがちな「DVのサイクル」から抜け出す方法

  • 更新日:2019/08/30

DVとは、ドメスティック・バイオレンスの略で、夫婦や恋人など親しい男女間に起こる暴力のことを指します…という文章を読んだほとんどの方が、「そんなことは知っている」と思ったのではないでしょうか?


DVは現在、かなり認知度の高いワードです。親しい男女の間であっても、暴力は許しがたい行為だし、犯罪だ、というのは、現代では常識でしょう。

ですが、男女間の暴力はある種、仕方がないものだと見過ごされてきた時代もありました。


今回は、『男女共同参画社会と市民』(藤原千賀著・武蔵野大学出版会)および『ジェンダーで学ぶ社会学』(伊藤公雄・牟田和恵編・世界思想社)を参考に、DV問題の歴史と防止方法について考えていきたいと思います。


DV問題の歴史。2001年から、DVは犯罪として警察の取り締まり対象になった

警察の取り締まりl

かつて、DVの問題は「所詮は夫婦喧嘩だ」、と軽視されていました。警察も民事不介入で、家庭内の問題にはタッチしない、という姿勢を貫いていました。そういった状況が変わったのは、1990年以降だと言います。


1960年後半に世界中で起こった第二波フェミニズム運動の中で、夫婦間の暴力に女性たちが長いこと苦しんできたのは、世界共通であったことが明らかにされた。そして、女性の人権を保障する上で、ドメスティック・バイオレンスが課題として浮上してきた。(略)女性に対する暴力が世界的に注目されるようになったのは、1993年6月にオーストリアのウィーンで開かれた「国連世界人権ウィーン会議」であった。会議では「ウィーン宣言」が採択された。それを受けて、同じ年の12月に国連総会で「女性に対する暴力の撤廃に関する宣言」が採択された。(P.137-138『男女共同参画社会と市民』)


こういった世界的な流れを受け、1999年、日本は初めて、家庭内暴力に関する調査を行ない、2000年には男女共同参画審議会が「女性に対する暴力に関する基本的方針について」の答申を出すことになりました。さらに2001年4月には「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律」(DV防止法)が成立し、同年10月から施工されることとなりました。


この法律によって、DVは犯罪だと位置付けられ、警察の取り締まりの対象となったことは、DVを撲滅するための大きな一歩だった、ということができるでしょう。


DVの被害者はなぜ「逃げられない」と思うの?

DVから逃げられない

DV被害にあったことがない人は、「暴力ふるわれたら、さっさと別れたらいいのに」と考えがちです。ですが、DV被害者は恐怖心などに支配されてしまって、動けなくなってしまう場合が多々あります。

ここでは、DV被害から逃げられなくなってしまう理由についてみていきましょう。


DVから逃げられなくなる理由1 ハネムーン期

DV加害者は、暴力をふるったあと、泣いて謝り、悪かった、もうしないから、と被害者を優しく介抱する傾向があることはよく知られています。このやさしくなる期間のことをハネムーン期と言います。暴力→ハネムーン期→暴力→ハネムーン期、というサイクルが繰り返されると、そのサイクルから抜け出しにくくなる、と言われています。


DVから逃げられなくなる理由2 恐怖感、無力感、経済的問題など

内閣府男女共同参画局「配偶者からの暴力被害者支援情報」によれば、「なぜ逃げることができないのか」として、つぎの6つの理由をあげている。1恐怖感、2無力感、3複雑な心理、4経済的問題、5子どもの問題、6失うもの、である。このうち「複雑な心理」というのは、「暴力をふるうのは私のことを愛しているからだ」「いつか変わってくれるのではないか」との思いから被害者であることに無自覚であること、という。(P.151『男女共同参画社会と市民』)


DVから逃げられなくなる理由3 支配や搾取を見えにくくするジェンダー構造

DV被害者は、暴力によって抵抗力をそがれているうえに、すりこまれたジェンダー意識によって「自分に非がある」と思いこまされやすい。(略)さらに問題なのは、暴力がジェンダーの隠れ蓑によって、周囲から発見されにくいことだ。家族の調整役は妻の役目と考える身内から「夫を立ててうまくかわして」と諭されることも多い。配偶者間の暴力で、女性に被害が多く、深刻な暴力から逃げ出せないケースが多いのは、単に経済力や腕力で男性に劣るからだけではない。男性の女性支配や搾取を見えにくくするジェンダー構造が背景にあるからである。(P.169『ジェンダーで学ぶ社会学』)



「DVのサイクル」から抜け出すために、被害を認識し、助けを求めよう

DV被害

明確に暴力を振るわれているのに、逃げられない・助けを求められない背景には、上記に挙げたような様々な理由があります。「なぜ自分が逃げられないと感じてしまうのか」を知ることは、「DVを受けている状態が異常であり、自分は被害者なのだから、この環境から逃げるべきなのだ」、と自覚するための助けになります。


また、相談先や助けを求められる場所があることを知っておくことも大切です。「どこに相談したらいいのかわからない」という方は、まずは下記の相談先を頼ってみましょう。


◆内閣府 DV相談ナビ 0570-0-55210

◆デートDV110番 0120-51-4477

◆女性センター

  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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