プレスリリース性犯罪に関する法律

性犯罪の法改正はまだ不十分!無罪判決が相次ぐ日本の問題は?

  • 更新日:2019/09/06

 2017年、110年ぶりに性犯罪に関する改正法案が成立したことが話題となりました。しかし、それでも性的虐待や強姦事件で無罪判決となるケースは少なくないようで、未だに泣き寝入りをするしかない人がたくさんいるのが悲しい現状です。

 今回は、先進国のなかでも遅れをとっている日本の問題点を、株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワンの『なぜ、それが無罪なのか!? 性被害を軽視する日本の司法』を参考にご紹介します。


圧倒的に不利な立証責任が、被害者側に課されている実態

性犯罪被害者側に課せられる立証責任

 2017年、刑法の性犯罪規定が改正され、強姦罪は「強制性交等罪」に、準強姦罪は「準強制性交等罪」に名称が変わり、男性が被害に遭った場合も処罰されることになり、刑も重くなりました。(3年以上の有期懲役→5年以上の有期懲役)。それでも、刑法の規定に「暴行、脅迫」「抗拒不能」などの要件はそのまま残されたため、未だに性被害にあっても泣き寝入りをせざるを得ない人がたくさんいるのです。


 それぞれの罪の構成要件を見ると、

「強制性交等罪」では、①暴行・脅迫を用いて、②性交等を行うこと

「準強制性交等罪」では、①心神喪失又は抗拒不能となった人に対し、②性交等を行うこと

とされています。


 「心神喪失」とは、精神的な障害によって正常な判断力を失った状態をいい、「抗拒不能」とは、心理的又は物理的に抵抗ができない状態をいいます。つまり、「抵抗することが著しく困難な場合」にこの構成要件は満たされることになります。

 2019年3月に相次いだ性的虐待や強姦事件への無罪判決では、この「心神喪失又は抗拒不能となった」かどうかが争点となり、それが立証できない限り無罪になるような法律になっているのです。


他国と比べても、日本の制度は大幅に遅れをとっている

他国と比べて遅れている日本の制度

 イギリス、カナダ、スウェーデン、ドイツ、米国(一部の州)などでは、不同意の性交をすべて「レイプ」として刑事罰の対象とするなど、被害者の視点に立った性犯罪の定義規定の改正が実際に行われています。アジアでも、韓国や台湾では、性犯罪の成立範囲を拡大する法改正が行われました。

 条文上で「暴行、脅迫」「抗拒不能」などの要件を明記し、検察(被害者)側に高い立証のハードルを課している日本の制度は、国際的な潮流からしても時代遅れになりつつあり、被害者を苦しめているというのが現状なのだそう。


問題はあくまでも“法律”。法改正が必須

問題はあくまでも法律

 こうした問題に対して、私たちはできること、変えていくべきこととはいったい何でしょうか。


 「判例主義」を背景とする日本の刑事裁判においては、上級審の判決が判例として確立していくため、下級審もそれに従うという傾向があります。また、裁判官独立の原則により、法解釈の指示ができるわけでもありません。そのため、上訴制度によって是正と統一が図られているのです。その結果、下級審は上級審と違う判決を出しても、判例の立場が変化しない可能性が高ければ、上級審によって覆されてしまうため、判例が踏襲されやすくなるというサイクルになっているのです。


 ここで私たちにできることは、大前提となる法律の改正を求めることです。


●強制性交等罪における暴行・脅迫/ 心身喪失・抗拒不能の要件を撤廃し、相手からの「不同意」のみを要件として性犯罪が成立するよう刑法を改正すること

●監護者等性交等罪の適用範囲を18歳以上に拡大し、処罰を重くすること

●親族、指導的立場にある者(教師・施設職員等)や上司など地位や関係性を利用した性行為に対する処罰類型を設けること

●低すぎる性交同意年齢(13歳)を引き上げ、抜本的に見直すこと


 本書では事例を交えながら、上記のポイントをわかりやすく解説しています。



 先日、筆者もあるテレビ番組で性被害に悩む女性の話を聞く機会がありました。彼女の話によると、不同意の性交渉だったにも関わらず、相談した先でまるで相手にされなかったのだそう。彼女だけではなく、暴行や脅迫がなかったこと、また抵抗することが著しく難しい状況ではなかったと判断されることによって、泣き寝入りをするしかない人がたくさんいることを思うと心が傷みます。100%犯罪に及んだ相手が悪いにも関わらず、傷付いているところに「あなたも悪い」といった趣旨の言葉を投げかけられてしまうと、本当にどこを頼れば良いのかわからなくなってしまいますよね。こういった悲しい状況を変えるためにも、一刻も早く法の改正がなされることを願うばかりです。



参考

株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン



書籍情報

問題はあくまでも法律

タイトル:なぜ、それが無罪なのか!? 性被害を軽視する日本の司法

出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

本体価格:1,000円(税抜)

  • 女子カレ編集部

    女性のココロとカラダに寄り添うサービス『女子カレ』の編集部。主に「今」お届けしたい情報をお届けします。

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