女の子

「ピンク大好き!」な女の子を育てるときに注意したいこと

  • 更新日:2019/08/02

姪が2歳になりました。


他人の子供にはまったく興味が持てない私ですが、自分と顔が似ていることや、会う頻度が多いことなどから、姪に対しては「かわいいなー」という感情が湧いています。

かわいい姪は、かわいいものが大好きで、キラキラしたお化粧セットで爪を塗ってみたり、ディズニープリンセスの仮装を楽しんだり、ピンクのひらひらしたリボンを嬉々として頭に巻いたりしています。


そんな姪の様子を見て、母親(私の姉)を含む周囲の大人たちは、「やっぱり女の子だねー」「女の子だから、かわいいものが好きなんだね」「おませさん」などと評しています。

ですが、本当に姪は、「女の子に生まれたからディズニープリンセスやピンクが生まれつき好き」なのでしょうか?


女の子だからピンクが生まれつき好き!……なワケではない

ピンク

かわいいものに惹かれていたり、ピンクが好きだったりする女児に対して、「やっぱり女の子だね」とつい言ってしまうことってありますよね。ですが、実際、女性という性別に生まれたからと言って、即、ピンクが好きになるワケではありません。


そもそも、「ピンク=女の子らしい色」というのも普遍の真理ではないのです。

ここからは、『ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか』(レイチェル・ギーザ著・DU BOOKS)を参考に、子育てとジェンダーの関係について、見ていきたいと思います。


本書で著者は、「ピンク=女の子の色」という概念が普遍的なものではないことに触れつつ、子供のためのおもちゃについても、ジェンダー役割が大きな影響を与えていることを指摘しています。


実際のところ、男の子と女の子が何に引きつけられるかというのは、おおむね生来の好みではなく社会化(引用者注:子供や、社会の新規参入者が、その社会の価値や規範を身に付けること)や巧みなマーケティングの結果である。例えば、女の子に人気のピンク。ピンクはいつの時代もプリンセスの色だったわけではなく、一世紀ほど遡れば、男性の色と考えられていた。20世紀初期までは、ピンクは活力と強さと権力の象徴で、若い男性がよく身につけた色だ。一方、ブルーはどちらかというと女の子にふさわしい色とされていた。繊細で上品で、聖母マリアのガウンの色でもあるブルーは純潔の象徴だった。同じように、おもちゃや子供服の流行も、自然な好みの表れというより、その時代のジェンダー役割に対する考え方や不安感を反映していることが多い。(2章)


つまり、現代の日本では、「ピンクは女の子らしいかわいい色である」という規範が蔓延しており、ピンクを女児に与える大人が多いため、女児のまわりにピンクがあふれ、「やっぱり女の子だから、ピンクが好きなんだね」と思われるようになるのであって、決して、「女の子だから生得的にピンク好き」なわけではない、ということです。


「女の子だから、ピンクが好きなんだね」と大人が子供に言うとき、そこに否定的なニュアンスはありません。「女の子だから、ピンクが好きなんだね」は、「やっぱりね(にっこり)」という、安心感を伴ったニュアンスで発せられる言葉です。女の子自身は、ピンクが好きであるということで、大人から肯定的な言葉をかけられることが多いため、ますます「女の子らしく、ピンクを愛好するようになる」となりがちなのです。


男の子にピンク好きが少ない理由とは?

男の子遊び

大人は、女の子が生まれたと聞けばピンクのおもちゃを、男の子が生まれたと聞けばブルーのおもちゃを贈りがちです。意識している・していないに関わらず、ジェンダーに対応したものをプレゼントする傾向があるのです。

この傾向は、女児よりも男児に謙虚だ、と著者は指摘しています。


「親は、男の子には一貫してジェンダーに対応したおもちゃを与える傾向がある。それは、ホモフォビア(引用者注:同性愛に対する嫌悪感や拒絶・偏見)の色濃い文化において、『ピンク』の側に入った男の子の社会的代償はとくに大きいと理解しているからかもしれないし、ジェンダー規範に従ってほしいという親自身の願いによるのかもしれない」。(2章)


女らしい(と言われる趣味を持つ)男性は、ときに女々しいとされ、嘲笑の対象になりがちです。ピンクが好きだったり、メイクグッズやリボンが好きな女の子は、「女の子らしいね」(にっこり)と言われても、それらに興味を示す男の子は、「ちょっと心配」と言われたりすることもあります。それは、「男らしくない男性」より「男らしい男性」に育つ方が望ましい、と大人が考えがちだからでしょう。


子供の可能性を狭めないために、自分の中の「ジェンダー観」に自覚的でいよう

子どもとおもちゃ

女の子に生まれたからピンクやメイク道具が好きなわけでも、男の子に生まれたから車や銃のおもちゃが好きなわけでもなく、その子供がそのおもちゃを選ぶのは、「大人が性別に基づいて与えているから」「ジェンダー規範に沿った行動を子供に期待しているから」だというだけの可能性が高いのです。


本書では、「女の子(男の子)だから、やっぱり〇〇が好きなんだね!」と自分の期待通りの「女の子(男の子)らしさ」にだけ着目する危険性についても指摘しています。


私たちは自分の期待に沿うものだけを見るようになり、そういった期待が「子供たちの自己イメージと未来像を侵食する」(略)もし、女の子がたった一度でもバービーを選んだなら、そのあと遊ぶときにレゴを手渡される可能性は低くなるだろう。男の子がおとなしく座って本を読まずに走り回っていたなら、大人は「典型的な男の子ねえ」と(おそらくは肯定的に)反応し、読書の楽しみを覚える機会は女の子より減ってしまうだろう。(2章)


「ピンク大好き」な女の子は、もしかしたら、ブルーの方がもっと好きかもしれませんし、「ディズニープリンセスの仮装」より、車のおもちゃやレゴで遊ぶ方が楽しめるかもしれません。


子供の可能性を狭めることなく、従来の「女(男)らしさ」に押し込めないためには、「大人は、ジェンダー規範に沿ったおもちゃ(や習い事)を子供に与えがちであること」に自覚的になり、「女(男)らしさに収まりきらない、その子らしさを見逃さない」ように気をつける必要があるでしょう。


参考書籍


▼バックナンバーはこちら

・「女らしさ」から自由に!「女らしさ」は女から自信を奪う秀逸なシステム
・結局、「女と男」どっちが得? を考える
・女性にかけられた「ブスの呪い」を解くのは誰?
・「女性には複数の相手とカラダの関係を持ちたいという欲はない」って本当?
・恋愛を経て母になることこそ女の幸せ?昭和初期から続くモテテクとは

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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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