ひきこもり

40代以上のひきこもり61万人。子育てが終わらない?

  • 更新日:2019/05/17

子供が幼いころは、「立てるようになった」「ママ、と言えるようになった」など、目覚ましい成長を見ることができます。嬉しい反面、成長のあまりのスピーディーさに一抹の寂しさを感じ、「ときを止めてしまいたい」と思う方もいらっしゃるかと思います。


子供は通常、進学・就職・結婚などのタイミングで独り立ちし、親元を離れてしまうことになりますから、子供と一緒に生活できる時間は希少なものです。

ですが、子供が自立できない場合には、「子育てが永遠に終わらない」ことになる可能性もあります。


内閣府が初の中高年層のひきこもり調査を実施。衝撃の結果が!

中高年層のひきこもり

内閣府は、定期的に若年層の引きこもり調査を行ってきました。

2010年に行われた調査(※1)では、15歳〜34歳の69.6万人が広義の引きこもり状態にあることを明らかにしています。

これまでの調査が、10代〜30代を対象にしてきたことからも明らかなように、ひきこもりと言えば若者の問題だと考えられてきたのですが、昨今は、若者だけの問題にとどまりません。


2019年3月、内閣府は初の中高年(40歳〜64歳)を対象とした調査結果を公表し、全国で推定61.3万人の中高年ひきこもりがいるとし、ひきこもりの高齢化、長期化問題を明確に示しました。(※2)


ひきこもりの性差。ひきこもりに男性が多いわけ

男性自宅

子育てをされている、または子供を持つことを希望している方にとって、自分の子供が「いつまでたっても自立せず、経済的に親に頼りきる」「部屋に引きこもって社会と関りを持たない」状態になるのは避けたいところでしょう。


今回は、子供を自立させる・子育てを終わらせる方法のヒントを、キャリアカウンセラーの小島貴子さんと精神科医の斎藤環さんの共著『子育てが終わらない「30歳成人」時代の家族論』を参考に、ご紹介していきたいと思います。

ところで、ひきこもりは、圧倒的に男性が多い、ということをご存知でしょうか。

前述の中高年を対象とした調査では、男女比は7:3でした。


平成28年に行われた15歳〜39歳を対象にした調査では、男性が63.3%、女性が36.7%となっています。平成22年時点では、男性が66.1%、女性が33.9%ですから、男女差は縮まりつつあるとはいうものの、まだまだ無視できないほどの差があると言えます。


なぜ、男性の方がひきこもりになりやすいのか、については諸説ありますが、「社会的・経済的に成功しなければならない」「家族を養うだけの経済力がなければならない」などの社会的プレッシャーが男性の方がかかりやすい(例「男のくせに非正規なの?」と言われてしまうなど)こと、「弱みを吐いてはいけない」という男らしさ規範があるため息抜きできずに潰れてしまいやすいこと、などが一因になっていると考えられます。


『子育てが終わらない「30歳成人」時代の家族』では、以下のようにひきこもりの性差について分析しています。


小島:ひきこもりは男性に多いと言われています。それはなぜかと考えているんですが、ひきこもりを抱えるご家族の父親がよく、「私の時代では考えられない」と言うことに最近気づいたんです。つまり、父親は子どもを自分と比較して優劣を考えているんですね。ところが、母親は世間のなかで自分の子どもとの優劣を考えている。母親がある種自分の作品のようにして育てている子どものことを、父親は自分自身と比較する」(P.158-159)


父親と息子の世代では、社会や経済の状況はまったく違うわけですが、現代ではかなり困難になっている、自分が頑張って達成してきた道(正社員として出世して大黒柱として家族を養ってetc)と息子が歩んでいる道を比較し、ジャッジをすることで、息子が社会と関わる勇気をくじいているケースがあるというのです。


ひきこもりを長引かせる「母子密着」「献身的な母親役割」の甘い罠

母親

また、ひきこもりを長引かせる要因として、母親側の「役割意識」も問題であると指摘しています。

斎藤:女の子がひきこもっている場合は、母親と密着してタッグを組んで父親を阻害してしまうパターンが非常に多いんですよね。(略)

小島:母子密着においては、母親が自分の存在意義を求めて娘と共依存してしまいますよね。

斎藤:そうですね。「私がいなかったら、この子は‥」という感じで、共依存してしまうんです。(略)

小島:母親の献身的な態度、つまり、そういったかたちで「母親という役割」を果たすことは日本の文化のなかでよしとされてきたから、どんな場合であっても評価されてしまうんですよ。


日本は、母性信仰の激しい国です。「母親の献身的な愛」は無条件に「良きもの」とする風土があるため、「母親として評価されよう」と無意識にがんばってしまい、結果的に、子供の自立を阻害してしまうことがあるというわけです。


さいごに。子育てを適切な時期に卒業するには?

子育て

ここまで、ひきこもりの原因をいくつか紹介してきました。さいごに、本書から、子供をひきこもりにせず、適切に子育てから卒業するためにヒントをご紹介していきます。


1.子育てにタイムリミットを設けて、子供に伝える

子育てにタイムリミットを設け(20歳〜30歳など)、思春期を過ぎたあたり(15歳以上)でそのことを子供に伝え、自立への意識を促す。


2.子供に感情面で依存しない

「夫婦ふたりきりになりたくない」「できれば子供にいつまでもいてほしい」という意識が子供を引き止めている場合もあるので、感情面で子供に依存しないことを心がける。


3.言葉から変えていく

「うちの子」という言い方をまずやめる。子供としての役割を与え続けることは自立への阻害になる。同様に夫婦間で「お父さん・お母さん」呼びもしない方がいい。役割の固定化につながりやすいため。


4.「以心伝心」ではなく、きちんと「おしゃべり」する

「ごはん」など単語で会話したり、先回りして色々してあげたりしない方がいい。以心伝心は幼児化に直結する。おしゃべりが多い家庭の子供は幼児化しにくい。子供はできる限り「他人」として扱うべき。


「子育てが楽しい」のは、そこに期限があるからでしょう。永遠に終わらない子育てに突入しないためには、「子供に依存しない・させない」子育てを心がける必要があるのかもしれません。


※1 内閣府


※2 日本経済新聞


※3 内閣府



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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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