恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#78】気づいたらすれ違う2人。埋まらない溝に気づいたときどうする?

  • 更新日:2019/05/13

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:デートってどうやってするんだっけ。最近の夏美は小さく引っかかることの連続だった。その1つが、弘の反応の薄さだ。デートに誘っても乗り気ではないし、ご飯に誘ってもなんだか流される。やっとの事で提案しても、「それでいいよ」と言われて心がげんなりする。 弘の良いところをもう一度思い出してみるけれど、完全に今は悪い部分しか感じられない。本当にこれで良かったんだっけ?夏美の脳裏をそんな言葉がよぎる。 「せめて映画をみて、昔を思い出そう」 ラブストーリーのチケットを買いながら夏美は自分にも弘にも言い聞かせるような気持ちになるのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第78話:好きだった頃が思い出せない?すれ違う彼に感じる虚しさ

昔似た者同士だと思って付き合ったとしても、

今もこの先も、男と女が似た者同士かは分からない。


映画を見終わり外に出ると、明るさからくる安心感と映画に対する感想が溢れ出し、思わずいろいろ話したくなってくる。

「ねえ、どうだった?面白かった?」

「んーまあ、ぼちぼちじゃん」

「あの途中のシーンでさ、主人公がさ…」

夏美は思いの外面白かった作品にテンションが上がり、弘に矢継ぎ早に声をかける。

「ああ、なるほどね」や「へー」といった曖昧な返事は、同意してくれているのか、本当は違うと言いたいのか、よくわからない。ただコミュニケーションのボールが投げても投げても、真ん中に返って来ない気がして、以前から彼はこんなんだったっけ…と夏美を違和感が包み込む。

第78話

「このあと、どうする?」

大体いつも、甘いものを食べたり本屋に寄ったり、夏美の買い物に付き合ってくれるのが定番コースだ。

「えー、疲れたからもう帰りたい」

弘はあからさまに乗り気じゃない顔を向ける。その表情が冗談でないことはすぐにわかる。弘はデートを楽しむ気がないのだ。

「でもせっかく新宿まで出たんだし、お茶でもしようよ」

「いいけど、ちょっと疲れてるから早く帰りたい」


そういうと、数歩先を弘が歩き始める。

こんな人だったっけ…という疑問を浮かべながら、とりあえず後ろをついていく。弘の手を掴むと、少しだけひんやりとした手が、力弱く握り変えしてくる。


『私達って、似てるね』

初めて会ったとき、弘は柄にもなく飲み会の幹事をしていた。

本当はおっとりしていてインドアなのに、実は場を仕切ったりするのが得意で、頼りがいのある彼。そんな姿が自分と重なり、夏美はすぐに恋に落ちた。

しっかり者と見せて、実はお互いマイペース。

そんな姿が似ているなと思い付き合い始めたはずなのに、今ではそのマイペースさがどこへ向かっているのか、夏美にもわからないでいた。

ただ向かっている先が、自分ではないことは確かで、この先一緒にいることが正解なのか、考えるたび不安になる。

もちろんその不安の中には、自分がまた浮気に走ってしまうのではないかという心配も含んでいた。

でもそんな不安や今考えていることを共有する言葉を、夏美も弘も持ち合わせてはいなかった。


NEXT ≫ 第79話:デート中の些細な喧嘩!私は悪くないのに、どうしたらいいの?



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第73話:私、彼のことが本当に好き!言葉を上書きするように行動で自分を納得させる


第74話:「もう好きじゃない」本音を隠して別れ話を終わらせるためにすること


第75話:大人の別れ話は冷静に。そして果たされない約束で閉じられる


第76話:向き合い直した恋人を、もう一度ちゃんと好きになれるのか


第77話:好きだった頃が思い出せない?すれ違う彼に感じる虚しさ



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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