恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#76】向き合い直した恋人を、もう一度ちゃんと好きになれるのか

  • 更新日:2019/05/06

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前回のあらすじ:「別れたいっていう気持ちが揺るがないんだよな?」 そう確認され、思わず目線をそらす夏美。 別れたいという気持ちは変わらない。でも自分が悪者になりたくないから、なるべくキレイな言葉とキレイな態度で幸太に決断を迫る。 「夏美が決めたんなら、仕方ない」その一言が出たとき、思わず心の中でガッツポーズをする夏美。最後までカッコよくあろうとする幸太と、悪者になろうとしない夏美。「また飯でも」という果たされない約束を交わしながら、2人は店を後にするのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第76話:向き合い直した恋人を、もう一度ちゃんと好きになれるのか

女の浮気は本気というが、本気の浮気をやめた後、女がどうなるのかを知っている人はあまりいない。


私はちゃんとした恋人に戻るんだ。

私はちゃんと弘と恋愛するんだ。

私はちゃんと結婚するんだ。


歩きながら自分を鼓舞する言葉をかけながら、夏美は家路へと急ぐ。幸太と別れられたという決断力が、心なしか足取りを軽くさせる。

あとは弘ときちんと向き合い、きちんと関係性を築くだけでいいんだ。

そう思ったら、今までないと思っていた罪悪感が、急にドスンと肩にのしかかってくるような気がする。

私やっぱり無理してたんだ。

しみじみ実感しながら、家の扉をあける。


「ただいまー」

休日の弘は無精髭を蓄え、パジャマのままソファでゴロリとしている。姿をみる限り、出かけた気配はない。

「もー1日何してたの?洗濯機とか回してくれた?」

洗面台に立ちながら洗濯物を確認すると、回っていないどころか前日に回した洗濯物が、乾燥を終えてドラムの中に入りっぱなしだ。

「はあ」

弘に聞こえないよう小さくため息をつく。とりあえずキレイな衣類をドラムから引っ張り出し、その中に汚れた衣類を突っ込んでいく。

戸棚から洗剤を出すと、ちょうど残量が切れており、カラカラとボトルから虚しい音が響く。

「ああもーしょうがないな」

とりあえず着替えて夕食の準備しよう。そう思い台所にチラリと目線を送ると、今日使ったであろう食器が雑に重ねられている。せめて水でふやかしておいて欲しいのに。そういう配慮がないのがひと目でわかる。

「ちょっと弘!ご飯食べたら、食器くらい洗っておいてよ。せめて水につけといて!」

そう言い放ちながらベッドルームで着替え始める。思わず脱いだ洋服をベッドに強めに投げつけてしまう。


「私って、こんな頑張らなきゃいけないんだっけ?」

リビングからは動いた気配がしない。弘が無反応なのがわかるだけで、苛立ちが募りだす。

「ああ、でも私がしっかりやらなきゃ。向き合うって決めたんだし」

夏美は自分に向けて鼓舞する言葉をかけると同時に、拳を一瞬ぐっと握って決意を新たにする。

第76話

自分も悪かったんだから、弘を責めちゃだめだ。

そう思いまずはキッチンに立ち、勢いよく蛇口をひねり、スポンジに洗剤を多めにつける。

ジャブジャブと手を動かしていると、背中から弘が「ははは」とテレビを見ながら笑う声が聞こえてくるのだった。


NEXT ≫ 第77話:好きだった頃が思い出せない?すれ違う彼に感じる虚しさ



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第71話:「なんで浮気したの?」自分も気づいていない隠された気持ち


第72話:彼が好き?合わせてくれる彼だから好き?問われる本心


第73話:私、彼のことが本当に好き!言葉を上書きするように行動で自分を納得させる


第74話:「もう好きじゃない」本音を隠して別れ話を終わらせるためにすること


第75話:大人の別れ話は冷静に。そして果たされない約束で閉じられる



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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