恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#72】彼が好き?合わせてくれる彼だから好き?問われる本心

  • 更新日:2019/04/22

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:『そもそも、なんで浮気したんですか?』 チュベローズからの返信で問われ、夏美は硬直し混乱していた。「弘にイライラしていたから」「好きだった幸太が現れたから」その2つではない、自分自身の中にある理由を問われ、夏美は「大事にされたかった」という理由にたどりつく。弘に大事にされたかった。その気持に気づくと、そこにはただワガママな女がいるだけのような気がして、恥ずかしさから笑けてくるのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第72話:彼が好き?合わせてくれる彼だから好き?問われる本心

幸せになりたいから恋愛をする。浮気をする。セックスをする。

それなのに、好きだと思っていた気持ちは、意外にも不満だったりするのはなぜだろう。


私が浮気をしたのは、弘へのあてつけだったってこと?

自分から湧き出す浮気の理由を見つめてみると、意外にも『大事にされたかった』といった、シンプルな不満が浮き彫りになってくる。


『いつまでも将来のことを話し合いもしないこと』

『借金の返済計画を全然共有してくれないこと』

『セックスを全くしなくなったこと』

『話しかけても生返事しかしなくなったこと』

弘への要求をあげ始めると、際限なく不満の言葉が並んでいく。

第72話

『私への好きを全然表現しなくなったこと』

最後にそうスマホで打ち込むと、急に涙が奥の方からジワッと上がってくる。元々言葉で多くを表現するタイプの人ではなかったけれど、最後に好きって聞いたのはいつだったっけ。

確か1年ほど前、酔っ払って帰ってきた日に冗談交じりで言ってくれたのが最後かもしれない。

今でも弘は私のことを好きだろうか。


少しだけセンチメンタルな気持ちになりながらも、夏美は自分が抱く弘への不満を書き起こし、チュベローズへと追加で送る。

不満があるということは、それだけ弘が好きだった証拠なのだろうか。

よくわからない。

正直、今は状況や気持ちが入り込みすぎて、自分の本心がわからない。

うーんと眉間にシワを寄せながらも、一旦はチュベローズからの返信を待つことにする。


手持ち無沙汰になり、チョコをなんとなく口に入れながら、頭の中を整理する。

「そもそも私って、弘への不満じゃなくて、幸太への別れ方を相談してたんだよね」

当たり前すぎる前提に「んんん?」と頭が一瞬こんがらがる。なんで弘の不満ばっかり今感じてるんだっけ?


3粒目のチョコを頬ばったところで、スマホがメッセージの受信を知らせる。

すかさず開き、文面を目で追いかける。


『これはつまり「彼だから好き」なのではなく、「合わせてくれる彼だから好き」なのではないでしょうか?』

いきなりドキリとする一文が目に入り、その場に立ち尽くす。


『そもそも列挙された不満を見る限り、あなたは彼から愛を感じられなかったこと、彼があなたの希望通りに行動しなかったことが、嫌いになった原因と書かれているように読み取れます。』

『あなたは彼のこと、本当に愛していましたか?実は自分の理想どおりの行動を取る彼が好きだったのではないですか。だからこそ、コントロールできなくなったから“浮気相手”という、次の合わせてくれそうな相手を見つけたのではないでしょうか』


丁寧なのに痛い。夏美は胃がぎゅーっと締め付けられるような感覚を覚える。

「私、そんなワガママな奴じゃない……多分…」

多分という言葉が消え入りそうなくらい小さくなっているのを感じながら、思わずスマホの画面を消してしまうのだった。


NEXT ≫ 第73話:私、彼のことが本当に好き!言葉を上書きするように行動で自分を納得させる



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第67話:ついに語られる真実!「シたけど違う!ってどういう意味?


第68話:わかって!謝って!振り絞って伝えた気持ちに返ってきた答え


第69話:嫌悪していく心。それは一瞬のゆらめき?それとも本心なの?


第70話:口に出すと現実味を帯びる心に芽生えていた感情


第71話:「なんで浮気したの?」自分も気づいていない隠された気持ち



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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