恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#71】「なんで浮気したの?」自分も気づいていない隠された気持ち

  • 更新日:2019/04/17

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:幸太と別れ、帰宅するなり早々にお風呂へと直行する夏美。「ムカつく!」と言葉に出すと、自分の中の緊張がほぐれ、頭も心もだんだん落ち着いてくるような気がする。なんで私が……という感情を出し切ったところで、夏美はポツリとつぶやく。「もう別れよっかな」言葉として出すと、もうずっと前からそうしたかったかのような、気持ちの波が押し寄せる。 「もう幸太なんて好きじゃないかも」 最後にそういうと、何かの合図のように天井からポツリと水滴が夏美の顔に落ちるのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第71話:「なんで浮気したの?」自分も気づいていない隠された気持ち

「怒られた」という事実があるかないか、それは実は受け手次第のことがよくある。

怒られたと思うか、それともアドバイスをもらっていると思うか。

捉え方はいつだって、心の余裕に関係しているのだ。


『そもそも、なんで浮気したんですか?』

画面に書かれた文字を読みながら、夏美は硬直していた。

幸太と別れると決めてから、夏美はどう伝えるべきか多少なりとも悩んでいた。

価値観が違う。

浮気をしていたことが許せない。

もう好きじゃなくなった。

どれも本音なのだけど、文字にすると自分のワガママさが際立つような気がして、なんとなくチュベローズに報告も兼ねて相談してみようと思い立ったのだ。


なんで浮気したのか。

その問に答えるのなら、弘の煮え切らない態度にイライラしていたから。

好きだった先輩が目の前に現れ、素敵だったから。

ただその2つの偶然が重なっただけだ。

でもそれを書いたら、『そういうことではなくて』と返信が来てしまい、「じゃあどういうことだよ!」と、夏美の頭は混乱していた。


『そもそもあなたは、彼氏や浮気相手が自分の行動の原因を作っているような書き方をしています。でも浮気という選択をしたのは自分自身のはずです。それはつまり、自分の中に何かしら浮気することで達成したい目的や、欲求があったということだと思うのですが、思い当たる事はありますか?』


当初の予定では「こういうときはどんな気持ちで別れの言葉を伝えるべきか」みたいな哲学的な答えが欲しかっただけだ。それはつまり、自分のしたことを多少なりとも正当化してほしいという要求なのだが、チュベローズからの返信はそんな甘い考えを見透かすように辛辣だった。

第71話

「私の中で達成したい目的や欲求…」

文字を反すうすると、1つだけ浮かんでくるものがある。


「……幸せになりたかったんだもん」


幸せに、という言葉の意味を探ると、それは愛されたいとか、大事にされたいとか、そういうたぐいの気持ちであることがすぐに把握できた。

そしてその気持は、弘に結婚を迫っていたときからずっと夏美のお腹の中でくすぶっていた気持ちと変わらなかった。


『私、大事にされたかったんですよ』

そう打ち込むと、堰を切ったように本音が言葉として浮かんでくる。

『女として扱ってもらえないし、結婚も決めてもらえないし、なんかお金の面で利用されているような気がして、そしたら新しい彼が現れたので、ちょっと好きになってしまいました。』

書き終わると、自分の文章のおかしさに笑えてくる。

これじゃあ浮気は、弘へのあてつけみたいではないか。

そんな自覚はなかったし、幸太がただ好きという気持ちだけで浮気しているつもりだった。

でも残ったのは自分の身勝手さしかなかったのだ。

エイと勢いで送信ボタンを押しながら、そんなことを考える。ソファにゴロンと横になると、少しだけ弘の匂いがした気がした。


NEXT ≫ 第72話:彼が好き?合わせてくれる彼だから好き?問われる本心



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第66話:浮気相手の裏切り…!?問い詰めた先に返ってきた答えとは


第67話:ついに語られる真実!「シたけど違う!ってどういう意味?


第68話:わかって!謝って!振り絞って伝えた気持ちに返ってきた答え


第69話:嫌悪していく心。それは一瞬のゆらめき?それとも本心なの?


第70話:口に出すと現実味を帯びる心に芽生えていた感情



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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