恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#68】わかって!謝って!振り絞って伝えた気持ちに返ってきた答え

  • 更新日:2019/04/08

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前回のあらすじ:「えりかちゃんとシたのは本当だよ」 そう答えが返ってきた瞬間、夏美は動くことも上手く答えることもできなかった。 ただ涙が流れそうなだけで、その涙の意味もまだよく理解できていなかった。 「でも違うんだ!」 すかさす否定する幸太。聞くと神原えりかとは数回事故的にセックスをしただけで、夏美とは立場が違うし、大事さが違うという。箱根神社の件も聞くとそれは言いがかりだと言われる。 もう何を信じたらいいかわらない。感情的な言葉と、まだ残っている冷静な思考のバランスを取りながら、夏美は自分がどうしたいのか、ただただ考えていた。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第68話:わかって!謝って!振り絞って伝えた気持ちに返ってきた答え

修羅場というのは、なにか明確な問題があるから起きているのだ。

そう思っていたけれど、本当は問題に直面した人々の幼さが、引き起こしているだけなのかもしれない。


八つ当たり。

今の自分を表現する言葉は、これしかなかった。

夏美は疲れと苛立ち、酔いと混乱、そして落胆が混ざり合い、幸太に対し止まらない怒りをぶつけていた。


神原えりかとセックスしたことは事実だ。だけど、関係性は夏美と幸太のソレとは大きく違うし、今はそういう関係性ではない。だから怒らないでほしい。

幸太と夏美の関係がそもそも浮気であるなら、この事実は“大した問題”ではない。

そう頭の中で反すうする余力は持ち合わせていても、気づくと表情と行動と言葉は、幸太を攻め立てるような行為におよんでしまう。


「過去の人だからって、ああいう場で私と会わせて平気だと思ってるんだ。それが信じられないよ」

「だって、今はもうただの友達だし。受付って頼める奴、限られてるじゃん?」

「どうせ私にバレなきゃいいって思ってたんでしょ?そういうところがムカつく」

「ていうか、何でそんなに突っかかってくるんだよ」


幸太がおもむろに数歩その場をウロウロと動き回り、スマホをいじる。苛立ちをにじませ、この場からどうやったら逃れられるか模索している。

「はあ…」と明らかに面倒そうな表情の幸太と目が合う。一瞬怯みそうになる自分を抑え、夏美はその目を直視する。

「………」

蛇に睨まれた蛙とはこのことか。

思わず「ごめん」とか「面倒なこと言ってるのはわかってるの」とか、幸太の気持ちを察するような言葉を発しそうになり、自分を抑える。

(ここで折れたら、分かってもらえない)

「私ね、神原さんとのことを秘密にされていた事がショックだったし、今だってそれを悪いことだって思ってもらえないことが混乱するし、凄く悲しいの」

声が少しだけ震えている。自分でもゆっくりと伝えながら、怯えていることに驚く。「本当は、謝って欲しいんだよ」という一言までは言えなかったが、それくらいは、察して欲しい。


言い切ってから視線を右側に逃すと、同じタイミングで幸太の手が夏美の背中に素早く回る。驚いて一瞬よろめくと、その勢いのまま幸太に抱きすくめられる。

「わかったよ。夏美の気持ちはわかった」

馴染みのある匂いが全身を包み込み、この場の終焉を感じて、それだけで一瞬安堵する。

第68話

「夏美のことが1番好きだよ。だけどさ、あんまり面倒な事は言わないでよ」

「え?」

優しい幸太の声に、無意識に反応を示す。

その瞬間、お腹のあたりから、忘れていたようなゾワゾワとした、何かとてつもなく嫌なものが這い上がってくる。

途端に手を突っぱねたい衝動に駆られるも、できないままただカラダの温かさと大きな違和感に、夏美は翻弄されていた。


NEXT ≫ 第69話:嫌悪していく心。それは一瞬のゆらめき?それとも本心なの?



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第63話:始まる三次会!混沌としたまま対峙する男と女


第64話:「あれって彼女?」浮気相手への確認で知った真実とは


第65話:浮気相手の真実を知ったとき湧き上がる感情ととっさに取った行動


第66話:浮気相手の裏切り…!?問い詰めた先に返ってきた答えとは


第67話:ついに語られる真実!「シたけど違う!ってどういう意味?



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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