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【小説#56】◯◯ちゃんよりも好き。それって本当に言われて嬉しいこと?

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

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前回のあらすじ:別れ話は一旦回避できたけど、夏美の中には冷ややかな“何か”が残っている。とはいえ、やっぱり幸太と仲直りできたことは嬉しくて、見つめ合うと照れと嬉しさで口元が緩む。 「なんか不思議だわ。こういう時、あんまり冷静に前向きに話ってできたことないから。夏美でよかった。ありがとう」幸太に感謝され、夏美は嬉しさと照れで笑い返すと同時に、心にガサついたものがあることに気づく。 その正体は“比較”だ。幸太は無意識に、夏美と彼女を比較している。気づいたときには、夏美は幸太に本音を漏らすことができなかった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第56話:◯◯ちゃんよりも好き。それって本当に言われて嬉しいこと?

人を好きになると、バカになる。

よく言うことだけど、あれって本当かもしれない。

バカになれない人は、どこかで別れを予見しているのかもしれない。


幸太と仲直りをしてからというもの、夏美の中では、小さく違和感が残り続けている。

その正体が何か。放っておいていいものなのか。夏美自身もわかっていないけれど、良い変化ではないことは薄々わかっていた。


『夏美とだけは、一緒にいると本当なんかラクだわ』

『夏美って、同世代の中でも包容力あるよね』

『夏美って、いつもすぐLINEの返事返してくれるから、凄いラク』


幸太から過去に言われた言葉を、ゆっくり思い返す。よくよく思い返してみるとそこにはいつも、誰か別の人の存在を匂わせることで褒めが成立していることに、薄々気づき始めていた。


いや、比較することは悪いことじゃない。人は比べることでより良い存在を知っていくものだし、比較をしない人なんていないだろう。でも褒められる度に、彼女の存在を感じるというのは気持ちのいいものではない。

第56話

「これって喜んでいい言葉なのかな…」


夏美は度々LINEを見ながら、首をかしげることが多くなっていた。

確かに自分は褒められている。でも、褒められていると同時に、どこかで蔑まれている“だれか”もいる。

だまし絵は、別の見え方に気づくともうソレにしか見えないとはよく言うが、幸太に対する感覚も、それに似たようなものがあった。


『ねえ、突然なんだけど、旅行行かない?』


そんな矢先、幸太から嬉しい誘いが持ち上がる。


『え?いいの?行きたいところあるの?』


思わず「いいの?」と付け加えてしまったのは、常日頃感じる別の女性への一応の配慮だ。


『うん。夏美と行きたいから!箱根か伊豆にサクッと一泊って思ってるけど、予定はどう?』


比較は居心地が悪い。とはいえ、自分を選んでもらうのは、後ろめたさと嬉々とした気持ちと隣り合わせだ。


『もちろん平気♡』


すかさず返事を返すことで、自分の中の好きの総量を感じ、嬉しさと同時に安堵する。

そんなことを考えながら文面を見返していると、「なんかいいことでもあったの?」と弘が声をかけてくる。


「え??あ、いや…顔ニヤけてた?」


「うん、毎日楽しそうでいいね」


弘は浮気の空気を読み取ることなく、柔らかな笑顔で夏美を見つめる。

この人は、私が遊んでいることも知らないし、不安になっていることも知らないし、一体何を見て、何を感じて、生活しているのだろう。

笑顔を交わしながら、心の中では酷いことを思ってしまう。弘が隣の部屋に消えていくと、入れ替わるように、急に幸太に会いたくなる。


この感覚はなにか。これだって比較なのかもしれない。

そう思ったら、夏美だって人の事は言えないのだ…という、冷静な結論だけが残った。


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■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第51話:怒る権利はないのかもしれないけれど…浮気相手として心の保ち方


第52話:混乱が止まらない!浮気に求めてたものって何?


第53話: ケンカは会えば解決する?噛み合わない会話が引き出した答え


第54話:「別れよう!」いきなり告げられた決断への正しい対処法


第55話:良い浮気のためのルールとは!話し合うことで心は深く通じ合う?



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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