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【小説#54】「別れよう!」いきなり告げられた決断への正しい対処法

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

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前回のあらすじ:風邪のことはなんとなく忘れ、幸太と夏美は話し合いをすることにした。でも会話がなぜか噛み合わない。夏美はただ、興奮していた感情を伝え、幸太の気持ちを聞きたかっただけなのだ。 しかし、幸太はいきなり「俺、別れたほうがいいのかなって。夏美と」と言い出すではないか。驚く夏美。思わず大きな声が漏れ、店内中の視線が集まる。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第54話:「別れよう!」いきなり告げられた決断への正しい対処法

別れ時というのは、いったいどんな時のことを指すのだろう?

一方が別れたいと言い出したら、それは別れ時と言えるのだろうか。


「別れよう」


いきなり幸太からそんな一言をもらい、夏美は思わず身を乗り出していた。

その弾みでテーブルがガタンと揺れ、紅茶が受け皿やテーブルに少しこぼれる。夏美の手に、かすかに飛び跳ねたものが熱を感じさせる。でも、意識はそこに反応する余裕を持ち合わせてはいない。


「なんでいきなりそうなるの?」


考える前に言葉が口をついて出る。今まで幸太とのやり取りの中では、夏美の混乱の理由について、話されていたはずだ。

それがどう飛躍し、どう解釈のズレが生じ、別れるという選択になったのか。夏美の頭の中では、1つ1つのピースが全くハマらず、さらに困惑が追加された気分だ。


「だってさ、辛いんでしょ?夏美をこれ以上苦しめたくないし、俺やっぱりこんな状況になるまで気づけなかった自分に腹立つもん」


夏美は、うつむきながら幸太の言ったことをゆっくり頭の中で反すうする。

1つ1つの言葉はまるで、ドラマの安っぽいセリフみたい。

そんなことを考えながら、どう冷静に自分の気持ちと希望を伝えるべきか、言葉を組み合わせていく。

第54話

「あのね、それで言うと、幸太が別れたいなら別れてもいいよ。ただ私は、べつに別れたくてこの話をしているわけじゃないんだよ」


努めて冷静に。そしていつもよりゆっくりとした速度で、夏美は幸太に語りかける。


「私は混乱したこの気持を伝えて、分かってもらいたかっただけなの。彼女さんがいたことは知っていたし、それについて何かして欲しいなんて微塵も思ってないんだよ」


ゆっくり言い尽くしたところで、紅茶を一口すすり、乾きかけた口の中を潤す。

後は野となれ山となれ。


そんな言葉が頭の中を駆け巡る。幸太の思考回路は正直よくわからない。分からないからこそ、今夏美にできることは、自分の希望と気持ちをしっかりと相手に伝えること。


「あれ、じゃあ俺、考えすぎ?」


カップから視線を上げると、キョトンとした幸太の顔が入ってくる。


「考え過ぎっていうか、決断を急ぎすぎてるんじゃない?」


「俺、何もしなくていいのに、勝手に決めすぎたかな」


「……そうかもしれない」


幸太は首をかしげながら、あれというジェスチャーでおどけてみせる。その姿に、夏美は安堵すると同時に、一抹の不安と、カラダの中に冷たい空気が流れるのを感じた。



≫ 次回『良い浮気のためのルールとは!話し合うことで心は深く通じ合う?』は2月16日(土)配信予定です。お楽しみに!



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



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■恋愛パラドックス|バックナンバー

第49話:私は浮気相手。改めて言い聞かせるもスッキリしない気持ち…


第50話:怒りの思わせぶりモード全開!浮気相手は気づくのか?


第51話:怒る権利はないのかもしれないけれど…浮気相手として心の保ち方


第52話:混乱が止まらない!浮気に求めてたものって何?


第53話:ケンカは会えば解決する?噛み合わない会話が引き出した答え



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第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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