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【小説#45】彼とも浮気相手とも別れられず、決断できない恋愛はどこへいく?

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

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前回のあらすじ:浮気をしたことによる後悔は、最初の夜に訪れただけだった。それからというもの、夏美は幸太から女であることの幸福感をもらい、そして弘とそれが叶えられないことに、毎回小さく不満を投影していた。 あんなに察してほしいと願うことが愚かだと知ったはずなのに。今の夏美は幸太に対して、典型的な察して好意を繰り広げていた。 それが愚かだと気づければいいのに、あろうことか幸太はスマートにそれを察してくれる。夏美の心は、いっそうもうひとりの彼氏へと傾いていくのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第45話:彼とも浮気相手とも別れられず、決断できない恋愛はどこへいく?

街で見かけるカップルの、一体何割が道らなぬ恋、言えない関係なのだろう。

最近そんなことを考える瞬間が増えた気がする。


浮気を始めてから気づけば3ヶ月たっていた。

隠れて会うのも慣れたもので、遅くなる時には飲み会といえば、それ以上の追求を逃れることができた。

唯一ヒヤッとしたのは、無意識のルールを忘れていたときくらいかもしれない。

弘と一緒に歩くとき、夏美はいつも右側に立って手をつなぐ。でも幸太の場合は、いつも夏美が左側に立つのが、なんとなくのルールだ。

それを忘れて、一度弘の左側に立ったことがあった。一瞬居心地悪そうな目をして、「右側の方が落ち着く」と促され、一瞬ヒヤッとした。

ああ、私には秘密があるんだ。夏美は改めて自覚する。


それ以外は、つつがなく平穏な毎日が続いていた。3ヶ月という期間は幸太との関係にちょうどよい落ち着きを生み出し、それに比例するように、弘との関係は一層冷えたものになりつつあった。

朝は夏美の方が早く家を出て、帰りは弘の方が遅い日が多い。土日は夏美がでかけていることが多く、だからこそ、一緒にいつつも2人の時間はどんどん減っていき、当然会話も減っていた。


借金返済したら結婚と思っていた心も、ときどきこのまま弘と別れてしまいたいな。そんな風に思うときもあった。

そのつど自分を叱るけれど、でもこのまま弘と一緒になっても幸せになれないだろうな…と、夏美は考えるようになっていた。しかし、幸太とそれで上手くいくかといえば、それも違うと判断できる冷静さはまだあった。

第45話

関係が始まって3ヶ月。夏美は“一応別れそうな彼氏がいる”と幸太には伝えているけど、幸太はその辺を明らかにしない。

とはいえ、最初の夜に「結婚を考える人がいなくもない」と言ったこと、3ヶ月間一度も家に呼んでくれていないことを加味すれば、誰かしら相手がいることは容易に想像がついた。


「じゃあ私ってセフレ?彼女?一体なんだろう」


そんな小さな不安に襲われることもあったけれど、追求する勇気もなければ、追求したところで、弘との関係を精算しろと言われたら、面倒に思う自分がいるため、同じことを幸太に迫る気持ちにもなれなかった。


『この瞬間の幸せを感じよう』


ロマンチックな言葉を迷ったら頭の中で反芻することで、夏美は面倒から逃がれていた。

そんな時、ふとスマホにドキリとする通知が入る。

入会したまま放置していた、『恋愛サロンチュベローズ』からのメルマガだ。


季子に今の状況を伝えるべきか…。夏美は一瞬想像し、「なんて愚かなことを…」と怒られる自分を想像し、胃が縮む。

このまま退会してしまおう。怒られるくらいなら、やめにしよう。

そう思い、退会メニューへとスクロールしていくと、今度は季子から個別でメッセージが入る。


『お久しぶりです。その後彼との関係はいかがですか?人生は一難去ってまた一難といいますように、全ての原因が解決したと思っても、それは入り口でしかないということがよくあります。抱え込まず、恥ずかしがらず、ぜひまたご連絡をくださいね』


この優しさと、受け入れる広さが、いつも夏美の心を解きほぐし、そして一歩前に進ませる勇気をくれる。

正直悩むというより、楽しいという感情の方がまだ大きい。

それでも整理が必要なのは、うっすら分かっている。

夏美は深呼吸して、季子へのメッセージを書き始めるのだった。



NEXT ≫ 第46話:マンネリ彼氏を前に浮気に走るのは悪では無くて当然のこと?



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第40話:「結婚する予定は?」憧れの彼からの答えに、引き戻される恋心


第41話:ついに一線を超える関係、その時頭に浮かんだことは…


第42話:カラダを重ねたあとに湧き出す不安、女の浮気は本当にバレない?


第43話:平然と装うたびに、溢れ出る感情のほころびたち


第44話:浮気から始まる恋は、幸福感とともに悪いクセを呼び起こす



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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