
【小説#36】新たな一歩を踏み出す2人。それは愛か?それとも偽りのモチベーションか?
- 更新日:2019/03/19
- 公開日:2018/12/04
前回のあらすじ:弘との仲直りが終わり、いつもどおりの日常が戻ってきた。とはいえ、夏美の中では「2人で頑張る」を示す行動がわからず、ピンとこないアイデアを出しては消す日々をすごしていた。
そんな時、すっかり忘れていた幸太からの誘いのLINEが入る。再び湧き上がる好意を感じ、自分の頑張りは姿勢からかもしれないと思い立つ。
でも告白もされていないけど、断わるのもなあ。答えは出なくとも、夏美はまずは優柔不断な迷いと向き合う姿勢を取るのだった。
彼を信じる。 これも大きな一歩だと思う。 でも、数歩進んだと思っていても、それは実は同じところをぐるぐる回っていることだってある。 『最近仕事が忙しくて…また予定がわかったら連絡しますね』 幸太への断りの連絡は、「断る」というより「流す」という感じになってしまった。 関係性を完全に断つことができないからというのが主な理由だけど、少し残る彼への未練も関係していたのかもしれない。 とはいえ、キスという事実以上の過ちを重ねずにすんだことに、夏美は一旦ホッとしていた。 頑張る弘を支えるんだ。 その決意が、夏美を正しい道へと進ませる。 弘の両親との食事会以降、2人の関係は安定し、それぞれの決意を実現すべく、前を向いたように見えた。 弘は残りの借金を返すべく頑張っているし、なんでも自己解決するクセにも気を配ってくれている。 夏美もそんな弘を待つと決め、まずは残っている借金完済まで支えようと決意をした。 220万円あった借金は、弘のわずかな貯金や節約の速度を早めることで、残り150万円ほどになっていた。今後のボーナスなどでさらに返済を頑張れば、1年後にはある程度完済のめどがつく。 計画が立てば、あとはそこへ走り続けるだけでいい。 コンビニでの無駄な買い物。何となく買ってしまう雑誌。断りきれずに参加する飲み会。小さく1つ1つ行動を変える彼を見ていると、夏美は未来への期待が高まるのを感じる。 完済したら、きっと弘なりのけじめがあるはず。 “プロポーズ”という単語を出すと、どうしても自分の中で胸が締め付けられるので、夏美はいつも“けじめ”という言葉を使い、「1年、1年だけ頑張ってみよう」と、自分に言い聞かせるのだった。 そこに必死になっているときは、幸太への淡い気持ちも、別の選択肢を考えることもなくなるし、弘への過剰な期待も薄れる気がする。 私はとても幸せだ。 自分にそう言い聞かせ、今日も夏美は夕飯作りに精を出す。 でもその固い決意は、本当は“目標”というゴールっぽいものが見えたからこそ感じるものであると、この時夏美は気づいていなかった。 NEXT ≫ 第37話:再び動き出す恋模様!1年経って変わったこと 第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから? 第32話:30分遅刻して彼親と対面!謝罪の後に待っていた状況 第33話:母親の小さな嫌味!模範回答を探していると、意外な彼からのアシストが 第34話:プロポーズして欲しかった!気づいた自分の中の期待を手放し、出した答え 第35話:一難去ってまた一難。憧れの彼から連絡が入り、女がその時決めたこと恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第36話:新たな一歩を踏み出す2人。それは愛か?それとも偽りのモチベーションか?
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おおしまりえ
(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)
水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。
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