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【小説#34】プロポーズして欲しかった!気づいた自分の中の期待を手放し、出した答え

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:母親の小さな嫌味は、夏美の心配というオブラートに包まれた、息子への気遣いだった。遅刻したことも含め、そんなに忙しくて大丈夫なのかと聞かれ、一瞬回答に困っていると、助け舟を出してくれたのは意外にも弘だった。 「夏美は引っ越しも全部段戸ってくれたし、ご飯もいつも作ってくれるんだ。今日も、忙しいのに来てくれてありがとう」その一言が、夏美のなかにじんわり染み渡る。ただ突っ走っていたと思っていた自分は、彼にちゃんと受け止められていた。私はこういう彼が好きだったんだ。そう思えたら、もう一度弘との話し合いの席につく心の準備が、整った気がした。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第34話:プロポーズして欲しかった!気づいた自分の中の期待を手放し、出した答え

「気づく」ということは、解決への道がもう終わりに近いことを意味するのかもしれない。


夏美は弘と肩を並べながら、新宿駅へ向かい歩いていた。

両親との食事会は、大遅刻から始まり、微妙な空気になりながらも無事終了した。


「夏美さん、困ったことがあったら連絡してね」


そう声をかける母親には、一抹の不安の色が残っていたけれど、それは彼に対する愛情と、息子の非礼を詫びる気持ちがあることが分かっていたから、受け流すことができた。

夏美の中には弘が謝ってくれたことで、忘れかけていた感情が芽生えていた。


「今日は、来てくれてありがとう」


「うん。遅れてごめん。でも弘さ、いろいろ見てくれてたんだね〜」


意地悪っぽく、先程の話を振ってみると、「えー何のこと?」と、ポリポリ頭をかきながら、弘は前を向いたまま話し出す。


「起業のことは、改めて悪かったと思ってる。正直、こんなに心配させることだって思ってなかった。自分で全部片付けられればいいって思ってたし」


「そっか。借金のことは、ご両親にも言ってないんだよね」


「…うん。今自分で返せてるし、母親に言ったら、すげー言われそうじゃない?だからこのまま言わないつもり」


愛情深く、顔に出るタイプの母親。確かに腰を抜かして体調を崩しかねない。顔を合わせた後だから感じる納得感が、彼を攻め立てる気持ちも薄れさせる。


「わかった。そう思うなら、それでいいと思う。ただ…」


“これからどうするの?”という言葉が喉のあたりまでせり上がり、深呼吸で押し止める。


『これからどうするのかより、自分がどうしたいのか』


大事なのは、そっちのはずだ。

季子のアドバイスが、今一度夏美の中で深く染み渡る。


「じゃあさ、お金のことはきちんと頑張って。不安だけど、それは弘の問題なんだもんね。でもこれから先、悩んだり困ったりした時は、先に話をしてほしい。後から聞くのって、凄く嫌な気分になるから」


「……わかった」


「それから2人の将来のことは、弘からちゃんと聞かせて欲しかった。ていうか、欲しい!」


「そっか…」


プロポーズは男がするものだ。

結婚生活は男が引っ張っていくものだ。

好きなら女のために頑張るのが当たり前。

夏美は自分の中の願望を、今ならハッキリ捉えられる。自分の中に、たくさんの期待とベキ論が渦巻き、それを当然のように弘に強いろうとしていた。


私は、弘に男として“ちゃんと”頑張って欲しかった。

自分の望んだ通りにしようともしない彼に、苛立ち、そして失望し、ただ焦っていた。

でも、男にはいろんなタイプがいるのだ。自分の理想を押し付けたところで、タイプが違えば叶うわけない。

第34話

「まあ、2人で頑張ろうよ!」


大事なのは、弘を理解し、そして自分を理解することなんだ。

そう言うと、夏美は弘の背中を強めに叩く。


「いってー。わかった。わかったよ」


弘はよろめきながら後ろを振り返り、いつもと同じ顔で「へへっ」と笑い返す。



NEXT ≫ 第35話:一難去ってまた一難。憧れの彼から連絡が入り、女がその時決めたこと



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第29話:「ただ結婚して安心したかった」その事実に気づけただけで、実はいいこと?


第30話:借金よりも問題は隠し事!気づいたときに起きたこと


第31話:彼と会う前に気持ちの整理を…彼女が出した答え


第32話:30分遅刻して彼親と対面!謝罪の後に待っていた状況


第33話:母親の小さな嫌味!模範回答を探していると、意外な彼からのアシストが



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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