エンタメ

【小説#33】母親の小さな嫌味!模範回答を探していると、意外な彼からのアシストが

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:30分遅刻で到着した食事会場。どんな嫌味を言われるかと思いきや、穏やかそうなご両親は言及せず、そのまま会食が始まった。久しぶりに会う恋人の顔に、懐かしさと苛立ちを覚えつつ、でも会えたことは嬉しい。 当たり障りのない質問に模範解答を出していると、ふと母親からの嫌味の変化球が飛んでくる。悪いのは確かに夏美なのだが、どう返したらいいのか迷い、思わず言葉に詰まってしまう。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第33話:30分遅刻して彼親と対面!謝罪の後に待っていた状況

オンナの敵はオンナ。

これもある意味そういうことなのか。


母親の上品な嫌味を聞き、回答を探しながらそんなことを考える。


「夏美さん、土日もこんな急に仕事が入るなんて、大丈夫なの?あなたの体もそうだけど、その、これから2人になったとき、仕事ばかりでは育つ仲も育たないんじゃないの?」


言わんとしていることは、夏美の心配というオブラートに包まれた、弘の心配と、今日の非礼に対するツッコミだ。

それは分かっていた。分かっていたからこそ、どう言えば納得してもらえて、どう言えば彼女に気に入ってもらえるのか、満点に限りなく近い答えを、夏美は探していた。


「えっと…そうですね」


どもりながら、乾いてもいない喉を炭酸水で潤す。母親の顔は、変わらず口角が上がっているが、細まった目がどこか怖い。


「お母さん。夏美だって仕事頑張ってて忙しいんだから、心配いらないよ」


「え?」


と言いかけて、思わず口をつぐむ。


助け舟を出してくれたのは、意外にも弘の一言だった。

第33話

「俺よりもずっと俺たちの事考えてくれるし、助けられてばっかりなんだよ。この引っ越しだって、夏美が段取ってくれたから実現したことなんだ」


「え?そうなの?」


母親の顔から、みるみる驚きと恥ずかしいという気持ちが浮き出てくる。


「うん。いつも忙しいのに、部屋が汚かった事なんて1回も無いし。ご飯だってオレが野菜食べないからって、野菜中心のメニューにしてくれてさ、なんだったら俺より遅い日もたくさんあるのに、そういうの毎日一生懸命やってくれてんだよ」


「弘、お前ちゃんとしてるのか?迷惑かけてるんじゃないか?」


「そんなこと言って、お父さんだってなんにもしないじゃない」


「犬のトイレ掃除と、ゴミ捨てはやってるぞ」


「それは家事って言わないのよ」


父親と母親の即席コントが始まり、場がドッと和らぐ。


「まあだから、夏美には頼りっぱなしだけど、一応なんとかやれてる。今日も忙しいのに、来てくれて本当ありがとう」


弘と目があう。面と向かってありがとうと言われたのは、いつ以来だろう。

思わず頬が熱くなる。こういう見ていないようで見ている彼が好きだった。夏美は忘れかけていた彼の魅力をなぞり返すような気持ちになる。


「こっちこそ、遅れてごめん…」


返答しながら、手汗が吹き出す感覚を必死に抑える。


「夏美さん、弘と一緒で、大変じゃない?この子全然普段のこと教えてくれないから。今日だって、夏美さんがどんな人か、会うまで全然教えてくれなかったし」


「…そうなんですね。お会いできて、よかったです」


一瞬、「教えてくれない」という一言に借金の話がよぎった気がするが、弘は誰に対しても弘なのだと思えたら、小さく諦めがついてくる。

何より、私をかばってくれて、頑張っていたと肯定してくれた事実が、夏美を想像以上に安心させる。


もう一度話せるかもしれない。

そう思いながら、テーブルの上はデザートへと移っていくのだった。



NEXT ≫ 第34話:プロポーズして欲しかった!気づいた自分の中の期待を手放し、出した答え



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第28話:自分の本音と今後に絶望!頼れるのはもう実家だけ


第29話:「ただ結婚して安心したかった」その事実に気づけただけで、実はいいこと?


第30話:借金よりも問題は隠し事!気づいたときに起きたこと


第31話:彼と会う前に気持ちの整理を…彼女が出した答え


第32話:30分遅刻して彼親と対面!謝罪の後に待っていた状況



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

女子力アップ

編集部ピックアップ

女子カレとは?

今週のお悩みQ&A

広告掲載について

Facebook

Twitter

ページTOPへ