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【小説#29】「ただ結婚して安心したかった」その事実に気づけただけで、実はいいこと?

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:弘と喧嘩し、一旦実家へと避難した夏美。彼を本気で怒らせてしまったこと、自分の本心の汚さに気づいてしまったこと。どうしたら前に進めるのか答えが出ず、藁にもすがる思いで季子に相談を送る。数時間前の幸太へのときめきすら、今はもう色あせ、そして複雑な嫌悪感すら覚えてしまう。 湯船につかりながらこれからどうするか考えるけど、夏美は答えの出ない状況に、涙が止まらないのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第29話:「ただ結婚して安心したかった」その事実に気づけただけで、実はいいこと?

実家で生活するというのも、一周回って悪くないかもしれない。


落ち込んで逃げ帰った実家生活だけど、1日2日と時間がすぎるたび、夏美の心は少しだけ癒やされているような気がした。


とはいえ、問題は一切解決しておらず、答えも出ていないし、季子からの返事も来ていない。明日にはもう食事会の約束が迫っており、出るべきか、もう欠席扱いになっているのか、どちらにせよ弘に確認はしなくちゃいけなかった。

元気になり始めているとはいえ、弘を思い浮かべると、夏美はまだズーンと落ち込んでいく自分を実感していた。事態が良くなっていないのだから、当然である。


第29話

そんな混沌に光が指したのは、季子からの連絡だった。

『ご連絡遅くなってごめんなさいね』というひと文を読むと、夏美の体温は少しだけ上がる。どんな苦言を呈されるのか、ドキドキしながら読み進めると、意外にも文章は暖かく、そして肯定的に書かれていた。


『私は、あなたの状況は正しい前進の第一歩だと感じました。なぜなら『自分は彼との結婚ではなく、安心感と結婚したかった』という事実に、心から気づけたからです』


思わぬ褒め言葉に、頭にクエスチョンマークが浮かぶ。良いこと?こんなにグチャグチャしているのに?


『結婚というのは、唯一の人と道を歩むことですが、スタート時点で自分に嘘をついていては、ともに歩むこともできません。あなたは歩き出す前に自分の嘘に気づけたのですから、今から心を訂正すればよいのです』


言っている意味はうっすら理解できる。でも、実際の対処についてはよくわからない。季子のアドバイスは、大体いつもそうだ。ただ今回だけは褒められている。という事だけは分かる。


『そもそもなぜ借金が許せないのか、教えてください。生活力が無いのならまだわかりますが、理由もしっかりしていて、返済もしているのに、どうしてそんな拒否してしまうのでしょう。彼が極悪人に見えますか?』


借金という二文字に、心拍数がバクバクと上がる。「それは…だって、怖いし…」とはいえ、別に弘を極悪人だとは思わないし、多分この人はそういう答えを求めていない。

理由はどうあれ借金は怖いもの。当たり前に考えていたことだけど、改めて問われると答えに迷う。


「なんで悪いか…それはだって計画性がないし…それは本当に返せるかわかんないし…そもそも秘密にされてたのも腹が立つし…てか、明日の食事会はどうしたらいいの?あーー……」


ベッドの上をゴロゴロしながら、夏美は声を出し脚をバタつかせる。時間は深夜1時を回っていた。



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■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第24話:握られた手、思わず急接近するデートの行方は…


第25話:キスの後の「この後どうする?」その時彼女の頭に浮かんだこと


第26話:微妙な温度から戻る二人の仲。そして彼が話した借金の真実


第27話:明かされる彼氏の借金の理由!ただ聞きたかっただけ?それとも安心させてほしかっただけ?


第28話:自分の本音と今後に絶望!頼れるのはもう実家だけ



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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