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【小説#27】明かされる彼氏の借金の理由!ただ聞きたかっただけ?それとも安心させてほしかっただけ?

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

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前回のあらすじ:幸太の誘惑から逃げ帰り、コンビニで物色しながら冷静さを取り戻す夏美。トイレットペーパーをキッカケに、仲直りを果たす2人だったが、態勢を整え、話し合いは再会される。感情的にならないよう、ゆっくりと言葉を選んで気持ちを伝える夏美に対し、弘も意を決して借金の理由を伝えるが、それは「起業」という、夏美の予想のはるか上の理由だった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第27話:明かされる彼氏の借金の理由!ただ聞きたかっただけ?それとも安心させてほしかっただけ?

男は何歳になっても少年だ。

夢、冒険、野望、大志。それって凄いことだなと思うけど、そこには無謀さも隣り合わせだと彼らは気づいているのだろうか。


「起業??」


借金の理由を聞いたとき、返ってきたのは意外な単語だった。起業と聞いて思いつくのは、よくテレビで見るIT社長。若くして新しいサービスを立ち上げ、何をやっているのかはわからないけど、タワーマンションとかに住んでいる人が思い浮かぶ。

そういえば、この前雑誌でみたIT社長は、弘よりも年下だった。


「弘、起業してるの?」


もう一度確認すると、弘はスマホの画面を見たまま答える。


「してたの。大学の頃に。友達と一緒に」


「え?誰と??てか、何してたの?」


誰となんて聞いたところで、その人を知っているはずはなかった。でも、夏美の中から疑問がとめどなく溢れてくる。


「あの時は3人で起業した。一応、輸入業っていうのかな」


「輸入?何を?」


「……まあ、雑貨とかさ」


第27話

「雑貨?どんなの?てか弘、雑貨とか興味あったの?」


思わず聞き過ぎた…と自分を静止するけれど、弘はスマホに視線を落としたまま、明らかに硬い表情をしていた。


「大学3年の頃、友達とインドに旅行してね。その時のご縁で、インドとかアジアの雑貨を輸入して、ネットで販売する会社を作ったんだよ。ただ途中で色々問題も起きちゃって、結局今はやれてないけど。このお金は、その時使ったものだよ」


「そうなんだ」


「これで、満足?理由は以上だから」


夏美は、湧き上がる疑問や質問を1つ1つ選別し、最低限聞くべきことだけは漏らさないようにしようと、思考をめぐらせる。


「その話って、親は知ってるの?」


「え?親?一応、途中までは」


「途中って、どの辺まで?」


「会社が上手くいかなかったところは知ってる。お金のことは、言ってないよ。そもそも、親は別に関係ない話だから」


「また関係ないって言った! 弘はいつもそうやって、自分以外を締め出す癖、どうかと思うな」


「夏美にだって、関係ないことだろう」


「関係なくないよ!」


自然と語尾が強まっていく自分に、思わずストップをかける。


「確かに今は関係ないけど、私と弘の関係はお互いを知って、理解しあって、支えあっていくことが大事でしょ? それなのに嫌なことは伝えないんだったら、わかりようないじゃん!」


「夏美は知りたいんじゃなくて、安心させてほしいだけなんじゃないの?知ってどうするの?支えてくれるの?お金貸してくれんの?」


「なんでそういう意地悪言うの?」


「意地悪じゃなくて、事実、安心したいから結婚したいんだろ?」


「……は??そんなんじゃないし!ていうか今の弘じゃ、結婚なんてできるわけないじゃん!バッカじゃないの!」


大声で叫んだあと、放った言葉にハッとする。

沈黙の中にある弘の表情は、スマホを向いており確認できない。


「……おれ、ちょっと出かけてくる」


気まずい空気を弘がやぶり、ソファを立ち上がる。


「待って」


力なく声をあげ夏美は腕をつかもうとするが、するりと交わされその場によろける。


「いいよ。私が出かける。ていうか、しばらく実家に行くから」


そう言うと、とりあえず数日間の荷物をまとめ始める。弘は声をかけてくれない。


洋服を詰めていると、弘への怒りと自分への落胆で、涙がポロポロと流れ出る。

弘はいつだって自分以外を外に追いやり、なにも分かち合ってくれないし頼ってくれない。いつだって私を不安にさせる。

自分の心は、安心できる弘としか結婚したくなかったし、今の弘ではやっぱり無理なこと。

開いてしまった本心の箱が、夏美を混乱と落ち込みの渦の中に引きずり込む。


食事会どころではなかった。2人の未来どころではなかった。

夏美はゴロゴロとキャリーを引きながら、実家への電車を検索する。何が1番悲しいのか答えは出てないのに、涙だけはダラダラと流れ続けていた。



NEXT ≫ 第28話:自分の本音と今後に絶望!頼れるのはもう実家だけ



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第22話:ついに問い詰める借金の真相!そのとき彼が話したことは…


第23話:不意打ちにダウン寸前!彼ではない男との秘密の夜


第24話:握られた手、思わず急接近するデートの行方は…


第25話:キスの後の「この後どうする?」その時彼女の頭に浮かんだこと


第26話:微妙な温度から戻る二人の仲。そして彼が話した借金の真実



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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