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【小説#25】キスの後の「この後どうする?」その時彼女の頭に浮かんだこと

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

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前回のあらすじ:幸太から「結婚」というキーワードが出た。思わず過敏に反応してしまう夏美だったが、悟られないよう冷静を装うも、なんだかたどたどしい態度になってしまう。 無事愚痴ったりすることなくデートは終わりを迎えようとするが、ふいに幸太に手を取られ、そのまま手をつなぐ夏美。真意は何かドキマキしていると、別れ際には「考えすぎんなよ! 」という“トドメ”と共に、頭を撫でられる。 フリーズする夏美に、幸太はゆっくりと唇を重ねるのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第25話:キスの後の「この後どうする?」その時彼女の頭に浮かんだこと

あ、ダメ…。そう思ったときには、だいたいがもう後戻りできないところまで来ているものだ。


幸太の唇に触れると、暖かさとさっき飲んだお酒の香りが伝わってくる。動こうと思えば動けたのに。受け入れてしまったのは、今の不安な状況がそうさせたのか、それとも自分の本心なのか。

ゆっくりカラダを離すと、優しい幸太と目が合う。すかさずサッと視線をずらすと、握られた手がほどかれ、一度頭をポンともういちど撫でられる。


「ごめん…なんか可愛くて…」


先輩の声が耳に入り、外の喧騒が思っている以上に大きかったことに、いまさら気づく。


「いえ…私こそ…」


すみませんと言いそうになり、何が一体すみませんなのか、自分で自分がわからなくなる。

幸太の手は、頭を触れていたと思ったら、自然な速度で下へ降り、夏美の手をまた握る。


「この後、まだ平気?」


どうするも何も、お酒を飲み、キスをされ、次にすることは決まっている。

幸太の圧倒的な存在感に、夏美は首を縦にふってしまいそうになる。


「私…」


YESと返答しそうになった瞬間、カバンの中からスマホのバイブがヴヴッヴヴッと鳴り、二人が「あっ」という顔になる。


(弘からメールだ!)


一人だけ振動リズムを変えているから、見なくても分かった。


「すみません、ちょっと…急ぎかもしれないので…」


握られた手をサッと放し、先輩から距離を取る。

カバンからスマホをゴゾゴゾと取り出し、汗ばんだ手でパスワードを入力すると、弘からの文面が目に入る。


『あのさ、帰りにトイレットペーパーよろしく\(^o^)/お腹イターイ』


「うわ……」


第25話

急に、現実にグイッと引き戻され、数秒前のラブシーンが、全部なにかの間違いだったような気がしてくる。恋愛の駆け引きとシモの不調は、相性が悪すぎる。


興ざめすると同時に、ホッと一息つき冷静さを取り戻すと、幸太に向かって向き直す。


「ごめんなさい、明日朝から予定があって、今日は帰らないといけないんです」


「そうなんだー…じゃあ仕方ないね」


幸太の顔が、一瞬曇った気がして、夏美は罪悪感を覚える。

でも、弘のことが、どうしても気になってしまう。もちろんお腹の調子も。


「また、ご飯行きましょう!今日はごめんなさい」


ごめんなさいと口走る自分に、気の弱さを感じてしまう。


「いいよ、気にしないで!またメールする」


ねっとりとした空気感は去り、いつもと同じように2人は別れる。

電車に乗り込みシートに座ると、情報量の多さに思わず前かがみにうなだれてしまう。


「私…私…」


どこからどう振り返ったらいいかわからないまま、電車が動き出す。

とりあえず、帰りにトイレットペーパーを買うことだけは忘れないようにしよう。混乱を鎮めるように、どこのコンビニに寄ろうか、どの道順で帰ろうか、夏美は日常的なことで頭の中を埋めようとするのだった。



NEXT ≫ 第26話:微妙な温度から戻る二人の仲。そして彼が話した借金の真実



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第20話:結婚がしたいけど問題が片付かない!頼った先で言われたアドバイスとは


第21話:借金のある男は問答無用でダメ男?問われて気づくお金への思い込み


第22話:ついに問い詰める借金の真相!そのとき彼が話したことは…


第23話:不意打ちにダウン寸前!彼ではない男との秘密の夜


第24話:握られた手、思わず急接近するデートの行方は…



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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