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【小説#11】家事をやらずに心配する彼は優しい男?

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

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前回のあらすじ:「好きだから頑張るという行為は、純粋な愛に見えて愛ではありません」季子からの手厳しいアドバイスに、力が抜けていく夏美。彼と結婚したいがために頑張っていたのは、愛ではないなら一体何?疑問が湧き上がる中、弘からの誘いのメールに、一瞬で幸せを感じる夏美。お化粧を直し、女のスイッチを入れ直す頃には、季子のアドバイスは頭のすみっこにおいやられていた。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第11話:家事をやらずに心配する彼は優しい男?

ラーメンでも、弘と一緒なら高級ディナーと同じくらい幸せ。

ラーメンを一緒にすすりながら、時折チラっと彼のまぶたに視線をおくる。

美味しい。楽しい。やっぱり一緒に住むって、こういう日常がより幸せに感じられるものだな。

妙にテンションが高い自分を感じながら、餃子にも手をのばす。


第11話

お腹いっぱいになると同時に、一瞬冷蔵庫の中の水菜が思い出されるけれど、まあ明日ならギリギリ使えるかもしれない。そう思うことで、罪悪感が少し和らぐ気がした。


「今日さ、なんで外で食べようと思ったの?」


何の気なしに誘った真意を聞いてみる。最近デートらしいデートができていないから、それに対する罪悪感や責任などを感じていたりするのだろうか。


「んー、いつも家だと大変かなとおもって」


「え、大変?」


期待とは別方向からの返答に、夏美は一瞬キョトンとしてしまう。


「私が大変そうに見えるってこと?」


思いがけない言葉に、季子のアドバイスが蘇る。


『好きだから頑張るという行為は、純粋な愛に見えて愛ではありません』


なんとなく心配になって聞いてみるけど、弘は「いやあ…」と曖昧に返答しつつ、替え玉を食べ始める。


私が無理しているように見えるから、外食で済ませたってことか。


そう結論づけると同時に、胃からねっとりとした感覚が喉のあたりまで上がってくる。思わず反論として吐き出そうとしたけれど、フーッと息だけを吐き出して事なきを得る。

外食に連れ出すという彼なりの優しさよりも、夏美のことが大変そうだと気づいていながら、夏美を物理的にサポートしない選択をしていることの方が、重要な問題なのではないか。弘のマイペースな鈍感さに、楽しかった食事が一気に気分の悪いものへと変わる。


結局なんだかんだ、私がいろいろやらないと、あの家は回らないのに。

そんな不満を抱きながら、少し距離を取りながら2人の家へと向かう。

弘は「食った食った」と呑気にお腹をさすっている。


お会計は結局夏美も半分支払った。大変だから外食をと言ったくせに、これじゃあただ自分がラーメンを食べたかっただけではないか。家につく頃には不満が完全にムカムカへと昇格し、1秒でも早くお風呂に入ってスッキリしたい気持ちでいっぱいだった。

マンションのエントランスをくぐり、ポストをチェックする。

公共料金の明細やDMをかき分けた下に、ふと弘宛の見慣れない青い封筒がある。


「なにこれ」


拾い上げてみると、聞いたことのある消費者金融の会社名が書かれている。

一瞬嫌な予感がして、背中に鳥肌が立ち、慌ててエレベーターを待つ弘に声をかけようとする。

しかし、頭での決断とは裏腹に、夏美は次の瞬間、青い封筒を無言でカバンの奥にしまいこんでいた。


『愛とは、信頼とバランスをもってして生まれるものです』


季子からのアドバイスに『信頼』という文字が入っていたことを、夏美はすっかり忘れていた。



NEXT ≫ 第12話:彼の秘密が発覚!そのとき浮かぶ彼への疑い



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第6話:同棲準備は楽しいことだらけ!でもそれって2人とも楽しんでる?


第7話:同棲前日!幸せの中にある焦りと不安の正体とは


第8話:幸せなはずの二人の生活がなぜか息苦しい理由


第9話:好きだから頑張る!でもそれって純粋な愛じゃない!?


第10話:愛は信頼とバランス!言われて感じる「頑張る私を否定しないで」



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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