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【小説#20】ついに来た不倫の終わり!女が別れ話で取る最後の怒り行動

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:話し合いが終わろうとした時だった。突然部屋に真紀が訪れ、哲也にビンタをかまし、修羅場が勃発。「あんたがネズミーランドに行ったの、知ってるんだから」と真紀は語りだし、哲也も応戦するように怒りのボルテージを上げていく。この場を止めなければ!そう思った遥は、とっさに「あたし、妊娠してるかもしれない」と叫び、場を凍りつかせてしまう。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第20話:ついに来た不倫の終わり!女が別れ話で取る最後の怒り行動

物語っていうのは、ピンチになるといつだって救世主が助けてくれるモンだけど…。

真紀のオロオロする顔をみながら、遥は次に出すべき言葉を探していた。


「妊娠したかもしれない」


2人の争いを止めるため、出しそびれた本題をこのタイミングで吐き出してしまった。混乱をいっとき止められても、状況をより悪化させてしまった気がする。


「生理が遅れてるの。今日ちゃんと検査してから哲也と話そうと思ってたの。でもこんな事になっちゃったから…」


遥が視線を下に落とすと、哲也のカバンが目に入る。しまわれた娘のゲーム機のことをおもいだし、想像の中だけでありかを探ってみる。

今の自分が穏やかな顔をしているのか、泣きそうなのかは、本人にもよく分からない。


「あたし…」


遥が下をむいたまま言葉を探していると、力強い腕が包み込む。


「大丈夫なの?」


親しんだニオイが遥を包み込む。

でもそれは、目の前の愛した男のものではなく、いつだって意見も性格も噛み合わないのに、いつもそばに居続けてくれる女友達のものだ。


「あんたさ、なんで言ってくれなかったの?てかさ、なんでこの状況で言うの?どうするつもりなの?」


「ねえ、彼氏はどうするつもりなの?」


「えっ?」


急な混乱のおすそ分けに、哲也は間抜けな声をあげる。


「あんたさ、どうするつもりだったの?この関係?」


遥はまっすぐ男を問い詰める親友を、ただ眺めることしかできない。

いつだって意見も性格も噛み合わないのに、いつだって言いたいことを自分より先に言ってくれる女友達。きっと男だったらモテるんだろうなあと、冷静さを取り戻すため、くだらない思考を間に挟む。


「どうするって言っても、まずは事実を確認しないとなんとも」


「じゃあ事実だったら、責任取るの?」


「責任っていうか…まずは、遥がどうしたいのかを聞かないと」


相手に合わせることで自分の立場を守ってきた。そんなあたしの性格を、この男はわかった上で言っている。

直感的に感じた哲也のずる賢さに、遥の中でスーッと何かが引いていく感覚が生まれる。


『責任取ってくれとは言えないでしょ』


哲也の心の声が聞こえてきた気がして、心臓の音がドッドッドッと急に打ちつけてくる。

そうだ、この人は、こういう計算高さが魅力だったんだ。


「遥?」


心配そうな真紀の声が響く。


「あたしが、どうしたいか…」


もう我慢したくない。もうあなたに合わせたくない。もう待ちたくない。もう疑いたくない。もう聞き分けのいい彼女でいたくない。もう変な妄想したくない。

本音が一気に体中をかけめぐり、どうやったら狡猾な男の手中から逃げ出せるのか、言葉を探す。

別れたいと言ったら関係は今すぐ切れておしまいだし、別れたくないと言ったら行く末をあずけなければいけない。

あたしを今、あたしが守らなくちゃいけない。そう思ったら、答えが1つだけ出てきた。


「あたしはもう“不倫女”ではいたくない」


「それって、どういう意味?」


哲也が眉をひそめて聞き返す。


「だから、こういうこと」


遥はツカツカと哲也の方へと歩き出す。

数歩の距離がとてつもなく遠く感じられ、一歩が重い。

哲也のカバンに強引に手をつっこみ、娘のゲーム機を掴み取る。「あっ」と、焦りと怒りを露わにした哲也と目があうも、動きは止まらない。ゲーム機をにぎった手を頭上に振り上げ、勢いよくそのまま落とす。


「ちょっっっ」


目をまんまるにした男の顔をわずかに避け、風圧だけを残し、腕もゲーム機もそのまま下に降ろされる。


—————ブオンッ


「なーんちゃって」


遥は無理やり笑い顔を作り、ゲーム機を裏返してベタベタとシールが貼られた面から、ネズミーランドのものを剥がし始める。


カリカリと爪をあてがうたび、遥の瞳からポタポタと涙が流れ、ゲーム機に落ちる。その涙が苦しい記憶をたどっているのか、怒っているのか、清々しいのかわからないが、一心不乱にシールを削り取る。


剥がれる瞬間、「ごめんね」と心の中で会ったことのないリカにだけ小さく謝り、剥がれたシールを哲也の胸めがけ、叩くように強く良く押しつける。


「こういう事だから」


哲也はよろめき、シールは床へとゆっくり落ちていく。


涙と息を整えていると、お腹の中から生暖かな体液が、下へ下へとつたっていく。


「あっ…」


気持ち悪いほどの暖かさに、先程とは違う涙が、一筋だけ流れた。



NEXT ≫ 第21話:ずるい男は最後までずるく、気づいた女だけが生まれ変わる




■恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~バックナンバー

第15話:女が不倫で静かに狂うときやること


第16話:不倫相手の噓!? 告げられた絶望の真実は…


第17話:ついに運命の話し合い!でも秘密がバレて思わぬ険悪な空気に


第18話:「わかってほしいのは辛いという気持ち」話し合いで男と女がすれ違う理由


第19話:不倫の喧嘩に親友が乱入!繰り出されるビンタに、修羅場はさらに熱を帯びる


  • おおしまりえ(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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