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【小説#19】不倫の喧嘩に親友が乱入!繰り出されるビンタに、修羅場はさらに熱を帯びる

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

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前回のあらすじ:ついに始まった話し合い。でも哲也の事実ばかり追いかける対応に、遥はただ心のすれ違いを感じていた。「話していてもしょうがない」煮え切らない哲也がこの場から立ち去ろうとしたとき、遥は真実を見つけてしまう。ゲーム機にネズミーランドの限定シールが貼られていたのだ。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第19話:不倫の喧嘩に親友が乱入!繰り出されるビンタに、修羅場はさらに熱を帯びる

嘘つきは泥棒の始まり。

不倫の噓は、一体なにを盗んでいるのか。

恋人の愛情か、はたまた家族の信頼か。

でも1つ言えることは、当人はきっと、自分が色んなものを盗んでいるという自覚がないということだ。


ネズミーランドにはやっぱり行っていた。

明るみになった真実に、遥はショックを受け、その衝撃に打ちのめされるが、哲也は真実には気付かず、遥からゲーム機を奪い取り、そのまま玄関へと歩き出す。


「ちょっと待って! 話は終わってない」


遥は“本題”を言いそびれていたことに気づき、あわてて駆け寄る。


「とりあえず今日はゲーム取りにきただけだから。あと、俺たちの関係もこんな状態なら考え直そう。話も今の状態じゃ聞けないから、また次回にして」


手短に要件をまとめる哲也に、良さである冷静さとずる賢さを、これでもかと痛感する。


そうだ、もともと好きになったキッカケも、先回りして行動する遥の性格を理解し、的確なフォローをする彼の冷静さと安心感に、信頼を置いたのが始まりだった。


長所と短所は紙一重。

よくいう言葉が浮かんでくる。

絶望感に侵食されながら、玄関の前で立ち尽くしていると、哲也がドアを空けようとしたタイミングで「ピンポーン」と呑気にインターホンが鳴る。


「だ、誰!?」


2人同時に動きを止めて、状況を確認する。

遥は瞬時に宅配便などの注文状況を思い出してみるが、特に今日到着するものや、誰か来る予定はない。ドア外に立つ人が“普通の来訪”でないことは容易に想像できた。

遥が恐る恐るインターホンに近づき、応対する。


「はい…」


「あ、遥?あんた忘れ物してたからわざわざ届けてあげたんだけどー」


とぼけた明るい声に、緊張感が緩む。


「ま、真紀??」


「全然連絡つかなかったから直接来ちゃった。とりあえず開けてー」


「え…あの…」


複雑な状況をさらに複雑にする人物の登場に、遥はその場に硬直する。すると「ドンドンドン」という催促の音が、外から聞こえてくる。

玄関には不倫相手、家主は泣きはらした顔、この状況を、真紀が冷静に受け止めてくれるとは思えない。


「とりあえず、ドア開けるから」


遥はドアノブに手をかけ、哲也は玄関からしりぞき、一旦遥の後ろに移動する。


ガチャリ。


ドアを開けた瞬間、「いやー遅くに悪いね」とつぶやきながら、真紀は違和感なく玄関へと上がり、当然のように靴を脱ぎ始める。

何回も来たことがある親友の部屋で取る態度としては、当然の動きだ。


「あっ、誰かきてるの?」


直球強引女子の真紀でも、さすがに男物の靴を見て状況を理解する。


「こんばんは…」


すかさず哲也が正体を表し、愛想笑いで挨拶する。


「うわっ、ごめんなさい。はじめまして。てか、邪魔した感じじゃないですか!」


真紀も思わず苦笑いを送り返す。


「いや、もう帰るところだったんで。ごゆっくりどうぞ」


「遥、いいの?」


バツの悪そうな真紀と目があい、泣きはらした遥の顔に、真紀の目の色が変わる。鋭い目でそのまま目線を哲也にうつし、ジッと数秒見つめたと思ったら、ツカツカと哲也に近づいていく。


「てめえ、家族いるくせに、こんなとこ来てんじゃねーよ」


バチーン!!!


叫んだ!と遥が思った瞬間に、真紀は右手を振り上げ、勢い良く頬をめがけて落としていた。


「あっ」と思わず遥と哲也、2人ともが声をあげ目を丸くする。

急に修羅場っぽくなった状況と、なぜ真紀が哲也をひと目見て不倫相手と理解したのか、なぜ真紀が手を挙げるのか、全てに適切な答えを導き出せていなかった。


「痛ったー」


「遥、あんたこいつに騙されてる! あたし、この人の事見たから!!ネズミーランドで家族といるところ、確かに見たから」


「え!? えっと、ちょっと待って…」


「あんたさ、別れる気ないなら、もう友達と別れてよ!大事な友達、傷つけないでよ」


遥は「友達」という響きに反応し、お腹がぐっと熱くなり、涙がふたたび溢れでてくる。


「イタタ。急に何ですか。僕はあなたの事知りませんけど、暴力的な事するなら、訴えますよ」


哲也が苛立ちを抑え、真紀に冷静に反論する。


「はあ、訴えるとか、どの口が言ってるんだか? やってみろ!」


もはや、舞台の中心は真紀と哲也に入れ替わり、乱闘でもおきそうな空気が立ち込めていた。


「あ、あのさ、あたし、妊娠したかもしれないんだよね」


哲也と真紀が、ピクリと動きを止め、場の空気がシーンと静まり返る。

本当はこの場を止める方法や、怒りを鎮める方法を探していたのに、カラダは正直に本音を放っていた。



NEXT ≫ 第20話:ついに来た不倫の終わり!女が別れ話で取る最後の怒り行動




■恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~バックナンバー

第14話:彼の不安な不倫関係!不安すぎてついに自分の痕跡を残し始める


第15話:女が不倫で静かに狂うときやること


第16話:不倫相手の噓!? 告げられた絶望の真実は…


第17話:ついに運命の話し合い!でも秘密がバレて思わぬ険悪な空気に


第18話:「わかってほしいのは辛いという気持ち」話し合いで男と女がすれ違う理由


  • おおしまりえ(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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