エンタメ

【小説#16】不倫相手の噓!? 告げられた絶望の真実は…

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:本人も気づかぬうちに、遥は自分の存在を周りに知らしめたいと思い始める。リカのゲーム機をいじり、哲也を困惑させることが、どれほど狂気じみているのか、すでに冷静な判断がつかなくなっていた。そしてついに妊娠検査を決行する日が訪れる。しかし哲也と対面する前に、真紀から思わぬ呼び出しがかかる。30分だけ…と承諾すると、そこには思わぬ人物が爆弾を抱えて待っていた。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第16話:不倫相手の噓!? 告げられた絶望の真実は…

「……これって、どういうこと?」


真紀との待ち合わせ場所に到着すると、そこには真紀の隣に意外な人物が腰を下ろしていた。


「ねえ、なんで正典くんがそこにいるの?」


バツの悪そうな顔で、正典は遥に手を振る。

困惑しながら席に着くと、「まずは、あの時の失態をわびたい!」と正典は言い、頭を勢い良く頭をさげる。


「あの時」と言われ、どの時のことなのか、逆にポカンとしてしまうが、それは正典が哲也と鉢合わせした際、酔って遥に絡みかけていたことを指しているらしい。

そういえばその後、哲也と気まずい空気になり、切れたりチケットのことで泣いたり、別れるとケンカになったんだった。


ほんの少し前のことのはずが、遥には遠い昔のような気がしてならない。それもこれも、今目の前にある妊娠という大きな問題で、頭の中がいっぱいだからだ。


「別に気にしてないから。まさか話しって、これだけ?」


愛想笑いの中に苛立ちをにじませる。半分くらい、気持ちはこのあとの約束に向いていた。


「遥さ、あたしが勧めたHP、ちゃんと読んだ?」


またしてもどこか回りくどい言い方に、遥は思わずスマホにちらりと視線を移す。真紀がいうHPとは、恋愛お悩みサイト「チュベローズ」のことだが、正典の前で、そういう話題を出す意図がわからない。


「見てないけど、今この状況と、なんか関係あんの?」


思わず口調が強くなり、真紀が一瞬ひるむのがわかる。頭では冷静に状況を観察しているつもりが、ちょっとした言葉にトゲが出てしまう。


「今日は時間ないとこ、ごめんね。実は俺が遥ちゃんにどーしても会いたいって、お願いしたんだよ」


ただならぬ空気を打ち破ったのは、意外にも正典だった。営業スマイルと目があい、遥は一瞬ホッとする。


「実は俺、衝撃的なものを見ちゃってさ…」


目を細めたまま、こんどは正典の眉がおどけて八の字に曲がる。その顔を見ながら、まるでこの男の顔は福笑いのようだなと思う。


「何を見たの?」


合わせるように返答をした自分の顔も、かなりぎこちない。


「後藤さんだよ」


ゴトウさん??ゴトウさんって、ゴトウさん?


遥はゴトウという人物が一体誰のことを指しているのか本気でわからず、10秒くらいうつむき考える。それが『後藤哲也』であると気づき、「ああっ」と顔をあげる。


「ゴトウさんね!分からなかった。それがどうしたの?」


「うん……」


正典の営業スマイルが曇り、視線が遥の目から外される。1つ1つの動作が、これから続く言葉が悪いものであることを予測させる。


「少し前に後藤さんを見たんだけど…隣に、小さい子がいたんだよね」


「小さい子」と小声で反すうしながら、それは暗に家族でいた姿を指しているのだなと気づく。自分と哲也の関係が不倫であるとバレてしまったことと、家族と笑い合う哲也が脳裏に浮かび、じっとり汗がにじむ。


「ああ、あの、あのね、私、正典くんにきちんと説明してなかったんだけど…」


思わず弁明しようと身を乗り出しかけた時、真紀が間に割って入る。


「もう、いい加減目を覚ましなって!あの男はさ、美味しいとこだけつまもうとしてるんだよ」


知ったような口ぶりの指摘に、顔がカッと熱くなり、遥は冷静さを取り戻すため、努めて自然に店内を見回し、他の客がこちらを向いていないことを確認する。

まあまあと正典が真紀をなだめたその顔からは、先程の愛想笑いは消えていた。


「俺は遥ちゃんがどう考えているか分からないけど、心配だから、一応見たものを直接伝えたかったんだ」


無言でゆっくりうなずくと、覚悟に反応するかのように、お腹がピクリと痙攣し、一瞬胎動という神秘的な体験を連想する。


「その日、後藤さんの隣には、2人の子どもと、遥ちゃんではない別の女性がいた。普通に歩いていたし、楽しそうにしてた」


「……そっか」


せいいっぱいの声を出したつもりが、口から出る音は、なんともか細い。


(でもそれが、幸せな家庭である保証はない)


頭の中では、不安を打ち消すように、強い抵抗感が生み出される。「遥ちゃんがどういう把握をしているか分からないけど、俺にはごく普通に幸せな家族に見えた」と脳内の抵抗感を打ち消すように、正典からすかさず指摘が入り、遥はクラクラしてしまう。


「教えてくれて、ありがとう。私、ちゃんとわかって“りゅ”つもりだから」


とっさに理解ある女のふりをしたら、舌を噛んでしまった。


「ちなみにそれは、どこで見かけたの?」


正典の顔を見据えると、真剣だった顔は、まるで哀れみを投げかけるような瞳に変化する。


「ネズミーランドだよ」


正典の声を聞きながら、遥は自分の足元がグワンと歪むような感覚に襲われる。


真紀が耳元で何か言っているのが聞こえるが、音としての認識ができても、言葉としての理解が追いつかない。

とにかく状況を整えなきゃ。わずかに動く頭を回転させ、スマホに視線を落とす。時計はすでに、真紀たちと合流してから1時間が経過していた。


(哲也に遅れるって連絡しなければ)


頭の中でそうつぶやき手を伸ばすも、腕は予想していたよりもずっと重く、思うように動かない。


「あれ、私、疲れてる」


遥は思うように動かないカラダを前に、初めて絶望を感じるのだった。



NEXT ≫ 第17話:ついに運命の話し合い!でも秘密がバレて思わぬ険悪な空気に




■恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~バックナンバー

第11話:理想どおりのはずが…彼の疑惑行動の見抜き方


第12話:猫で孤独を癒やしても、結局ひとりぼっち


第13話:まさか私が不倫で妊娠?! 万が一が起きた時考えるべきこと


第14話:彼の不安な不倫関係!不安すぎてついに自分の痕跡を残し始める


第15話:女が不倫で静かに狂うときやること


  • おおしまりえ(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

女子力アップ

編集部ピックアップ

女子カレとは?

今週のお悩みQ&A

広告掲載について

Facebook

Twitter

ページTOPへ