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【小説#14】不安な不倫関係!不安すぎてついに自分の痕跡を残し始める

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

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前回のあらすじ:妊娠したかもしれない。ショッキングな事実に困惑すると同時に、遥はとっさに最悪の事態と来るかもしれない未来を想像してみる。お金やトラブルの大きさを把握することで一旦は気持ちも落ち着くのだが、膨れ上がる不安は、だんだんと哲也への愛情ではなく、どうにもならない状況への苛立ちへと変わっていくのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第14話:不安な不倫関係!不安すぎてついに自分の痕跡を残し始める

通勤時間は不倫において1番慎重にすべき時間だ。

同じ家から同じオフィスに向かうので、当然一緒に出発すればいいのだが、途中会社の人に見られると、何かと面倒くさい。

そのため交際を始めた当初から、お泊りの翌朝は哲也が15分早く家を出て会社に向かうのが、どちらが決めるともなくルールとして定着していた。


哲也を玄関まで見送ろうとしたとき、テーブルに見慣れないピンクの四角いモノが置いてあるのが目に入る。

靴を履く哲也に問うと、当たり前のように「ああ、それ娘の」と答えが返ってくる。


「しばらく置いておいてよ。娘が全然ゲーム時間を守らないから、この前没収したの。でも俺のカバンを漁るから、別のところに置いておこうと思って」


よく見るとそれは携帯ゲーム機で、中には旅をしながらモンスターを捕まえ、バトルさせたり育成させたりして楽しむゲームが入っている。


「そっか…」


短く同意した後、「こういうの平気で見せちゃうんだー」と言葉が続きそうになる自分を制し、勢い良く抱きつき、唇を哲也の唇に押し当て、ドアの外へと送り出す。

部屋に戻り手早く残りの身支度を済ませ、15分の使いみちを考え始めると同時に、置かれたゲーム機にすぐさま電源を入れる。

画面に『リカ』と書かれた可愛らしい少女のキャラクターが映し出され、遥は心臓の鼓動が早くなるのを感じる。


哲也の娘は8歳。少女は父親の不貞行為に、気づいているだろうか。

そもそも、哲也の言うことが本当なら、両親の冷え切った空気をどう捉えているのだろう。

遥は自分が8歳だった頃を思い出し、会ったこともないリカという少女に想いを重ねる。哲也の話しによると、飽きっぽくて気が強く、屁理屈が得意で、全くかわいげがないのだという。


(でも気が強くて屁理屈が得意なら、仲良くなれるかもしれない)

そんなことを考えながら、遥は自分が無意識に哲也と遥と、そしてリカという少女と、3人で楽しく暮らしているところを想像してしまう。

想像上の自分のお腹は大きく膨れ、少女はそのお腹を笑顔で触っている。


とっさに浮かんだ傲慢極まりない想像に、思わず驚きと恥ずかしさを覚えるが、暖かな家庭のイメージは、一瞬だが遥をとてつもなく幸せな気持ちで満たしていた。


湧き上がった親近感と好奇心を胸に、遥はゲームのスタートボタンを押し、プレイ画面を開く。


「どんな子なのか、知りたい」


たった数秒前、自分の妄想は傲慢であることに気づいたはずが、気持ちの中には、彼と彼の家族を知りたいという気持ちと、自分を知らせたいという想いが満ちていく。

複雑なゲーム画面を操作しながら、遥はどうやったら自分の痕跡を、少女が喜ぶ形で満たせるのか、ゆっくり考え始めていた。



次回「恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~ 第15話:『女が不倫で静かに狂うときやること』は4月20日(金)配信です!





■恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~バックナンバー

第9話:彼の「愛してる」は噓?本当?二番手の恋


第10話:これが本当の男の誠意?ケンカの元の処理方法


第11話:理想どおりのはずが…彼の疑惑行動の見抜き方


第12話:猫で孤独を癒やしても、結局ひとりぼっち


第13話:まさか私が不倫で妊娠?! 万が一が起きた時考えるべきこと

  • おおしまりえ(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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