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【小説#13】まさか私が不倫で妊娠?! 万が一が起きた時考えるべきこと

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

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前回のあらすじ:疑惑の気持ちが入り交じる今、遥の中にはだんだん愛よりも確かめたいという気持ちが大きくなっていた。彼と居たいけど、本当の気持ちを知りたい。そんな混乱の中、ふと遥は自分に生理がしばらく遅れていることに気づく。思わぬ展開が訪れたとき、遥の中には幸せよりも不安しか生まれなかった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第13話:まさか私が不倫で妊娠?! 万が一が起きた時考えるべきこと

一人が好きだった。

それは紛れもない真実なのに、二人の時間に慣れすぎると、一人に戻ったとき、自分が自分としてきちんとやれるのかが心配になってしまう。


家に戻ると、部屋は当然静寂に包まれていて、ただ哲也の寝息だけが規則正しく聞こえてきた。

スマホから生理予測アプリを起動させ、先月のカレンダーを開き、カラフルな画面を深刻な顔でじっと見つめる。


「1,2,3……」


生理予定からのカウントを重ねるたび、頭の中では不安と同時に、自分が子どもを持ったときの未来が、ぼんやり浮かんでは消え、浮かんではまた消える。

3ヶ月前に抱いた友達の子は、肌も髪もふわふわしていて、どこからか甘ったるく懐かしさを覚える香りがしていた。

同じ生き物とは思えない“アレ”を、私が私のカラダからこの先産み落とす可能性がある。それは未知なる幸せと同時に、不安を際限なく生み出していく。


「やっぱり、3日遅れてる…」


カウントし終わった遥は、お腹に手を当ててつぶやく。

普段生理が遅れたり体調を崩したりすることもないため、気にもとめていなかった。

哲也とのセックスで避妊が万全かと言われたら不安は残るが、なんとなく失敗するというのは他人事で、万が一を意識したことがなかった自分に、今さら愕然とする。


「妊娠してたら、どうしよう…」


具体的な不安を口にした途端、カラダの中心部がグワンと揺れている気がする。不安な気持ちを押さえ込みながら、遥は頭の中で起きうる未来やお金を想定し、そのつどGoogleの検索画面を打ち出してみる。


・出産に必要なお金は、実はほとんどが出産育児一時金という名目で戻ってくるが、一時立て替えや準備を想定し、50万ほどは最低用意するのが好ましい。


・シングルマザーの場合、出産後の生活費を月単位で計算し、休業期間分計算して用意しておくこと。


・不倫から略奪婚できるケースは非常に稀であり、あるデータによると、わずか6%しかいないという。


・不倫関係が妻側にバレた場合の慰謝料には幅があり、少ない場合は数10万円。多くても2人で300万円以内に収まることがほとんど。


・金額は不倫関係に発展したタイミングで、どの程度夫婦関係が破綻していたか、どの程度妻側に損害を与えたかが関係する。


・すでに別居中であった場合などは、不貞行為にあたらないこともある。家庭内別居中の場合は、破綻の判断が難しくなる。


遥は1つ1つの情報を頭に染み込ませながら、ゆっくり冷静な自分に戻れていることに安心する。

貯金を使えば、大体の状況は切り抜けられそうだ。やや強引だけどそう結論づけられただけで、最悪なパターンの想定は終わった気がした。


最後に『中絶 費用』と、検索窓に打ち込む。中絶費用は妊娠初期で8万〜20万円ほど。


(同じ命のやり取りなのに、安いんだ)


一瞬そう思ったが、動物でも『生け捕り』と『殺して持ち帰る』とでは、価値が違うしなあと考えたら、なんだか納得できた。


妊娠検査薬は、生理予定日から1週間ほどで正しい結果が出るらしい。あと数日、この不安を一人で抱え続けなくてはいけないのが何より辛い。

ため息をつきながら手帳とカバンを元の位置に戻し、ベッドへと潜り込む。ダラリと放たれた哲也の腕をつかみ、胸の前に抱きよせる。

柔らかい肉の固まりは、心地よさと同時に、不安からくる苛立たしさを抱かせる。


何も知らない男。

何も頑張ってくれない男。

何も私を分かっていない男。


心の中でつぶやくと、とっさに叫びたいような衝動にかられ、腕を握る手に力が入る。哲也が「ううっ」っと、小さく呻くので、とっさに腕を離すと、哲也は数回悶えたのち、遥の方へとゆっくり寝返りをうつ。

先程掴んで離した腕が、遥のカラダをふわりと包み込む。心地よい重みを感じながら、遥はゆっくり深呼吸する。

カラダが覚えている、暖かく甘い哲也のニオイが遥を包み込む。

幸せなのか地獄なのか、見分けのつかないいつもの日常が、だんだんと夢の中へといざなっていく気がした。






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■恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~バックナンバー

第8話:彼のついたうその真実に感情の爆発がとまらない


第9話:彼の「愛してる」は噓?本当?二番手の恋


第10話:これが本当の男の誠意?ケンカの元の処理方法


第11話:理想どおりのはずが…彼の疑惑行動の見抜き方


第12話:猫で孤独を癒やしても、結局ひとりぼっち


  • おおしまりえ(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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