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【小説#10】これが本当の男の誠意?ケンカの元の処理方法

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

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前回のあらすじ:哲也の噓を、問いただすと、彼は無意識に自分をかばい、本心をさらけ出すことから逃げていく。「行きたくなかった」ではなく「俺が行くと思うの?」という逃げの一言に、遥は無意識的に絶望し、そして涙を流すのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第10話 これが本当の男の誠意?ケンカの元の処理方法

「行きたくなかったし、多分行かなかったよ。遥と行きたかった」


「哲也…」


背中に回された手が、呼応するようにぎゅっと強く反応する。

遥は10cm先にある哲也の顔をじっと覗き込み、無言で問いかける。

気まずいとき、この男はいつも目を下にそらすことを、知っていたからだ。


哲也の瞳は年齢のわりに濁りがなく、すんだ茶色も美しい。

あたしの瞳は、太陽に当ててもまっ黒なままだ。

そんなことを考えながら、美しい瞳の中の真実を探る。


「…信じてほしい」



「おっ!」


思わず腹の中で歓喜の太鼓が鳴った気がして、逆に遥が恥ずかしくなり、まばたきをしながら視線を外す。


「信じたいけど、今はまだ…」


「どうしたらいい?」


「もー、そうやってまた私に聞くの?」


「…ごめん」


遥は冗談めかした顔で哲也ともう一度視線をあわせる。哲也の美しい瞳は、細くとなっている。そのままどちらともなく、唇が近づき、冷えた空気が消失していく。


このケンカは終わりがここでいいのだろうか…。


そんな一抹の不安がよぎるも、カラダの気持ちよさに思考がストップする。

次の瞬間、哲也が一瞬何かに気づき、勢い良くカラダを離す。

「そうだ!」と言いながら同時にスマホを取り出し、何かを探し始める。


「どうしたの?」


はだけた洋服を整えながら、遥はスマホの画面を覗き込む。


「考えたんだけど、チケット売るわ」


「え?」


「だって行かないつもりだったって信じてもらいたいし、本当は遥と行きたかったから」


スマホの画面には、チケット買取金額のリストが写っている。


「きっとあいつも、行くつもりなんてないだろうから、会社の人に売ったとか言っとくよ」


「……そっか」


数分前の言葉が本心だった安堵と、会ったこともない“あいつ”の言われように、遥は一瞬、同じ女として同情の気持ちが湧く。


「じゃあ明日20時、新宿で待ち合わせね。売ったお金で、いいもの食おう!」


そう言うと、哲也はまた遥に勢い良く抱きつき、今度は唇を強めに押し当てる。

遥のカラダがのけぞり、そのまま二人はひとつの横長な物体になっていく。


でもそれって、奥さんにチケットを売ったって言って、あたしと行けばいいだけなんじゃないの?


単純な矛盾を頭の中で反芻しながらも、いわくつきの場所は、きっともう今まで通りの“夢の場所”としては見られないだろうな。遥は哲也の腕の中で、そんなことを考えながら、本当の夢を見始めるのだった。





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■恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~バックナンバー

第5話:不倫の疑心暗鬼は、他の男で解消するもの


第6話:思いつきのデートは地獄確定?


第7話:やっかいな男同士のプライドと浮気の言い訳


第8話:彼のついたうその真実に感情の爆発がとまらない


第9話:彼の「愛してる」は噓?本当?二番手の恋


  • おおしまりえ(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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