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後悔?安堵?「子供を産まない選択」をした女性の本音

女性を幸せにする本

「私はずっと、子供を産んで育てる人生ではない、別の人生を望んでいました。今でも、一片の後悔もないです。人それぞれ、いろんな選択があっていいはず。もちろん、子供を持って初めてわかる感動もあると思います。実際に産んでみないとわからないことだと思うけれど。でも私は、自分の選択に微塵の後悔もないです。夫としっかり向き合って、二人の関係を築いていく人生は、本当に幸せです」(※1)


2016年、女性誌FRAUに掲載された女優・山口智子さんのインタビューが話題になりました。

これまで、「子供を産まない選択」を堂々と語る女性が少なかったなかでの山口さんの発言は、「女性は子供を産んで一人前」「女性なら子供を欲しがっているに違いない」という社会からのプレッシャー・偏見に苦しんでいた女性に希望を与えました。


今回は、大っぴらにあまり語られることのない、「子供を産まない選択をした女性」の胸のうちを、作家の衿野未矢さん著『「子供を産まない」という選択』を参照しながらご紹介していきたいと思います。


ケース① 作家・衿野未矢さん(48)の場合

本書のタイトルは、『「子供を産まない」という選択』ですから、読み始める前は、著者である衿野未矢さんも積極的に子供を産まないという選択をしてきた女性なのかと思っていましたが、実際は少し事情が違いました。


衿野さんが就職したのは1986年。男女雇用機会均等法が施行された年でした。当時は女性は20代後半で結婚退職すると相場が決まっていて、男性社員にはほぼ100%専業主婦の妻がいた時代です。


現代では、「キャリアもあって、家庭もあり、子育てもしている」女性は、家庭も仕事も充実した女性、と称賛を浴びがちですが、当時は、「結婚して退職するか、男性と肩を並べて働くかどちらか選択を迫られている」ような空気があり、子育てと仕事を両立させようとする女性は「中途半端」「仕事をなめている」とみなされるがちだったといいます。


衿野さんは、35歳で結婚、好きな仕事にまい進し、子供は作りませんでした。仕事を続けながら出産、子育てができるような時代ではなかったからです。


書籍執筆当時は48歳。過去を振り返って考えたとき、「産まなかったことは自分の積極的な選択ではなかったのでは」と思えて、憤りや後悔を覚えることもあるといいます。


「私が出産世代だったころは、『産まないほうがかっこいい』という雰囲気もあったんだよ。家事や育児は女性だけの役目だと考えている人も多かったし、マタニティ・ブルーに苦しんだり、子育ての愚痴をこぼしたりすれば、『わがままを言うな、甘えるな』と切り捨てられる時代だった。育児休業を快く取得させてくれるような職場は少なく、いったん仕事を辞めたら、正社員に戻るのは、ほぼ不可能だった。私は産まなかったというより、『産めなかった』、あるいは『産まないほうに持っていかれた』なんだよ!」

この気持ちを、いったい誰にぶつければよいのだろう?(P.3)


ケース② 広告代理店勤務・緑さん(58)の場合

独身の中年女性

衿野さんのように、苦い後悔を抱いている人もいる一方で、「産まずにすんでよかった」と自らの選択に満足している女性もいます。


結婚歴がなく、大手の広告代理店に勤務している58歳の緑さん(仮名)も子供を持たないという選択を正しかったと感じているひとりです。


「私は、お嫁さんなんかになりたくなかった。父は次男だけど、実家に分けてもらった土地に家を建てたから、祖父母がすぐ近所に住んでいたの。嫁姑の関係は息苦しそうだったし、掃除して食事の支度をして、家族に食べさせて片づけをすると一日が終わってしまう。母みたいな人生は絶対にいやだったな(略)結婚が永久就職と呼ばれていたこともあるでしょ。でも私は、ちゃんと就職できているのだから、結婚に頼る必要はない。出産という義務を果たさなくったって、自力でやっていけるのだから、苦労を背負うことはないと思っていました」(P.27-28)


緑さんは「子供を産まずにすんだことに、私は誇りを感じていますよ」と語るなど、産まなかったことを後悔している様子は微塵もありません。結婚して子供を産むことだけが女性の生き方だったような時代に、自分の能力と努力で思いどおりの道を歩んできたという自負があるのでしょう。


「子供を産まない選択」は正解か不正解か

考える女性

山口智子さん、衿野未矢さん、緑さんの例を見ていると、「子供を産まないという選択」が当人にとって後悔のないものとなるためには、本当に自分の意思で選んだ、という納得感が必要なのだと感じました。


「子供を産まない選択」と同様、「子供を産む選択」も、「社会的に求められているから」「みんなそうしているから」という理由ではなく、「自分が本当はどうしたいのか」を知り、自分の選択に責任を持つ必要があるでしょう。


覚悟をもって自分の意思で選んだのなら、すべての選択が正解になるのだと思います。


※1 FRAU 山口智子インタビュー



今回ご紹介した本

『「子供を産まない」という選択』

著者:衿野未矢

出版社:講談社




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  • 今来 今(フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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