エンタメ

【出産の商品化】他人のために妊娠・出産する代理出産はアリ?

女性を幸せにする本

出産年齢の高齢化に伴い、不妊治療を行う人も増加しています。人の手を介して子供を授かることはもはや珍しいことではなく、2015年に生まれた赤ちゃんのうち、20人に1人は体外受精で生まれたと報告されています。(※1)


太古には神秘的なものだと考えられていた妊娠・出産も、医療の技術が発達する従って、人間の手である程度コントロール可能なものへと変わってきました。


現代では、精子や卵子の提供や、体外受精にとどまらず、他人の女性の体を出産に使用する代理出産という方法まで選択可能となっています。


こういった、出産の商品化に対しては、その是非に意見が分かれるところですが、出産の商品化の流れは止められません。


今回は、出産の商品化の最たるものである、代理出産の実態について、『ルポ 生殖ビジネス 世界で「出産」はどう商品化されているか 』を参考に解説していきます。


そもそも代理出産って何?

代理出産とは、出産後に子供を引き渡すことを目的とし、お金と交換で妊娠・出産することです。代理出産を請け負う女性のことを代理母と呼びます。


本書によると、代理出産は大きく「代理母の卵子を使用し、代理母が子供と遺伝的なつながりがあるケース(伝統的代理出産)」と「体外受精を行い、代理母と遺伝的なつながりがないケース(体外受精型の代理出産)」に分けられるといいます。


伝統的代理出産の場合は、性行為、または人工授精などの手段を使い、依頼男性の精子を用いて妊娠します。この方法は、代理母と子供との間に遺伝的つながりが発生するため、出産後の引き渡し時にトラブルになるケースもあるようです。


代理出産は合法?

代理出産

現在、代理母は日本では法律では禁じられていないものの、日本産科婦人科学会が「代理懐胎の実施に関与したり、斡旋したりしてはならない」という通達を出していることなどから、基本的に行われることはありません。


ですが、「代理母で出産したという芸能人のニュースを聞いたことがある」という人も多いでしょう。海外では代理母が合法とされている国もあるため、どうしても代理出産をしたいという場合は、合法化されている国に渡ってトライすることは可能なのです。


代理出産を合法としている国は、インド・タイ・メキシコ・ブラジル・ニュージーランド・アメリカの一部の州など多数あります。


アメリカでは、日本よりも代理出産が一般的に認知されていますが、それはセレブたちが代理出産を行い、公表しているためでしょう。女優のニコール・キッドマンやサラ・ジェシカ・パーカーは、不妊治療のすえ、代理母に依頼して出産したことを公にしています。


求められる代理出産の法整備

代理出産

ただし、代理母による出産は、近年の医療技術の向上によって可能になってきたことであり、まだまだ法整備が追い付いていない点もあります。


記憶に新しいのは、2014年、日本人の独身男性がタイで代理母に依頼し、子供を13人もうけたという事件でしょう。この事件がきっかけとなり、タイでは代理出産に関する規制を求める声が大きくなり、翌年には外国人の依頼による代理出産を原則禁止する法律が施行されました。現在では代理母は合法ではあるものの、商業目的や外国人からの依頼の出産は違法とされるようになりました。


また、同年、インドでも外国人への代理出産ビジネスの提供が禁止されることとなりました。


代理出産については、まだ始まったばかりであるため、今後も規制は変化していくでしょう。


インドでの代理出産の実態

インドでの代理出産

2015年に法律で規制されるまでは、代理出産を望む人たちにとってインドは魅力的な土地でした。


インドの貧しい地域では、代理母を一攫千金のチャンスだと考え、志願する女性が多かったと、著者はいいます。ケアテーカー(代理出産にまつわる雑務を引き受ける人)が地域を回って代理母を募るのですが、その際、代理出産の仕事を断る人はほとんどいなかったというのです。


ケアテーカーのリクルート活動は、スラム地域から金銭的問題を抱えた女性や家族を探し出し、何度も足を運んで説得することである。こう書くと難しいことのように思えるが、女性のリクルートは、実際にはそれほど難しいことではないという。ケアテーカーのSさんは次のように述べ、自らの力量に対する自信をのぞかせた。


「100人いたら断る人は1~2人しかいない。子の仕事は、きちんと理解できた人はやるし、理解できない人はやらない。彼女たちは、家政婦をやる以外に選択肢がないのだから」


貧しい女性とその家族にとっては、説明を受けたうえで選択する、という現代の生命倫理学でいわれるところの「インフォームド・チョイス」という概念は成立しない。最初から結論は決まっているのである。もしやらなければ、この先も低収入の仕事だけをして、貧しい生活に甘んじて生涯を終えるしなかい。(P.37)


さいごに

「子供が欲しい」と考える人にとって、出産にまつわる医療技術が発達したことは大変望ましいことです。


ただ、代理出産に関しては、自分の望みを達成するために、他人の尊厳を踏みにじってしまうリスクもある行為だと個人的には感じています。


代理母をビジネスとして請け負う人の全てが犠牲者だとは思いませんが、少なくとも「自分の子宮を他人の出産に利用させることが、貧困から抜け出す唯一の道」という女性は、自らの意志で代理母になった、とは言えないと思うのです。


※1 日本経済新聞 15年の体外受精、最多の42万件 赤ちゃん20人に1人



今回ご紹介した本

『ルポ 生殖ビジネス 世界で「出産」はどう商品化されているか』

著者:日比野由利

出版社:朝日新聞出版




【バックナンバー】女性を幸せにする本

心理学者が勧める「ダイエットせずに痩せる方法」が納得感しかない

就職・転職で「女らしい職業」ピンクカラーを選ぶとこうなる

「残酷な天使のテーゼ」は若い男を天使に例え、成長しないでと願った歌

妊娠中に性行為はあり?妊婦がしていいこと・ダメなこと

なんで痩せたいの?ダイエットに依存してしまう原因とは

女にとって、お嫁さんになって家事と育児をするのが一番幸せな生き方ですか?

  • 今来 今(フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

女子力アップ

編集部ピックアップ

女子カレとは?

今週のお悩みQ&A

広告掲載について

Facebook

Twitter

ページTOPへ