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【小説#1】行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~ 行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間

食事は何を食べるかより、誰と食べるかが大事。

使い古された言葉だけど、お酒の力が加わると、ホントその通りだな。

油でテカテカになったサラダ。説明のないナニカの鮮魚カルパッチョ。マッシュポテトでかさ増しされた鶏肉のマスタード風味ソテー。どれも素材にこだわったと銘打っているが、今はただの駆け引きのつまみでしかない。

遥は退屈さから哲学っぽいことを考え、冷え始めた肉をつついてみる。


テーブルでは、男女3人の楽しそうな声が響き渡る。

「二人って、高校時代からの親友なんでしょ?ケンカとかしないの?」

「真紀ちゃんは大学では何を勉強してたの?」

「ケンカなんしてしないよー。大学はね、教育学部だよ」


男たちから投げられるボールに、親友の真紀はテキパキ意気揚々と答えている。頬の赤みに、女としての喜びをみいだしているのが、よくわかる。

「教育学部ってことは、子ども好きなんだ!いいお母さんになりそう!」

「こんだけかわいきゃ、モテるっしょ!」

酔っ払った男の賞賛も、女にとってはいい栄養分だよね。遥は嬉しそうな真紀へ皮肉めいた思いを投げると同時に、今日の後悔を、親友の恋路を全力でアシストしてあげることで、有意義に過ごそうと誓う。


「真紀ちゃん、3年も彼氏いないなんて信じらんない!遥ちゃんは?彼氏いるっしょ?」

おまけ程度に加えられる、フォーマットにのっとった質問。

「私もいないんだよね。正典くんこそ、モテそうだよね!」

素早く最低限の社交辞令で返すが、これもフォーマットどおり。ここで「います」と答えるほど、あたしは愚かじゃない。

「全然モテない!遥ちゃん、じゃあ俺と付き合おうよ」

正典の赤くなった両手が、遥の右手を正面からガシッとつかみ、そのままテーブル越しにグッと引き寄せられる。酒のニオイと男の力加減に、遥はビクリと身を固めるが、素早く微笑みを返し、手をほどきトイレへと立ち上がる。

遠くから真紀の声が聞こえる。

「強引なことすると怒るよ!ていうか、ちょっと、酔っ払っても“おさわり禁止”だかんね!」

ああ、親友の不快すら、酔ったあの子には今は養分でしかないのか。

ため息をつきながら、とにかく今は“安息の個室”へと逃げ込むのだった。


お客もまばらになりはじめた夜のカフェ。真紀は、酔っているのか、店内に響くような早口で反省の弁をのべている。

「まじでごめん!ごめんね!正典くんって、酔うとあんな感じになると思ってなくて。でもさ、2人とも大手企業だし、顔もけっこう良かったでしょ?」

真紀の口元は相変わらずだらしなく緩んだまま、ごめんごめんと大げさに首をカクカク左右に揺らし続ける。

遥は前にそういう人形を見た気がして、なんだっけと必死に記憶をさぐり、それが「ペコちゃん」だと思い出すと、急に滑稽に思えてしまい、声が漏れて笑ってしまう。

「ちょっと、今なんで笑ったの?」

彼女がすかさず突っ込んで、お互い顔を見合わせ笑いあう。真紀のこういうシンプルで明るい性格は、遥の不満をいつも瞬時に溶かしてしまう。

今日のように一直線に驀進されると戸惑うこともあるけれど、結局遥はいつも真紀を許すし、真紀とつるんでしまう。

こうしてコーヒーで詫びをいれてくれる律儀な一面も、この10年上手く関係が続いた秘訣かもしれない。


「いいよもう。とりあえず二次会行かなくてすんだし」

遥は冗談で目を細め睨みつけるが、真紀は相変わらずヘラヘラと笑いながら、デザート代わりのココアを美味しそうに飲んでいる。


「正典くんって体育会系だから。もしガツガツ来ても無視して!なんかあったら言って!」

「ちょっと、なんかってやめてよもう!押しの強い男って、あたし苦手なんだよー」

正典の手の感触を思い出し、一瞬手に鳥肌が立つような感覚が湧き上がる。

それと同時に、遥のLINEに哲也から連絡が入る。


NEXT ≫ 第2話:「不倫やめて」女友達のおせっかいは聞き入れるべき?



■恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~バックナンバー

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間


第2話:「不倫やめて」女友達のおせっかいは聞き入れるべき?


第3話:4年彼氏ナシ女と不倫女子!どちらが幸せで充実した人生か


第4話:不倫は普通の恋愛と変わらない!罪悪感ないけど何か問題ある?


第5話:不倫の疑心暗鬼は、他の男で解消するもの


  • おおしまりえ(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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