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「残酷な天使のテーゼ」は若い男を天使に例え、成長しないでと願った歌

女性を幸せにする本

10年以上前から、カラオケのランキング機能に上位表示され続けている曲があります。高橋洋子さんの『残酷な天使のテーゼ』もそのひとつです。


『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌として人気を博したこの曲は、その歌いやすさと心に迫る歌詞で、アニメを見ていない人たちにも広く認知されるようになりました。


ところで、この「残酷な天使」って誰のことなのでしょうか?


作詞家の及川眠子さんは、著書『破婚: 18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年間』にて、残酷な天使とは何を意味するのかについて種明かしをしています。


今回は、本書をテキストに、「残酷な天使」の意味と、波乱万丈な作詞家、及川眠子さんの恋愛遍歴について解説していきたいと思います。


『残酷な天使のテーゼ』は年上の女目線の歌

『残酷な天使のテーゼ』は、「テーゼ・パトス」など日常生活では使わない言葉がでてくるためか、難解な歌詞だ評されることが多い作品です。


ですが、本書では、ご本人によって、歌詞の意味するところが簡潔に示されています。


この詞は、母親もしくは年上の女の目線から描いた物語。生まれたばかりの子供あるいは若い男を天使にたとえ、彼に対する思いや自らの心象風景を綴ったものである。今はそばで眠っていても、彼はいつかきっと自分の手元から去って行く。未来を目指して、何のためらいも残さずに……。いたいけな天使は胸に溢れんばかりの幸福感を与えてくれるとともに、残酷でもあるということを定義(テーゼ)として捉えた、そんな詞だ。(略)まあネタを明かしてしまえば、「坊や大きくならないで」というようなことを、レトリックを駆使して表現したものではあるのが……。(P.5)


及川さんは、『新世紀エヴァンゲリオン』の企画書を見たとき、こういったイメージだけが浮かび、アニメの内容はほとんど知らないままで『残酷な天使のテーゼ』の歌詞を書き上げたと言います。


このような情感たっぷりの作詞ができるのは、及川さんにとって、恋人との甘い記憶や、ヒリヒリするような焦燥感がリアルなものだったからなのかもしれません。


「18才年下のトルコ人夫に3億円貢いだ」あとに残ったもの

恋人

及川さんは30代後半に一度目の結婚をしますが、すぐに破局してします。原因は、及川さんと男性との収入格差。当時から売れっ子の作詞家だった及川さんは、当時の夫の何倍もの年収があり、そのことを夫は受け入れられなかったのだといいます。


40代になり、二度目の結婚相手となったのは、イスタンブールの旅行中に出会った18才年下のトルコ人男性でした。最初は「ただ単純に日本人と結婚したいだけではないか」と疑っており、親密な関係になることを避けていた及川さんですが、熱烈な愛情表現に次第に気持ちが傾いていき、ついには関係を持ってしまいます。及川さんはそのときの気持ちをストレートにこう表現しています。「単純に欲情した。その若さと、私を好きだという言葉に」。


当初は旅行中のアバンチュールとしてしか認識していなかった関係が、帰国後も連絡を取り合うようになり、彼が日本に訪ねてくるようになったことをきっかけに、抜き差しならない関係になっていきます。そして、ついには、彼が日本に自由に来れるようにと、入籍することを決意したのです。


「旅先で恋に落ちて結婚」と聞くと、キラキラした喜ばしいもののように思われますが、及川さんの二度目の結婚は、あまり周りから祝福されるものではありませんでした。


というのも、新しい夫には浪費癖があり、ことあるごとに及川さんにお金を無心してきたのです。


その金額は次第に大きになり、最終的に離婚するまでの13年間で、約3億円を夫に貢いでいたといいます。


お金を得る男性

さらに、ただお金を搾り取るだけではなく、夫は最悪の裏切り行為にも手を染めていたといいます。及川さんから巻き上げたお金で、新居や車をトルコに購入し、新しい恋人(のちに妻)と生活をし始めたのです。


驚くべきことは、これだけ痛い目に合いながらも、及川さん自身は夫を愛し、また愛されていたという確信に満ちているということです。


あの頃、私の心の真ん中には間違いなくEがいた。バカだけど可愛い、嘘ばかりついているけど愛おしい。そんな男の値打ちを人にわからせようとするのは難しい。

「もしあなたの目が見えなくなったら、ワタシの角膜を一つあげる。もしあなたの腎臓が悪くなったら、ワタシの腎臓を一つあげる」

その言葉がたとえ偽りだったとしても、私の心にはちゃんと届いて、幸せという名の波紋を描いていった。(略)

男が女を食わせるものだという価値観でいる人には、私たちの在り方はきっと受け入れてもらえないだろう。幸せのかたちは人それぞれに違っている。私は自分の欲した幸せを選んだだけ。たとえそれが世間の常識からはずれていたとしても。(P.47-49)


もし私が及川さんの友人だったならば、「そんな男やめておいたほうがいい、もっとふさわしい人がいる」と何万回も聞いたであろうアドバイスをしていたと思います。貢がされて、嘘をつかされて、浮気されて、裏切られて……そんな男、最悪だと思うからです。


でも、どれだけ周りから批判されようと、「一緒にいるだけで幸せで、愛されていると実感できる人」に出会えたことは、本人にとってこれ以上無い幸せなのだろうとも思います。


男の子の天使

天使が去ったあとに残された女が不幸かというと、決してそうではないと、今私は実感している。愛はいつも残酷であり、いろんなものを奪っていく。だからこそ得るものが多い。それが理解できたからだ。(P.8)


何が幸せかは、自分で決める。

根本のところで自分に自信がある女性だからこそ、傷つくことを恐れずに、自分だけの幸せを追い求めることができるのかもしれません。



今回ご紹介した本

『破婚: 18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年間』

著者:及川眠子

出版社:新潮社




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  • 今来 今(フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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