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「結婚に発展しない恋愛はムダ」はオジサンの洗脳?

女性を幸せにする本

「3年も付き合っていて結婚すると思ってたのに!3年間ムダにしたああ。貴重な20代返せ!」


アラサーをターゲットにしたマンガなどを読んで、こういったセリフを見かけることがあります。


ここで提示されているのは、「結婚に発展しない恋愛はムダだ」という考え方です。いったいなぜこういった考え方になるのでしょうか?


女性側に結婚願望があり、子供を欲しいと考えていた場合、産める年齢にはリミットがありますから、結婚を早くしたい、という考えは理解できます。では、なぜ結婚を恋人とする必要があるのでしょうか?


「いやいや、恋人と結婚するのは当たり前でしょ」と思いましたか?


そういった考えは今でこそ当たり前と認識されていますが、近代以前は日本には無かった考え方なのです。


今回は社会学者、千田有紀が『女子会2.0』に掲載しているコラムを参考に、現在の私達の結婚観・恋愛観はどのように作られたものなのか、について考えていきたいと思います。


恋愛・結婚・出産。3つセットは常識?ロマンティック・ラブ・イデオロギーとは

「恋愛の先に結婚がある」

「結婚に発展しない恋愛は意味がない」

「子供を産むのは結婚してから」


こういった、「恋愛・結婚・出産」はセットになっているのが常識だという考え方をロマンティック・ラブ・イデオロギーと言います。


ロマンティック・ラブ・イデオロギーとは、「愛と性と結婚の三位一体」と定義されるのが普通である。(略)「一章に一度の運命の相手に出会って恋に落ち、結婚して、子供をつくって死ぬまで添い遂げる」ことを当たり前であるとする考えのことを、ロマンティック・ラブ・イデオロギーと呼ぶ。(P.53


20代後半以降になり、数年間付き合っている彼氏がいると、「結婚はどうなの?」と聞かれる人も多いでしょう。そういった質問をする人たちは、恋愛の次には結婚があり、そして出産があることを自然な流れだと考えているのです。


ですが、こういった考え方は、近代以前は当たり前ではなかったのです。


近代以前の結婚とは、愛ではなく政治と経済

近代以前の結婚とは

恋愛結婚が常識ではなかった近代以前に、何を基準に結婚していたかというと、それは、「政治と経済」だと千田氏は分析しています。


『源氏物語』などの平安文学に描かれている貴族の色恋を見ていると、呑気なものだと思うかもしれない。しかしまさに娘を天皇に嫁がせ、未来の天皇を産ませることによって権力を握ろうとするという「性事」は、「政治」そのものだった。また近代以前の結婚は、経済でもあった。豊かな階層では、自分たちの財産を受け継がせるために対等な家同士の間で結ばれるものが婚姻であり、端的に言えば、愛とか恋とかそんなことはどうでもよかったのである。(P.54)


かつては、恋愛と結婚がかつてはまったく結びついていなかったのです。というより、「恋愛」という概念そのものが存在していなかったのです。


では、なぜ現在のような「恋愛→結婚」という概念が普及したのでしょうか。


作家、北村透谷によって広められた「恋愛」という概念

恋愛の概念

千田氏によると、一人の作家が「恋愛」という概念を日本に広めたと言います。


明治時代に入って「恋愛」という概念を、つくり出して広めたのは、作家の北村透谷である。(略)恋愛は自己犠牲であり、と同時に、わたしという「自己」を写し出す曇りのない鏡である。そして男女がお互いに愛し合って初めて、社会の真実というものを知ることができるのだ、つまり恋愛を通じて「人生」や「社会」の真実や秘密に到達することができるのだと。(P.56-57)


日本における「恋愛」の発見者である北村は、同時に「処女」という概念をもつくり出したといいます。


北村透谷は、今で言う最強の「処女厨」(女性への処女信仰が度を越して強い人を指す、インターネットスラング)であった。一番に愛好すべきものは処女の純潔であり、それは黄金、瑠璃、真珠、暗い牢を照らす燈明、茨に咲くユリであるという北村透谷。「恋愛」をつくり出した北村は、実は「処女」という概念も新しく作りだしていたのである。これは偶然の一致ではない。恋愛が運命の人と生涯に一度だけすべきものであるからこそ、「処女」の価値は高かった。「処女」は「結婚へのパスポート」だったのである。セックスが結婚へとつながらなくなって、処女性の価値は下落した。近代家族とは女性が「処女」と結婚を交換してつくるものであった、と言ってもよい。(P.62-63)


「恋愛・セックス・結婚」の関係性

恋愛・セックス・結婚の関係性

現代社会では北村氏のように「処女最高!真珠の輝き!」と言う男性はなかなかいないでしょう。


ですが、「結婚するまでは処女の方がいいかも」「女性の結婚する前の性経験はできるだけ少ない方がいい」「運命の人と恋愛して結婚すべき」と考えている男女は今でも一定数いるのではないでしょうか。


かくいう私も、振り返ってみると、初めての彼氏と結婚した友人などを見て、「生涯に一人の運命の人と出会って結婚するなんて素敵」と思い、「運命の人と出会い恋愛して添い遂げる」ことを美しい理想とする考えは、少なからずあったように思います。

とはいえ、「結婚しないとセックスしない」と考えている男女が少なくなった現代、ロマンティック・ラブ・イデオロギーはすでに崩壊しているとも言えます。


ロマンティック・ラブ・イデオロギーに無理があることは、立役者である北村氏が、結婚生活に絶望し、自殺してしまったことからも明らかです。


ロマンティック・ラブ・イデオロギーが崩壊しかけている現在、新たなスタンダードとなる恋愛・結婚の形はどういったものでしょうか?

恋愛と結婚は分けて考える男女や、セックスと結婚を別物と考える夫婦がスタンダードになる可能性もあるのではないでしょうか。


実際に、ある種の「婚活」では、年収や生活レベルで結婚相手を見つけるわけですから、すでに「恋愛」とは別物になっているという側面もあるでしょう。

「恋愛」「セックス」「結婚」「出産」の関係性は社会の変化とともに、新しい形に変容していきます。


恋愛観・結婚観が時代とともの変化していくものであり、絶対的なものではないと理解できたとき、もっと冷静に合理的に生活スタイルを選べるようになるのではないでしょうか。


今回ご紹介した本

『女子会2.0』

編集:「ジレンマ+」編集部

出版社:NHK出版




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    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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