市原隼人『おいしい給食』インタビュー

市原隼人さんの仕事の流儀は“準備”から 『劇場版 おいしい給食 Final Battle』スペシャルインタビュー【後編】

  • 更新日:2020/03/05

 昨秋、放映され大好評となったドラマ『おいしい給食』が劇場版として復活! 突然訪れた衝撃の事件に先生と生徒はどう立ち向かうかを描く学園コメディの異色作です。インタビュー【後編】では給食マニアの生徒・神野ゴウとの給食バトルの話を中心に伺いました。


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僕らの商売って感情を映像に残すこと

市原隼人『おいしい給食』インタビュー

──佐藤大志さんが演じる給食マニアの生徒・神野ゴウとは“先生と生徒”という関係を超えて“好敵手”という感じですね。

市原 : 神野は僕からすると、ホントに可愛くて、それでいて悔しくてたまらない存在でしたね。


──可愛くて悔しい?

市原: 表情がすごく良いんですよ。ちょっと憎たらしい様な、それでいて給食をホントに愛してやまない子供で。自分が給食を楽しんでいる背中を大人に見せつけてくるのが毎回毎回楽しみでした。給食以外のシーンで、泣きの芝居のときに頑張って涙を潤ませているところを見せられた時は、親心じゃないですけど、すごく心が動かされました。この作品は(佐藤)大志自身にとっても成長に繋がったと思います。僕がデビューしたのも彼と同じぐらいの歳で、その時のことを思い出しました。大志と比べると、あの頃の僕は芝居のことがもっとわかってなかったですけどね(笑)。


──神野の“してやったり”という表情は、甘利田先生じゃなくても、打ちのめされた気持ちにされますよね。

市原: やっぱり、僕らの商売って感情を映像に残すことだと思いますから、この映画での大志の表情や芝居を見て、殴りつけられたようなショックを受けたんです。だから、映画の初号を見終わったときに、「大志、どこにいる?」って彼を見つけ出して、「良かったな」って思わずハグしてしまいました(笑)。


男の孤独なロマンとは“忍耐”

市原隼人『おいしい給食』インタビュー

──今回の現場って年齢が幅広かったと思いますが、密にコミュニケーションは取られていたんですか。

市原: 今回は取り過ぎない様にあえてしていたところもありましたね。やっぱり、対立しなきゃいけないところもあったので。でも、ホンネの部分ではもう話したくてたまらなかったので、前の席の子に「給食、美味しい?」って、こっそり聞いたりしていました(笑)。でも、本番でしっかりと緊張感があったので良い関係性は築けたかなと思います。


──佐藤さんもですが、新人の御園先生を演じられた武田玲奈さんにも、どこかピュアな感じを受けました。

市原: 壁を作らず、純粋に作品に向かっている姿がとても心強かったです。甘利田幸男ってある意味、“男の孤独なロマン”なんですよ。その孤独なロマンを給食が救ったりもするんですけど、その中でも二人の存在にはすごく救われたところがあったと思います。


──ちなみに、いま話に出てきた“男の孤独なロマン”ですが、市原さんにとってはどんなものですか?

市原: やっぱり、いろんなことに対しての“忍耐”じゃないでしょうか。芝居に向かっていく中で、誰かと比べるのではなく、自分自身と向き合って生み出していったものを信じる。結局、そこがないと先には繋がっていかないと思うんです。誰かが言うから、誰かに言われたから「じゃあ、やってみるか」って動くだけではダメなんです。そこで相手の気持ちを汲まなきゃいけないし、自分の中で噛み砕いて自分のものにしなきゃいけない。人間ってそういう風にしか生きていけないと思うんです。
まぁ、男の孤独って表現がそもそもが難しいですよね。

男の孤独といえば、今年親からお年玉をもらったんですよ(笑)。

市原隼人『おいしい給食』インタビュー

──え!?お年玉ですか? 大人になってももらえるのは嬉しいですね。

市原: 僕も嬉しくて、思わず「おぉっ!」って(笑)。そのお年玉袋の裏に「あんたも、もう30歳を過ぎたんだから、孤独を背負いなさい。男は孤独と向き合うのも30歳からの生き方だよ」みたいなことが書かれていて。


──なんかハードボイルドっぽい感じがしますね。

市原: 僕はどこかに甘えが出ているのかな、怒られているのかなって(笑)。


──30歳って人によっては人生の節目だったりしますしね。なかなか深みのあるお年玉でしたね。


作品を作りたくて作っているということをちゃんと伝える

市原隼人『おいしい給食』インタビュー

──さて、話は変わりますが、市原さんが現場に入るときに気を付けていることや大事になさっていることはありますか。

市原: 準備ですね。何の準備をしなきゃいけないのかをまず明確にしていきます。
現場は自分の中でも遊び場であって欲しいと思うんです。だって、映画なんて世の中には無くても誰も困らないじゃないですか。僕がこんなこと言っちゃいけないんですが(笑)
映画が無くても社会は成立してしまう。だからこそ、作り手がやらされてやっているのではなく、その作品を作りたくて作っているということをちゃんと伝えるべきだと思うんです。でないと、映画の存在意味が無くなってしまうと思うんです。


──その作品が持つ“メッセージ”というか“意味”ですね。

市原: だから、常に自分の中でそういうことを忘れない様にしています。その為には何が要らなくて、何が必要なのか、ということを自分の中からどんどん追及して考えていくことが大事だと思うんですよね。


──今回の現場はそんな市原さんの熱い思いが炸裂していた気がします。本日はありがとう御座いました。

市原隼人『おいしい給食』インタビュー

★『劇場版 おいしい給食 Final Battle』は3月6日(金)よりユナイテッド・シネマ豊洲ほかにて全国公開


プロフィール

市原隼人(いちはら・はやと)
1987年2月6日、神奈川県生まれ。A型。2001年、映画『リリイ・シュシュのすべて』で主演デビューを果たす。2004年、主演映画『偶然にも最悪な少年』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年では俳優業の他に映像監督・写真家としても活躍。最近出演作にドラマ『捨て猫に拾われた男』、映画『あいあい傘』、『3人の信長』、『喝風太郎‼』など。今後は主演舞台「脳内ポイズンベリー」、BS-TBS『伴走者』、映画・WOWOW『太陽は動かない』など出演作が控える。



作品情報

タイトル:劇場版 おいしい給食 Final Battle
公開日:2020年3月6日
配給:AMGエンタテインメント/イオンエンターテイメント
(C)2020「おいしい給食」製作委員会

市原隼人『おいしい給食』インタビュー

Writing:鈴木一俊/Photo:川しまゆうこ


  • 女子カレ編集部

    女性のココロとカラダに寄り添うサービス『女子カレ』の編集部。主に「今」お届けしたい情報をお届けします。

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