恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#106】一旦お別れ!別々の道を歩くことになった2人の覚悟

  • 更新日:2019/08/15

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:「北京には行かない。結婚も今はしない」 どんよりした空気を裂くように、夏美は話し始める。物理的な問題と、心理的な問題、2つある。 物理的な問題は、夏美が会社を辞めて結婚することで、借金の完済が遅れることだ。そして心理的な問題は、「お互い愛していない」という問題だ。夏美は薄々気づいていた。でも、それを口にすることはできなかった。しかし結婚という問題がある今、避けるわけにはいかなかった。 「だから…どうするべきか…話そう……」 そう言いながら、夏美は涙が止まらなくなる。本当は「別れよう」と言うべきなのに、それも言えない。最後までヘタレ。そんな自分に、思わずフフッと失笑してしまった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第106話:一旦お別れ!別々の道を歩くことになった2人の覚悟

引っ越しは好きなのに、年々引っ越しの準備が億劫になっていく。

それは年齢のせいなのか。それとも自分に必要なものが、増えていくからなのだろうか。

第106話

夏美は赤と黒のマジックで、ダンボールにそれぞれの品目を書いていく。

本、キッチン用品、衣類、電子機器。

赤い文字は、弘のもの。

黒い文字は、夏美の新居に持っていくものだ。

「ねえ、これって全部俺が持っていっていんだよね?」

台所から弘の声がして、夏美は立ち上がり弘の横に歩み寄る。

「うん、それは全部持っていって。食器とかカトラリーとかは買い直すから」

引っ越し業者は明日の朝イチ。夏美は会社の沿線にマンションを借りた。

弘は最低限の荷物を残し、北京へと旅立つ予定だ。


別れる。

その決断を下した後は、思いの外話し合いはスムーズに進んだ。

北京へは行けない。結婚はできない。

そう伝えた後の彼の顔は悲しそうだったが、嫌いになったわけではないし、お互い今じゃないのではないか。という理由を正面から伝えることで、弘も納得してくれた。


弘はやはり、海外で頑張りたいし、そこに寄り添ってくれる女性がいい。

夏美にはまだ、人の人生に寄り添う覚悟が持てていない。何より、自分を愛し、自分の人生に責任を持つ生き方を見つけたいと思っていた。

『一旦お別れ』

別れの前に“一旦”とつけてしまうのにある種の弱さも感じる。でも、縁を切りたいとは思わないし、時間をかけてお互い成長したら、また一緒にいたくなることもあるかもしれない。

そう思い、『一旦お別れ。お互い友達に戻ろう』というやり取りをした。


一旦とつけることで、自分が弘との別れに未練を残すことも、次に進めなくなる事も考えた。

また弘に期待を残してしまう気もして、夏美の中では迷いが残った。

でもそれも受け止め、前を向いて進んでいくことが自分の成長には必要な気がしたので、やはり「一旦お別れ」で良いような気もしている。


「ねえ、北京に飛ぶまでの間の滞在先、一応教えてよ」

「あれ、伝えてなかったっけ?送っとくわ」

弘はしばらく会社が借りたホテルで残務整理をし、荷物が一通り到着したら北京へと飛ぶ予定だ。

最後くらい、明るく見送ってあげたい。でも明日から別々の生活になったら、気持ちがグラついて、できるかは分からない。

「明るい未来に進む覚悟を持つぞ!」

夏美は小さくつぶやき、ダンボールに荷物をまた詰め込み始める。

「なんか言った?」

キッチンから弘の声がし、「なんでもないよー」と、夏美は明るい声を作りながら答えるのだった。



NEXT ≫ 最終話:彼との別れから1ヶ月!前に進む彼女に訪れた意識の変化



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第101話:起業失敗の裏にあった真実!意外すぎる彼氏の過去にどう向き合うか


第102話:私より彼女が好き?相手の気持ちが不安なとき1番大切なこと


第103話:彼を選択するのか?しないのか?自分の心と向き合って出した答え


第104話:「私は彼を愛してる?私は彼と結婚したい?」対話の中で出した彼女の答え


第105話:北京には行かない!結婚もしない!出した答えの理由とは



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

この記事がいいと思ったら
いいね!しよう

Related関連記事

Pick Up編集部ピックアップ

Rankingランキング

#tag